【10km 35分切り練習法】38分24秒から34分55秒を達成した記録

10km35分切り

※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。改訂履歴は記事の最後に記載しています。

こんな疑問を解消
  • 10kmマラソンで35分切りをするための練習法が知りたい
  • 陸上経験が無くても達成できるの?
  • どのくらいの走行距離が必要なの?

 10kmレースで35分切りを狙っていて、なかなか目標を達成できない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 10kmを専門にしている方だけでなく、マラソンをメインにしながら10kmでも記録を狙いたい、という方にも、是非読んでいただきたいです!

 私は社会人から本格的にランニングを始めた市民ランナーです。月500km程を走り競技志向でランニングに取り組んでいます。

 2022年末時点で、私の10km自己ベストは33分44秒です。

 私自身が、1.5年という期間で38分24秒から35分切りを達成した方法を紹介していきたいと思います。

 本記事では、記録を更新してきた過程で大事にしていたことや、具体的なトレーニング内容までを紹介します。

10km35分切りのためのトレーニング方針
  • 「ダニエルズのランニングフォーミュラ」に出会い、トレーニング理論を導入
  • 走行距離を稼ぐことで、地力を鍛えることができ怪我耐性が向上した
  • 各ポイント練習の設定ペースを、VDOT Calculatorで算出。その時の自己ベストから適切な練習ペースを設定した
  • ポイント練習はLT走、インターバル走、レペティション
目次

出会って世界が変わった:ランニングトレーニング理論

ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第4版 本

 私は社会人になってから1年間、自己流でランニングのトレーニングを行っていました。

 がむしゃらに練習をして10km:37分17秒が自己ベスト記録。それ以上記録を伸ばせませんでした。

 社会人5年目になってランニングを再開。「ダニエルズのランニングフォーミュラ」に出会い、その練習法を元にトレーニングを継続すると、劇的に記録が伸びました

 ランニング再開2か月後は10km:38分24秒でしたが、1年と6か月後には「34分55秒」を記録することができました。

 ダニエルズのランニングフォーミュラには、運動強度毎に分けたトレーニング方法トレーニングの目的や効果の解説種目毎の練習メニュー紹介が記載されています。

 一通り読んでその通りに練習するだけで上達する、というような内容です。

 さらに良いところは、「怪我のリスク」を抑えるような解説や提案がなされており、「練習の継続性」を大事にしている点が素晴らしいです。

 ダニエルズのランニング・フォーミュラのほかに有名なトレーニング理論として「リディアード理論」があります。

 こちらは青山学院大学の原監督が採用している理論、で有名です。

 このように、ランニングトレーニングには、多くの人にとって正解に近いものが存在します。

 もし、これらトレーニング理論について全く知らないという方がいれば、是非一度手に取って読むことをおすすめします。

 本記事では、これらの理論、自分自身の経験を元にした解説を行います。

著:ジャック・ダニエルズ, 監修:前河洋一, 翻訳:篠原美穂
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10km35分切りの難易度:上位2.0%

 2022年の公認10kmロードレース2大会を集計したところ、10kmで35分を切ると上位2.0%に相当することが分かりました(10kmの公認ロードレースは大会が少なく、あくまで参考値です)。

 非常に達成が難しい記録であるということが分かります。

10kmで35分を切るレベル:「才能は必要ない」

 私の考えでは、才能は必要ないと考えています。

 ただし、あなたの運動歴や基礎体力によって、目標記録に到達できるまでの時間は人それぞれです。運動歴がほとんど無い方、年齢を重ねている方にとっては非常に高い目標です。

 学生時代に長距離経験がある方にとっては「体の状態を戻す」ことで記録達成をすることができますが、一度も経験したことが無い方にとっては「新しく体を鍛えていく」必要があります。

 難易度や達成までの時間が大きく違うことは頭に入れておく必要があります。

 周囲のランナーの例では、月間走行距離が150km前後でも35分切りを達成している方もいます。

 私の例では、月300~350km程度は走っていました。

目標を達成していく上での重要ポイントまとめ

 マラソン等で記録を向上させていく上で、次のポイントは押さえておく必要があると考えています。

長距離種目で記録を向上させるポイント
  • 練習は継続的に行う
  • 理論に基づき、各練習において目的をもって行うこと
  • 練習での走行距離を伸ばしていくことで地力がつき、怪我防止になる
  • 練習の負荷は段階的に上げていくこと
  • 練習は長期的な計画を立て、期分けして取り組むことをおすすめ
  • 現状の実力を正確に把握すること

 各ポイントについて、概要を簡単に記載してきます。

継続的な練習

 マラソンという種目の性質上、継続的な練習によって体の機能を向上させていくことが、記録向上につながります。

 体の機能は、練習を中断すると衰えてしまいます。練習を継続的に行うことで体の機能を向上させ続けることが必要です。

練習の目的を理論から理解する

 闇雲に走っていても、ある程度までは記録を伸ばすことができますが、5000mで18分を切り、さらに上のレベルに到達するためには、練習毎に「目的」をもって取り組む必要があります

 練習は狙いを持って行うようにしましょう。

走行距離の考え方

 ある記録に到達するために、必要な走行距離の正解があるわけではありません特に10kmという競技では、沢山の距離を練習では走る必要性は少ないと考えています。

 10kmで記録を出すことを考えた時、ジョギングの役割は主に「怪我に対する耐性を付けること」だと考えています。

 10kmは、LT値よりも速い速度で走り続ける競技であるため、トレーニングも必然的に高強度になります。

 ジョギングで地脚を鍛えておくことで、スピードトレーニングを行った時の怪我リスクを減らすことができると考えています。

 トレーニングにおいてだんだんと速いペースで維持できるようになったり、同じペースでも呼吸が楽になってくる現象は、ジョギングによって鍛えられる機能が貢献しています。

 「ジョギング」は非常に重要なトレーニングのうちの一つです。

練習の負荷は徐々に上げていく

 トレーニングの原則として「漸進性」が挙げられます。「漸進性」とは、ある一定の運動強度に慣れてきたら徐々に強度を上げていくことです。

 自己ベスト記録が上がってくるにつれて、トレーニングにおける設定ペースを徐々に上げていくことで、能力の継続的な向上を達成することができます。

 設定ペースはVDOT Calculatorによって計算し算出すると、適切なペースに設定することができます。

練習を長期的に計画する

 過去陸上長距離の経験が無い市民ランナーの場合、記録を一気に向上させることは正直難しいです。段階を踏んで徐々に記録を積み上げていきましょう。

 そのため、「練習計画は長期的に立てること」をおすすめします。

 計画を立てる時は、向上させたい能力を絞って時期を分けて(=期分け)」トレーニング内容を決めていくべきだと考えています。

 下記でも記載しますが、私自身も、大会が無くなる【春~夏】と、大会が始まる【秋~冬】にかけてでは、トレーニング内容を大きく変えています。

 期分けの考え方は、次の記事で紹介しています。

現状の実力を正確に把握すること

 練習での適切な負荷(=設定ペース)を決めるうえで最重要なことが「現状の実力を正確に把握すること」です。

 基本的に、練習での設定ペースは「現状の実力」を元に、「VDOT Calculator」によって算出します。

 現状の実力は、レースタイムトライアルで把握します。次の記事では、現状の実力を把握することの重要性を詳細に説明しています。

身体ステータス、練習ペース

 参考として、私自身の、身体ステータスや経歴を紹介します。

記録38分24秒34分55秒
年齢26歳28歳
身長178cm178cm
体重(レース当日の朝食前)68kg65kg
BMI指数21.820.5
月間走行距離250km350km
LTペース4:00/km3:37/km
インターバルペース3:40/km3:20/km

 一番違いを感じたのは体重の変化です。やはり体重は軽いに越したことはありません

 参考のため、エリートランナーの体重と記録を次の記事でまとめていますので、参考にしてみてください。フルマラソンにおいても、BMI指数で18~19程度が最も多いです。

普段の生活で気を付けることは?:食事、睡眠、セルフケア

 私が普段意識していることは次の3点のみです。

食事・睡眠・セルフケアで気を付けていること
  • 規則正しい食生活と睡眠(※細かい栄養計算等は不要)
  • 風呂上がりのストレッチ、ストレッチポールによる体のケア
  • 体重測定

 食生活は、炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよくとることを意識していました。

 ただ、好きなものは好きなように食べるようにしていました。走っている距離もある程度多いので、少しくらい高カロリーなものを食べても大丈夫だ!と自分自身に言い聞かせていました笑。

 睡眠は7時間以上取ることが望ましいです。

 体のケアも重要です。怪我無く練習が継続できるよう、風呂上がりケアは習慣化するようにしました。

 セルフケアで脚の痛み(ハムストリングス上部付け根)から回復した経験があります。セルフケアとしては、「超音波治療器」と「ストレッチポール」を使っています。

 体重測定は毎日行っています。定期的に測定することをお勧めします。

 無理な減量をするためではなく、体重を測定することによって、水分は足りているのか?食事が少なすぎないか?などを把握する指標にしていました。

 体重はレースの記録とも密接な関係があります。基本的には体重が軽い方が有利です。

 毎回測定するタイミングを合わせることで、体重を日毎に比較できるようにします。お勧めの測定タイミングは起床直後です。

 エリートランナーの記録と体重の関係性を調査した記事を作っています。体重の適正を知りたい方、体重の目標を決めたい方は是非ご参照ください。

具体的練習方法

 冒頭でも記載した通り、「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」に出会ってから、大きく世界が変わりました。みるみる記録が伸びていきました。

 基本的に私のトレーニングは「ダニエルズ理論」に従っています。

管理人自身のトレーニング前提

 私自身が行ってきたトレーニング条件の前提を示します。

管理人のトレーニング条件前提
  • 設定ペースはVDOT Calculatorを使って、その時の自己ベストから決める
  • ジョギングはほぼ、通勤ランか起床直後(朝食前)に行う
  • 全て単独走

 私自身は、フルタイム共働き・子育て・家事があるため、家に帰ってから練習する時間を確保することが難しいという状況でした。基本的にジョギングは通勤ランか早朝時間帯に行いました。

具体的練習内容

トレーニング内容のポイントを次にまとめます。

34分55秒を達成した時のトレーニング概要
  • トレーニング頻度:週5回
  • 月間走行距離:300~350km
  • ペース設定:自己ベストに合ったペース設定をVDOT Calculatorで算出
  • ポイント練習:週二回(LT走+レペorインターバル)
  • 距離走(ロングジョグ):長くても20km未満(ほとんどやってない)

 私自身の一週間のトレーニングメニュー例は次の通りです。

1週間トレーニングメニュー例
  • 月;OFF
  • 火;ジョグ 60min + ウィンドスプリント
  • 水;ポイント練-1 LT走
  • 木;OFF
  • 金;ジョグ 60min + ウィンドスプリント
  • 土;ポイント練-2 インターバル走 or レペティション
  • 日;ジョグ(長め)

トレーニング頻度

 練習頻度は週5回としていました。疲れが溜まっている時は無理に走らず完全休養することにしていました。

月間走行距離

 10km35分に到達するまでは、一月当たりコンスタントに300km~350km走っていました。記録は伸び続けていたので、無理に距離を伸ばすことは考えていませんでした。

ポイント練習

 基本的に、週二回ポイント練習を取り入れていました

 LT走は年間を通して行い、夏にはレペティション、秋から冬にかけてはインターバル走を取り入れました

 基本的な詳細メニューは次の通りです。設定ペースは自己ベスト記録に合わせてVDOT Calculatorで算出します。

ポイント練習メニュー
  • LT走:20分間走(テンポ走)orクルーズインターバル
  • インターバル走:1km×5 レスト2分30秒(500mジョグ)
  • レペティション:400m×10 レスト3分(歩き)
ポイント練習メニュー設定ペース
  • ジョグ:4:20~4:40/km
  • LT走:3:37~3:42/km
  • インターバル:3:20~3:25/km
  • レペティション:3:00/km

 ポイント練習は、意識・やり方によって得られる効果が大きく異なります。各トレーニング方法詳細は関連記事をご参照ください。

LT走(ペース走)

 運動強度を高めていくと、血中乳酸濃度が上昇していきます。ある運動強度を超えたところで、急激に乳酸値が上昇する閾値があります。その閾値を乳酸性作業閾値(LT値)と呼びます。

 そのLT値付近で走るトレーニングを「LT走(閾値走)」と呼んでいます。ダニエルズのランニング・フォーミュラではTペース走と呼ばれるトレーニングです。

 LT走を走り終えた時の感覚は、「後1kmから2kmくらいは続けて走れる」という感覚です。

 走り終わった後に、膝に手をつくくらいきつい状態になってしまったらLTペースよりも速すぎる可能性が高く、ペースとしては不適切です。

 少し余裕を持って走り切れるペースで行いましょう。

 LT走は練習の再現性が重要だと考えています。毎回同じ距離を同じ設定で走ることで、自分の実力や調子を測ることができるからです。

 LT走はきつい練習です。できるだけ平坦で信号がなく、安全が確保できるコースを見つけて行います。

 次の記事でLT走の実施方法について具体的に解説しています。

インターバルトレーニング

 インターバルトレーニング中は呼吸、筋力ともに苦しいです。ただし、インターバルペースも速すぎると練習量が稼げなくなり、結果的に得られる効果が少なくなります

 インターバルトレーニングでのレスト時間は、割としっかりとっても大丈夫です。ダニエルズ理論では「疾走時間以下」で設定することが推奨されているくらいです。

レペティショントレーニング

 インターバルペース以上の速度で走るレペティショントレーニングも必要です。

 また、インターバルペースは非常に苦しくなるペースであるため、ランニングフォームを維持できなくなります。

 そこで重要なことが、ランニングの最大出力(=ランニングフォーム、ランニングエコノミー)を改善することです。「楽に速く」走れるようになることが大事です。

 また、先にも記載した通り、速筋繊維に刺激を与え中間型速筋繊維への変化をさせていくことが必要です。

 これらに効果的な練習がレペティションです。レペティションとは、ほぼ全力に近いペースで走るトレーニングです。

 全力に近いとはいっても、完全な全力ではなく、おおよそインターバルペースよりも1km当たり20秒ほど速くしたペースです。ダッシュではないことに注意してください。

 レペティションのメニュー例は下のようになります。

レペティショントレーニングメニュー例
  • 200m×15 40秒/本
  • 400m×10 80秒/本
  • 600m×7 120秒/本

 レストは呼吸が整うまで十分にとりましょう。レペティションの目的は呼吸を追い込むことではありません。

 レペティショントレーニングはランニングエコノミーを改善し、ランニング効率ランニング最大スピードを上げることが目的です。

 レペティショントレーニングは陸上競技場で行うことをおすすめします。アスファルトで行うには負担が大きく、公共の道路であるため危険も伴います。

ロングラン

 目標レースが10kmであっても、ロングランは重要なトレーニングのうちの一つです。

 走るペースはEasy~Moderateペースで行い、10km レースが目標である場合は走る時間は90分程度で十分です。

 10kmでは、トレーニングにおける走行ボリュームの重要性が下がりますので、ロングランの重要性も同様に下がります。

 ロングランで得られる効果については、次の記事を参考にしてください。

ウィンドスプリント

 ウィンドスプリントは別名「流し」と呼びます。20秒前後の軽いダッシュを数本行います。本数間は1分程度の本当にゆっくりなジョギング、もしくは歩きで休憩します。

 ウィンドスプリントをトレーニングに取り入れることによって、速筋繊維への刺激や高強度トレーニング向けた怪我予防効果があります。

 ウィンドスプリントについては次の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

レース当日の食事、ペース設定

食事と栄養

 食事は少なくとも、レースの3時間前までに炭水化物中心で消化の良いものにしておきましょう。

 10kmでは、エネルギー切れの心配はないため、そこまで沢山栄養を取っておく必要はありません(体重が軽いほうが有利と言われています)。

 レース直前も、水分以外は特に気にする必要はないと考えています。

ペース設定

 基本的に目標タイムを元にイーブンで走ることを心掛けます。「後半遅くなってもいいように前半に貯金を作って・・・」と考えていると、後半相当きつくなって垂れてしまう可能性が高いです。

 35切りを狙うレベルであれば、目標タイムを等分し、同じペースで刻んでいくことが最も良いと考えています(長距離の基本です)。

記録向上に欠かせないアイテム

 上記で説明してきた練習法をスムーズに行うためであったり、自分自身のランニングフォームを分析したりするためには、そのためのアイテム(ランニングギア)が必要になります。

 私自身が、自分の走りを客観的に分析したり、快適にトレーニングを行うために必要だと思ったアイテムを次の記事でまとめています。

具体的ポイント事項まとめ

 38分24秒から34分55秒まで記録を伸ばすことができた具体的ポイントをまとめます。

10km35分切り まとめ
  • 走行距離が少なくても達成可能だが、怪我防止等のメリットもあるためある程度の走行距離は欲しい。管理人自身は300~350km/月前後は走っていた
  • 各ポイント練習の設定ペースを、VDOT Calculatorで算出。その時の自己ベストから適切な練習ペースを設定した
  • ポイント練習はLT走、インターバル走、レペティション。ロング走はやっていない

 今回は、38分24秒から34分55秒まで記録を向上させることができたポイントを中心に紹介させていただきました。

 是非参考になれば幸いです。

参考文献:

著:ジャック・ダニエルズ, 監修:前河洋一, 翻訳:篠原美穂
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