【マラソン・5000mでのテーパリング(=調整・ピーキング)戦略】トレーニング効果を最大限引き出す方法

 こんにちは!管理人のsyu_hibiです。

 今回は、【長距離種目におけるテーパリング】を考えていきたいと思います。

 テーパリングとは、目指す競技会やレースで最高の持久性パフォーマンスを発揮するために、数日あるいは数週間をかけて準備していく調整です。

 別名では、単に「調整」と言ったり、「ピーキング」と言われます。

 マラソンにおいて、適切なテーパリングが行われれば、持久性パフォーマンスが0.5~8.0%向上することが実験的に分かっているそうです。

 パフォーマンスに影響する度合いから、テーパリングも「トレーニングの一環」として捉えるべきだと考えています。

 そんな、レース結果に大きな影響を及ぼすテーパリングについて、体に与える影響や実際のテーパリング方法等を紹介していきたいと思います。

 先に具体的テーパリング方法について知りたい方はこちら

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1.テーパリングによって得られる効果

 テーパリングによって機能改善が見込まれる要素は、「乳酸性作業閾値」「最大酸素摂取量」、「有酸素系能力(筋肉と代謝能力)」の3点になります。各要素へのテーパリング効果が、過去、実験によって検証されていているので、それぞれ紹介していきます。

 上記3点の要素は私自身が考えるマラソンに必要な要素の一部です。マラソンに必要な要素については、次の記事で考察させていただきました。

■「最大酸素摂取量」及び「乳酸性作業閾値」への影響

 【自転車競技者、マラソンランナー、トライアスロン選手】にそれぞれ、テーパリングを行ってもらい、テーパリング前後で最大酸素摂取量の測定を行ったようです。

※効果的な具体的テーパリング方法は後述

 自転車競技者については、最大酸素摂取量に有意な向上が見られましたが、マラソンランナー及びトライアスロン選手には、有意な向上は見られなかったそうです。

 どうやら、最大酸素摂取量及び乳酸性作業閾値に対しては、テーパリングによって有意な改善がみられることもあれば、そうでないこともあるようです。しかし、テーパリングによって心血管系や呼吸器系の状態が安定する、とは言えそう、と結論づけられています。

■細胞及び代謝能力への影響

 初めに結論を述べると、「細胞(=筋繊維)や代謝能力(=糖質や脂質の酸化能力)には、有意な改善が見られる」と報告されています。

 代謝に関しては、テーパリングによって糖質や脂質を酸化する酵素が、14~18%程度活性化していると報告されており、また、テーパリングによるトレーニング量の調整効果で、筋グリコーゲン量も20%程度増加している結果が実際に得られている、とのことです。

 ただ、筋グリコーゲン量に関しては栄養面(例:グリコーゲンローディング)も大きく関係してくる要素ですので、上記の通り一概に結論づけることは難しいと考えています。

 また、定量的なデータも示されています。テーパリングを行ったマラソンランナーや水泳選手に対して、血中CK(クレアチンキナーゼ)濃度の測定を行ったところ、テーパリング後には24~43%の濃度低下が見られたようです。

 クレアチンキナーゼについての詳細な説明は割愛させていただきますが、筋肉中の細胞損傷具合を表す指標となっており、筋肉細胞の損傷が多いほど、血中CK濃度が高まる傾向にあります。

 したがって、適切なテーパリングを行うことによって、目には見えない細胞の修復も進んでいるものと推測されます。

 このように、テーパリングは、感覚的に「疲労が取れた」と感じる事に加えて、体感では感じることが難しい、「体内部の回復・機能向上」効果が得られると考えています。

 通常トレーニングにおいては、体にダメージを与え、回復する過程で強化していきますが、定期的なレース出走とテーパリングによって、普段のトレーニング効果をさらに向上させることができるのではないか、と考えています。

2.テーパリング効果紹介と具体的方法の提案

 テーパリングを効果的に進めるためには、トレーニング負荷(強度と時間)を適切にコントロールすることが必要です。

 競技や個人によって、適切なテーパリング方法は違います。その人個人に合わせた方法を、自分で模索していくことが必要だと考えています。

※次で紹介する具体的テーパリング法は、あくまで実験においての結果であることをご了承ください。

■自転車選手に対してのテーパリングテスト

 自転車競技の選手を対象にし、8週間の高強度トレーニング(85%HRmax)を実施した後、トレーニング量を50~60%に低減していったところ(強度は維持)、4日間及び8日間のテーパリングいずれにおいても、パフォーマンスに有意な向上が見られたようです。

 この時、定量的なデータとしては、糖質及び脂質を酸化する酵素の増加筋グリコーゲン量の増加が観察されています。

■具体的テーパリング例の考察

 トレーニング量・強度・期間についてそれぞれテーパリング条件を変え、効果を確認した結果をまとめた表が下記となります。テーパリングにおいては、トレーニングの【量・強度・期間】が重要だと言えそうです。

カテゴリー条件効果量
トレーニング量<20%-0.02
21~40%0.27
41~60%0.72
>60%0.27
トレーニング強度下げ-0.02
維持0.33
トレーニング頻度下げ0.24
維持0.35
テーパリング期間<7日間0.17
8~14日間0.59
15~21日間0.28
>22日間0.31

 上記表から、テーパリング期間においては

  • トレーニング量:41~60%程度まで落とす
  • トレーニング強度:維持する
  • テーパリング期間:8日間~14日間

 という条件が、今のところテーパリング方法としては最適である可能性が高い、ということが示されています。

 私自身はこれまで、このような実験データを元にテーパリング方法を決めていたわけではありませんでしたが、おおよそ「1週間前」から、トレーニング量を「6割」くらいまで落としていました。

 しかし、「強度」については維持していたので、無意識的に「実験で最適と思われる条件」に当てはまっていた、ことになります(新たにテーパリングを導入することでパフォーマンスアップを期待していたため、少し残念です)。

 ただ、実際の実業団選手の話では、フルマラソンレース前に41~60%まで練習量を落としている選手はほとんどいない、と現GMOアスリーツ近藤秀一さんがnoteで記載しています。

 実験データから、効果的だと考えられるテーパリング方法は提案させていただきましたが、最後は結局、自分に合った方法を模索していく必要がありそうです。

3.重要ポイントまとめ

 では、フルマラソンや5000mなどの長距離種目におけるテーパリング方法について、重要ポイントをまとめます。

  • 適切なテーパリングによって、持久性パフォーマンスは有意に向上する
  • テーパリングも「トレーニングの一環」として捉えるべきである
  • テーパリングによって、代謝能力の向上や筋グリコーゲンの回復、細胞の修復等が進む
  • 【トレーニング量/強度・テーパリング期間】が重要
  • トレーニング量は41~60%、強度は維持、期間は8日間~14日間程度、が最適なテーパリング条件である可能性が高い
    上記ポイントを参考に、自分に合ったテーパリング方法を模索するべき


 いかがだったでしょうか。

 再びになりますが、テーパリングは「トレーニングの一環」です。トレーニング量を落とすことに抵抗があるかもしれませんが、それも「一つの練習」として捉えることができれば、さらなる記録向上に結び付くと思います。

 ただ、最適なテーパリング方法は、各個人で違います。今回紹介した方法をベースに、自分にとって最も適切なテーパリング方法を見つけましょう!

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参考文献:

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