【フルマラソン サブ3(サブスリー・3時間切り)練習法】生理学や理論に基づき最適な方法を教えます

  • フルマラソンでサブスリーを目指しているけど、なかなか達成できない
  • サブスリーを達成するためにはどんなトレーニングをしたらよいかわからない
  • ランニングを始めたばかりだけど、最終的にはサブスリーを達成したい

こんにちは。管理人のsyu_hibiです。

 この記事を読んでいるのは「今まで一生懸命練習してきたが、なかなかサブ3が達成できずに悩んでいる」という方が多いと思います。

 本記事は、ある程度ランニングを行ってきた中級者向けの内容です。ただ、初心者の方にもわかりやすいよう、丁寧に説明しています。

 私は社会人から本格的にランニングを始めた市民ランナーです。月500km程を走り、競技志向でランニングへ取り組んでいます

 私がランニングを始めて二年でサブスリーを達成した練習法を元に、フルマラソンサブスリー練習法を提案します。

 フルマラソンで記録を出すために必要な要素を生理学的に考えてきた管理人が、「根拠に基づいた」練習方法を紹介します。

 これから紹介していく中で、何か一つでもあなたに足りなかった要素や情報を提供できることを願っています

 本記事を読めば、フルマラソンでサブスリーを達成するために必要な要素が分かり、適切な練習を取り入れることができるようになります

 ※本記事は長めの記事になっています。目次を見て自分に必要な部分だけを読んで頂けるように、できるだけ詳細に記載しています。

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0.サブスリーを達成するために最も大事なこと

 それは、「怪我無く地道に適切なトレーニングを継続すること」です

 長距離種目は正しい練習の積み重ねの上に記録向上があります

 トップランナーである川内優輝選手や、びわ湖毎日マラソンで日本記録を更新した鈴木健吾選手もコメントしていましたが、「怪我無く練習を継続すること」が記録を出すために最も重要です。

 運動生理学的に理由付けをすると、持久系の種目で必要な能力には、発達するのに時間がかかるという点が挙げられます(詳細は後述していきます)。

 市民ランナーですと、走ること以外にも仕事や家庭でやるべきことは沢山あるかと思いますが、トレーニングを継続することが最も重要であるということは忘れないでおきましょう。

1.管理人自身がサブスリーを達成した経歴

 私は社会人になってからマラソントレーニングを始めました。本格的にトレーニングを始めてから2年間サブスリーを達成しました。

 実は、マラソントレーニングを始めてからしばらくは「フルマラソンにあえて出場しない」道を選びました。

 理由としては、「しっかりトレーニングを積んだうえでマラソンに挑戦し、初フルマラソンでサブ3を達成しよう」と考えていたからです。

 自己紹介でも記していますが、普段から「根拠をもってトレーニングに取り組み、レースで結果を確実に出す」ことを意識しています。

 初フルマラソンとはいえ、練習を本格的に始めてから2年の歳月をかけています。2年間、ほぼ練習を休むことなく継続してきました。

完全休養を取らないという意味ではなく、常に記録向上を狙ってトレーニングを積み続けた、ということです。

 そんな私が、サブスリー達成に必要なエッセンスを紹介していきたいと思います。

2.サブスリーのレベル:「上位3%」

 RUNNETが2018年度のフルマラソン大会で集計をとった結果、フルマラソンでサブ3を達成すると「上位3%」に入るようです。

 母数が約30万人ですので、「サブ3を達成すると9,000位」となります。

2018年度 全日本マラソンランキング(RUNNET)より

 この数字を見ると、「そんなに多くの人が達成しているのか」と思うかもしれません。

 しかし例えば、「TOEIC」における上位3%はなんと「900点以上」だそうです。

 「TOEICで900点」と聞くと、とても高い得点に聞こえますよね。サブスリーは同じくらいの価値がある記録なのではないかと思います。

3.まずはトレーニング理論を知る

 「ダニエルズのランニングフォーミュラ」「リディアードのランニングトレーニング」という2大マラソントレーニング理論があります。

 これらをトレーニングへと適用するだけで「大幅に自己ベストを更新」できる可能性を秘めています。

 実は私自身、数年前、ランニングに一生懸命取り組んだ時期がありました。

 その時は、がむしゃらに練習していただけでした。

 練習内容も適当で、サッカー部でやっていたようなトレーニングを行っていました。毎日できる限りの速いスピードで走る、メリハリの無い練習内容でした。

 結果として、1年たってもそこまで記録を伸ばすことができず、ライフスタイルの変化もあり、ランニングから離れていました。

 しかし、同僚に促されランニングを再開。それから「ダニエルズのランニングフォーミュラ」に出会ってから、劇的に記録を向上させることができました。

 この時、「練習には適切なやり方が存在する」ということを改めて痛感しました。

 「リディアードのランニングトレーニング」青山学院大学の原監督が採用している理論でもあります。

 これら2大トレーニング理論は、あらゆる指導者の考え方のベースになっています。

 これら理論を知ったうえで、トレーニングを行うかどうかで、「目標を達成するまでの効率や可能性」を大きく高めることができると考えます。

 ただしこれらの理論では、主に具体的なトレーニング手段が記載されています。

 なぜそのトレーニングを行うのかについては、簡単には記載されているものの、そのメカニズムは理解できない点があります。

 本記事では、両理論を踏まえた練習法を、根拠と共に紹介していきます。

 これらの書籍は是非、一度は読んでおくことをおすすめしますが、本記事ではそのエッセンスを伝えていきます。

著:ジャック・ダニエルズ, 監修:前河洋一, 翻訳:篠原美穂
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4.マラソンの記録に関係のある要素

 いよいよ本題に入っていきます。始めに、「マラソンで記録を出すうえで必要な要素」を示します。ここがとても重要です。自分に欠けている考え方・要素が無いか見てみてください。

マラソンに必要な要素>>

  • 遺伝的要素、過去の運動歴
  • 練習を継続するバイタリティ
  • トレーニング強度の適切な設定
  • 最大酸素摂取量
  • 乳酸性作業閾値
  • ランニングエコノミー
  • レース前のテーパリング(調整・ピーキング)
  • レース前・当日の食事、栄養
  • レース当日の適切なペース設定

■遺伝的要素、過去の運動歴

 正しいトレーニングを積み重ねていけば、サブ3を達成することは可能でしょう。ただ、達成するまでにかかる時間には、個人差があります。

 個人差を生む要因の一つが遺伝的要素です。つまり才能です。

 過去の研究例からも、そもそもマラソンに向いた体質である事や、トレーニングを行った時に得られる効果の量が大きい「高反応型」の体質である場合があります。

 例えば、同じ部活で全く同じ練習をしていても、すごい速くなる人もいれば、なかなか速くならない人もいますね。これは、遺伝的要素による差である可能性が高いと言われています。

 また、社会人になってからランニングに取り組み始めた人については、過去に運動歴があるかどうかにも左右されます。

 一度鍛えられた能力は、長い年月をかけて後退していきますが、再びトレーニングを再開した時に、復活する速度も速いということが分かっています。

■練習を継続するバイタリティ

 冒頭でも述べたように、フルマラソンに限らず長距離種目は、トレーニングによって能力が向上するのに時間がかかりますが、正しいトレーニングを積み重ねれば、確実に前進することができます

 従って、トレーニングを継続することが記録向上のために最も重要であると言っても過言ではありません。

 トレーニングが継続できない理由(怪我、仕事、家族)には様々あると思いますが、それが精神的な部分によるところであれば、自分の心の持ちよう次第、ということになります。

■トレーニング強度の適切な設定

 効率的に練習効果を得るために重要なことが「適切な強度でトレーニングを行うこと」であると考えています。

 トレーニングでは怪我を防止しながら狙った能力を向上させることが必要です。

 強度を決める上での重要ポイントは次の通りです。これがすべてのトレーニングの前提となりますので、非常に重要です。

重要ポイント

・必ず「現状の実力」を元に強度を決めること
・同じ強度で感覚的に「楽になってきたら」、強度を上げること

 トレーニング強度の決め方は、「ダニエルズのランニングフォーミュラ」におけるVDOTが指標となります。

 ダニエルズのランニングフォーミュラにおける各ペースの名称を紹介しておきます。

  • Eペース(Easyペース):ジョギングのペース
  • Mペース(Marathonペース):マラソンのレースペース
  • Tペース(Thresholdペース):LT値付近のペース
  • Iペース(Intervalペース):最大心拍数付近でのペース
  • Rペース(Repetitionペース):1.6kmの全力レースペース

 今の自分に適切な設定ペースを算出するためには「VDOT Calculator」を使います。

 この時、タイムを入力する項目がありますが、重要ポイントでも示した通り「現状の実力」で出せるタイムを入力するように心がけてください。(VDOT Calculator使い方の記事)

 目標タイムを入力してしまうと、トレーニングとして「強度が高すぎる」ことになってしまうため、本来狙っていた能力向上が期待できなくなってしまうためです。

 また、同じ設定ペースで「楽に感じてきたら」、ペースアップをしましょう。およその目安ですが、一度ペースを上げたら、約1か月程度は維持するようにしましょう。

■最大酸素摂取量

 最大酸素摂取量とは、「1分間に体重1kgあたり取り込むことができる酸素の量」を示します。

 一般的に、マラソンのタイムと最大酸素摂取量は相関関係があると言われています。最大酸素摂取量が高いほど、マラソンのタイムが良い、ということです。

 ただ、フルマラソンでサブスリーを達成するレベルであれば、最大酸素摂取量の向上を狙ったトレーニングを行う必要性は低いと考えています。

■乳酸性作業閾値

 生理学的な観点からフルマラソンを語るとすれば、乳酸性作業閾値(LT値)は必ず理解しておきたいことです。

 サブ3達成を難しくしているのは、4:15/kmのペースを3時間続けなければならない、という点です。

 速いペースを持続する上で、運動生理学的観点から重要なことが、「糖の利用を抑えること・発生した乳酸を代謝してエネルギーに変換すること」となります。

■糖の利用を抑える

 糖の利用を抑えることは、脂肪をエネルギーとして使う能力を向上させることと同義です。

 「30kmの壁」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは筋グリコーゲン(糖質)の枯渇が原因です。 

 自分の実力に見合わない速いペースで走ると、グリコーゲンを多く消費してしまいます。

 筋グリコーゲンは筋収縮に必要不可欠であり、枯渇してしまうと、筋収縮がうまくできない状態になります。従って、できるだけ脂肪を使って走り、グリコーゲンを節約する必要があります

 脂肪を優先的に使う能力が不足しているランナーは、フルマラソンの後半で足が止まりやすいと言えます。

 脂肪を優先的に使う体に適応させていくには、「脂肪を使って運動を行う時間を稼ぐこと」が必要です。

 運動強度が比較的低い領域(ランニングで言うとジョギングペース(Eペース))長い時間運動を継続することで、徐々に「脂肪を使える体」に適応していきます。

 具体的練習法としては、「ジョギング(Eペース)」になります。長い時間ジョギングを行うことを「ロングジョグ」と言ったりします(詳細な練習法は各リンク先参照)。Eペースで行います。

重要Point

マラソン後半で足が止まらないように、「脂肪を使う能力」を高めることが重要。ジョギングペース(Eペース)をできるだけ長い時間続け、「脂肪を使う時間を稼ぐ」ことで能力発達を見込める。

■発生した乳酸を処理する能力

 発生した乳酸を処理する力を高めるためには、乳酸性作業閾値付近でのトレーニング(閾値トレーニング)が有効です。

 詳しくは、関連記事中の「【LT走(閾値走)】効果を上げる練習方法(ペース設定等)を考察」をご覧ください。

■ランニングエコノミー

 ランニングエコノミーを言い換えると、できるだけ少ないエネルギーで速く走る力、ということです。

 ランニングエコノミーは、体の使い方、筋肉の動かし方等、目には見えない多くの要因で決まる要素と言えます。

 できるだけ楽に走ることを心掛け、トレーニングを積み重ねていくうちに、ランニングエコノミーは自然と改善されていきます。

 ランニングエコノミーを大幅に改善する手段としては「ランニングフォームの改良」が上げられます。

 指導者がいない中、社会人からランニングを始めた人にとっては、フォーム改良は難しいです。

 ただ、現在では様々な書籍、Youtubeでの動画等、ランニングフォーム解説についての情報が簡単に手に入る時代です。

 まずは自分なりに、動画などで研究してみてはいかがでしょうか。

■レース前のテーパリング(調整)

 記録を出す上で大事なことはトレーニング内容だけではありません。レース前の調整(=テーパリング、ピーキング)も非常に重要です。

 適切に調整ができれば、パフォーマンスが最大8%程度向上する、と言われています。

 8~14日前から練習量を60%程度に落とすこと(練習強度=設定ペースは落とさない!!)トレーニング内容はいつもと同じです。

 参考程度ですが、GMOアスリーツの近藤秀一選手のnoteによると、周囲の実業団ランナーで練習量を60%程度まで落としているランナーはほぼいないそうです。

 どうやら、どのランナーもレース前に練習量を落としすぎることには不安があるようです。

 テーパリングはトレーニングで培ってきたパフォーマンスを最大限に発揮するためには必須です。この調整期間も「トレーニングの一環」として考えましょう。

重要ポイント
  • レース前の調整では、8~14日前から練習量を60%程度に落とすこと
  • 練習強度(設定ペース)は変えない
  • 練習内容も特に変える必要はない

■近日にレースを控えた食事について

 「30kmの壁」について触れたように、フルマラソンでは筋グリコーゲンが枯渇すると脚が止まってしまいます。

 そのため、レース前には適切に食事を行うことで筋グリコーゲンをできるだけ高めておくことが必要です。

 筋グリコーゲンを高めるために有名な方法論として「グリコーゲンローディング(=カーボローディング)」が知られています。

 しかし、正直、市民ランナーレベルで適切にカーボローディングを行うことは難しいと考えています。

 ただ、私たちでも意識できることとして、「普段よりも炭水化物を多めに食べる」ことは可能だと思っています。

 レース3日前くらいから、いつもよりもタンパク質と脂質を減らし、炭水化物を多めにとることを意識するだけでも、効果が出てくると思います。

重要ポイント

レースが近づいてきたら、普段よりもタンパク質と脂質を減らし、炭水化物を多めにとる

■レース当日のペース設定

 レースで最も意識しなければならないことは「オーバーペースにならないこと」です。

 マラソンにおける最重要ポイントとして「糖質をできるだけ使わないように走る事」を紹介させていただきました。

 オーバーペースになることで、糖質の消費が促されてしまうため、間違いなく筋グリコーゲンの枯渇(=30kmの壁)に直面することになります。

 ここまで考えながらトレーニングを行ってきていれば、トレーニングで行っているペースから、レースで実際に走れるペースはおおよそ検討が付いていると思います。

 フルマラソンでは、オーバーペースにならないよう、あらかじめ自分が走りきれるだろうと思うペースを計画し、その通りに走ることが、記録達成のポイントだと考えます。

 「VDOT Calculator」で練習ペースを設定していきますが、Mペースが、フルマラソンにおいて走りきれる設定ペースであると想定されます。

重要ポイント
  • レースでの設定ペースは、オーバーペースにならないようにする
  • 適切なペースは、普段のトレーニング結果から予想する
  • Mペースがマラソンで走りきれる「マラソンペース」である

5.月間走行距離:周囲のサブ3達成者は「250~300km」くらい

 フルマラソンでサブ3を達成するために必要な練習量には、個人差があります。遺伝的要素の影響や過去の運動歴、体質に左右されるからです。

 従って、サブ3を達成するために必要な練習量を明確に示すことはできません。月150kmくらい走っていれば達成できてしまうツワモノもいれば、月300km以上走っても達成できない人もいます。

 なので、意識してほしいことは、「今の自分にはどの要素が欠けているのか」をちゃんと見極めることです。

 例えば、「マラソンの後半に足が止まる」ことが課題だとしたら、「脂肪を使える能力が足りない」か「LT値が低いこと」のどちらかが原因だと考えられますよね。

 一応例として、私自身や周囲のメンバーの様子を見ていると、サブ3達成者の月間走行距離は「250km~300km」が最も多いようです。

6.基本となる練習メニュー(管理人の例)

 私自身がサブ3を達成したトレーニングスケジュールです。ほぼ通年で次のトレーニングを行うことで、サブスリーを達成しています。

一週間の練習メニュー>>

月曜:OFF
火曜:ジョグ(10~15km)+ウィンドスプリント(5本前後)
水曜:LT走(6000m) or インターバル(1000m×5)
木曜:OFF
金曜:ジョグ(10~15km)+ウィンドスプリント(5本前後)
土曜:ロングジョグ(15~25km)
日曜:ジョグ(10~15km)

 とてもオーソドックスなトレーニング例かと思いますが、冒頭でも示した通り、この練習メニューを怪我無く継続することが最も重要なポイントです。

 市民ランナーとして仕事や家庭がありながら、練習を休まず継続するのは、想像以上に難しく、実践できていない方も多いと思います。

7.記録向上に欠かせないアイテム

 上記で説明してきた練習法をスムーズに行うためであったり、自分自身のランニングフォームを分析したりするためには、そのためのアイテム(ランニングギヤ)が必要になります。

 私自身が、自分の走りを客観的に分析したり、快適にトレーニングを行うために必要だと思ったアイテムを次の記事でまとめています。

 具体的には、GPS付きランニングウォッチは、どんなランナーにも必須のアイテムです。

 是非、参考にしてみてください。

8.最後に

 今までの自分に足りない要素が一つでも見つかりましたでしょうか。

 私自身も、考えながらトレーニングを行うようになってから、記録の伸びが良くなりました

 本記事では、根拠を示しながら具体的トレーニング内容を紹介しました。

 皆さんも、自分が行っているトレーニングについて常に目的等を考えながらトレーニングを行うだけでも、効果が違ってくると思います。

 是非、ご自身のトレーニングへ適応してみてください。何かあれば、コメント等お待ちしております。

参考文献:

編集:Iñigo Mujika, 翻訳:長谷川 博, 翻訳:中村 大輔, 翻訳:安松 幹展, 翻訳:桜井 智野風, 翻訳:久保 啓太郎, 翻訳:禰屋 光, 翻訳:伊藤 静夫, 翻訳:相澤 勝治, 翻訳:鬼塚 純玲, 翻訳:田中 美吏, 翻訳:安藤 創一, 翻訳:加藤 晴康
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