- 仕事で忙しい中でも、フルマラソンでサブ4を達成するための練習メニューが知りたい
- 初心者でもサブ4は達成できるの?
- どのくらい練習すればサブ4を達成できるの?
フルマラソンに取り組んでいてサブ4を目標にしたけど、どのような練習をしたらよいかが分からないランナーの方も多いと思います。
サブ4が目標というランナーは、既にある程度、走る習慣ができている方が多いと思います。
私は、社会人から本格的にランニングを始めた市民ランナーです。月500km程走り、競技志向でランニングに取り組んでいます。
私自身は、ハーフマラソンで1時間12分29秒の自己ベストを持っており、サブ3も達成しました。
先日、私自身の父親(62歳)の練習メニューを作成。父親自身に実践してもらったところ、板橋Cityマラソンで3時間47分台で走りきることができました。
自分自身だけでなく、【高齢・40歳以降にランニングを始めた方】でも、サブ4を達成することができました。
ここでは、フルマラソンでサブ4を達成するための具体的練習メニューを提案します。練習メニューの目的や根拠も併せて説明します。
本記事を読めば、フルマラソンでサブ4を達成するために必要な要素を理解することができ、目的をもって練習に取り組むことができます。
- Easyペースでのジョギング、LT走、ロングランの組み合わせを推奨
- 週4回、走行距離150~200km/月程度が目安
- サブ4の難易度は全ランナーの上位30%
- 怪我予防のため走る距離は徐々に上げる(一か月当たり10%ずつ)
60歳台でフルマラソン サブ4を達成した実例
実際に、62歳でサブ4を達成した実例を紹介します。
今回、サブ4を達成した条件は次の通りです。
- 40歳台でランニングを始めた。学生時代に運動経験は無し
- これまでのフルマラソン自己ベストは、50歳の時に記録した3時間49分
- 私が作成した練習メニューを実践し始めたのは2022年9月
- 週3回程度、軽いジョギングを趣味の範囲で行っていた
結果は次の通りです。
記録は3時間47分10秒で自己ベストです。後半、ペースダウンしているので、レース後半はきつかったと思います。
平均心拍数は143bpm(88%HRMAX程度)であり、フルマラソンでの心拍数としては適切な範囲でした。
レース前半、実力以上のオーバーペースであったため、後半失速してしまったという課題が残りましたが、まだまだ記録が伸ばせる可能性がある結果でした。
サブ4を達成するための具体的な練習メニュー
サブ4を達成するための、具体的な練習メニューを提案します。
- ゆっくりなペースでのジョギング:60分 × 週2~3回
- LTペースでのペース走:20~25分 × 週1回
- ゆっくりなペースからモデレートペースでのロングラン:90~120分 × 週1回
走るペースの設定方法などは以下で解説します。
ゆっくりなペースでのジョギング(Easyペース)
ゆっくりなペースは、ダニエルズのランニング・フォーミュラでは「Easyペース」と呼ばれます。
主観的には、「軽くおしゃべりしながら走れる程度」です。主観的に「楽だ」と感じるペースで良いと思います。厳密に心拍数で管理したい場合、目標心拍数は65~78%HRmaxとなります。
ジョギング一回当たりの走る時間「60分」は目安です。およそこのくらいであれば、多少前後しても問題ありません。
Easyペースの目的は、次の通りです。
- 怪我に対する耐性を作り上げること
- 心筋を発達させること
- 毛細血管新生(活動筋に酸素を運搬する微細な血管が増える)
- 活動筋自体がランニングに適応してくること
- ミトコンドリアの新生/機能向上
もっと詳細な説明や、ペースを厳密に設定したい場合は、次の記事を参考にしてください。
LTペースでのペース走
「LT」という言葉を聞いたことが無い方も多いと思います。
LTは、Lactate Threshold(乳酸性作業閾値)の略語です。フルマラソンの42.195kmを最後まで、速いペースで走りきるには、LT値の向上が必要です。
LTを向上させるための、効率的な練習方法はLT走です。LT走は、ちょうど血中乳酸濃度が急激に上昇し始めるかどうか、という領域の運動強度で走るトレーニング方法です。
LT走を行う場合の、トレーニングメニュー例は次の通りです。
- ウォームアップ:3km
- LT走:20~25分(10分×2のように分割してもOK)
- クーリングダウン:3km
LT走は、20~25分間走り続けることが理想ですが、きつかったら10分×2のように分割しても、目的の効果は得ることができます(多少効率が落ちる可能性はあります)。
LT走で重要な点は「設定強度(=走るペース)」です。主観的に「30分くらい走り続けられる距離。走り終わったときでも後1kmくらいなら続けられる」という感覚です。
設定ペースは、今の実力から、VDOT計算機を使用して決めます。
将来的なレースでの目標や、今の実力とはかけ離れた過去の自己ベスト等を元にしてはいけません。あくまでも、今走れるペースを参考にすることで適切なペース設定となります。
LTについて、もっと詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
ゆっくりなペースからモデレートペースでのロングラン
ロングランの目的は、「脂肪をエネルギーとして使って走る力を高めること」です。
フルマラソンでは、体に蓄えてあった糖質をほとんど使ってしまう競技です。体内の糖質が減少すると、筋肉をスムーズに動かせなくなります。これが「30kmの壁」と呼ばれる現象です。
脂肪をエネルギーに変える能力が高いと、フルマラソンの後半まで、ばてずに走りきることができます。
走るペースは基本的にEasyペースで構いません。フルマラソンの大会に近づいてきたら、走る時間やペースを少しづつ、マラソンに近い状況へと変化させることがおすすめです。
よくある質問
いかに、練習メニューに関してのよくある質問を掲載します。
- 月間走行距離はどのくらい走る必要があるのでしょうか?
-
走る距離に正解はありません。各個人の運動歴や才能によってしまうためです。一例として挙げるなら、実父は200~250km/月ほどの走行距離でした。
- 走る頻度は4回/週以上が必要なのでしょうか?
-
走る距離と同様、頻度も正解はありません。しかし、一回で走る距離を長くしすぎると、怪我の恐れなどがある事や、走っていない日が多いと、能力が低下する可能性があるため、週4回以上が推奨です。
- 仕事が忙しく、練習できない期間があります。問題ないのでしょうか?
-
はい、一時的に練習を休止してもほとんど問題ありません。それまで継続的に練習してきた方であれば、5日程度であれば、ほとんど影響が出ないことが、研究結果として示されています。
サブ4達成の難易度:全体で上位30%
サブ4を達成すると、男性・女性全体で上位30%に相当します(男性のみの集計だと32%、女性のみだと16%)。
過去の運動経験や個人の才能にも左右されますが、サブ4を達成するためにはある程度の練習が必要です。
サブ4を達成するための練習頻度と走る距離
過去の運動経験や個人の才能によって、サブ4を達成するために必要な練習量は大きく異なります。走る頻度と距離に正解はありません。
しかし、周囲のランナーを見ていると、およそ週4回前後・月間150km~200km程度は走っている傾向があります。
週4回・月間150km~200kmでサブ4を達成できない場合は、練習への取り組み方(練習メニューなど)を考え直す必要があると考えています。
怪我の予防方法と対応
フルマラソンに向けてランニングトレーニングを始めて、一番悩みとなるのが「怪我」です。
「痛くて走れない」まではいかなくても、「走れないことはないが違和感がある」というのも怪我になります。
怪我の予防方法
怪我が発生する原因は、ほとんどの場合「急激に走る量を増やした時」に発生します。体が走ることに適応していない状態でいきなり走る量を増やしてしまうと、怪我につながります。
走る量は徐々に増やしていきましょう。走る量の増やし方は以下の方法を推奨します。
- 一週間当たりで「10%」を上限として走行距離を伸ばす
- 伸ばした走行距離を少なくとも1ヶ月維持する
- 痛みなどが発生しなければ、1ヶ月後にさらに10%伸ばす
記録を伸ばしたいと思った時にありがちなのが「いきなり練習量を増やす」ことです。このような時にこそ、慎重に練習負荷を上げていきましょう。
怪我の予防にはセルフケアも重要です。走り終わった後のストレッチ、トリガーポイントなどによる筋肉のほぐし等を並行して行います。
私自身、過去にハムストリングスの怪我に対して、セルフケアを行うことで良化した経験がありますので、是非ご参照ください。
怪我への対応
怪我してしまった時は、まず「安静にすること」が重要です。病院に行ってまず言われることも「安静に」です。
大したことが無い怪我であれば、3日程度で痛みが無くなります。しかし、3日以上安静にしても治らず、不安な場合は病院に行って診断をしてもらいましょう。
骨に異常がある場合はレントゲンで分かりますが、たいていの場合、レントゲンではわからない痛みである事も多いです。その場合はMRIなどが必要になります。
サブ4向け おすすめランニングシューズ
「ランニングを科学する」では、私自身がおすすめするランニングシューズをまとめています。
全てのシューズを網羅できてはいませんが、特に私が良いと思ったシューズを厳選しました。
もし、レース用シューズをどれにしようか迷っている、等の悩みがあれば、以下の記事をご参照ください。
是非、参考にしていただければ幸いです。
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