【10km練習メニュー】初心者から40分切りまで目標別トレーニングガイド

【10km練習メニュー】初心者から40分切りまで目標別トレーニングガイド
こんな疑問・悩みを解消
  • 10kmを初めて走りたい、完走できるか不安
  • 10キロ走れるようになるには何をすればいい?
  • 10km 40分切り・35分切りの練習方法が知りたい
  • 本記事対象:10km完走を目指す初心者〜40分切りを目指す中級者

 10000m(10km)を走ろうと思っている方の中には、5000mや10000mのトラックレースを主戦場にしている方から、フルマラソンに向けたスピード養成のために取り組もうと思っている方まで様々だと思います。

 最終的な目標がどの競技であれ、10000mで記録を出すための取り組みにはほとんど影響がありません。ここでは、10000mで記録を出すための練習方法について詳しく解説します。

 私自身が本格的にランニングを始めた時は「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」を参考に練習メニューを組み、記録を向上させることができました。

 しかし、運動生理学の勉強などをしてから思い返してみると、本を読んだだけでは理解できていなかったことも多くありました。

 本記事を読めば、10000mで記録を出すために必要な考え方を理論的に理解し、優先的に取り組まなければならないことが分かります。また、具体的な10000mで記録を出すための練習法が分かります。

著者:らんしゅー
日比野就一

社会人からランニングを始めました。
理論に基づいたトレーニングで、
どこまで記録を伸ばすことができるか挑戦。
競技志向で取り組んでいます。
自己紹介・記録変遷はこちら

血中乳酸濃度や血糖値も測定。
マラソンへ科学的にアプローチします。

★自己ベスト
 1500m 4:25(2022/08)
 5000m 16:01(2022/09)
 10000m 33:44(2021/12)
 ハーフ 1:12:29(2022/03)
 フル 2:40:15(2026/03)

著者:らんしゅー
日比野就一

  社会人からランニングを始めました。
  理論に基づいたトレーニングで、
  どこまで記録を伸ばすことができるか挑戦。
  競技志向で取り組んでいます。
   自己紹介・記録変遷はこちら

  血中乳酸濃度や血糖値も測定。
  マラソンへ科学的にアプローチします。

  ★自己ベスト
   1500m 4:25(2022/08)
   5000m 16:01(2022/09)
   10000m 33:44(2021/12)
   ハーフ 1:12:29(2022/03)
   フル 2:40:15(2026/03)

目次

トレーニング理論の基本

ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第4版 本

 10kmのタイムは主に3つの要素で決まります。最大酸素摂取量(VO2max)、乳酸閾値(LT)速度、そしてランニングエコノミーです※1。これら3つの要素をバランスよく向上させることが、記録短縮への近道です。

 ランニングトレーニングは、個人ごとに最適な方法が異なりますが、その中でも多くの人に対して当てはまるトレーニング理論があります。

 私自身は「ダニエルズのランニングフォーミュラ」に出会ってから、劇的に記録向上を達成することができました。ダニエルズ理論では、怪我のリスクを抑えたトレーニング手法が紹介されているため、怪我の頻度も減りました。

 他には青山学院大学の駅伝部が採用している「リディアードのランニング・トレーニング」があり、書籍として発売されています。

 これらはある程度ボリュームのある本ですが、今後も継続的に目標を上げていきたいと思うのであれば、一回は読んでおいた方が良い内容となっています。

★推薦図書

【初心者向け】10km完走を目指す練習メニュー

 10kmを走ったことがない方、または走れるかどうか不安な方は、まずこのセクションの8週間プログラムから始めてください。

 初心者がランニングを始める際に注意が必要なのは、傷害による挫折です。ある研究によると、初心者がランニングプログラムを開始した場合、完了率は27%にとどまり、傷害が脱落の主な原因であることが報告されています※2。最初の数週間は「もう少し走れそう」と思っても抑えることが、継続の鍵です。

8週間・10km完走プログラム(週3回)

 ウォーキングとジョギングを組み合わせ、8週間で10kmを走れる体を作ります。各回の目安時間は40〜60分です。「ジョグ」は会話ができるゆっくりしたペースで行います。

ポイント練習(週1回)その他の日(週2回)
1〜2週ジョグ10分+ウォーク5分を2セットウォーク30分
3〜4週ジョグ15分+ウォーク3分を2セットジョグ20分
5〜6週ジョグ25分+ウォーク2分+ジョグ15分ジョグ25分
7週ジョグ40分(連続)ジョグ30分
8週10kmレース or ジョグ50〜60分ジョグ30分

 8週間後に10km完走を達成できたら、次は「目標タイム別のトレーニング」(このページの続き)に進んでください。

【中・上級者向け】記録を伸ばす段階的トレーニング

練習量の目安

 走行距離は必要なトレーニングを行った結果としてついてくるものであって、追い求めるものではないと考えています。特に10000mをメインの目標とする場合、フルマラソンと比較して走行距離の重要性は低下します。

 世界のエリートランナーで言うと、フルマラソンランナーは月間で800km〜1000kmの走行距離となるのに対し、5000m〜10000mのランナーは640〜800km程度の走行距離になるようです。

 私自身が10000mで33分台で走れていた時は、月間走行距離が400〜500kmの間くらいでした。

 私自身はハーフマラソンやフルマラソンに向けたトレーニングを行っている中で10kmのロードレースに出場したので、比較的走行距離が多いほうだと思います。

 10kmだからと言って練習量が少なくてもいい、というわけではありません。練習の質と量の適度にバランスをとりましょう。自分の体の回復が間に合う範囲内でトレーニングを行っていくことが必要です。

 10000mに限らず、レースで記録を出すためのトレーニングは半年程度の期間で構築する必要があると考えております。

 ただ、フルマラソンに向けたトレーニングの過程で10kmに取り組む場合には、トレーニングサイクルの一環として10kmレースに出場することも可能です。

 以下で示すトレーニング例に当てはめると、基礎構築期を2か月、鍛錬期と特異期を合わせて2か月に設定し10kmレースに向けて準備をして出場します。その後、フルマラソンに向けた特異的なトレーニングに移行していくと、スムーズにトレーニング強度を移行していくことができます。

 トレーニングを構築するうえで重要なのが、ランニングトレーニング強度とボリュームの配分です。体の回復と適応が間に合う範囲内でトレーニングを積み重ねていく必要があります。

 次の記事では、トレーニング強度について網羅的に解説しています。

 各Stepでは、以下のような強度別トレーニングを紹介しています。

第1Step:基礎構築期

 基礎構築期のトレーニングは、10000mでもフルマラソンでも、大きな違いはありません。基礎構築期で意識することは以下の通りです。

基礎構築期における重要なこと
  • トレーニングボリュームを最大化すること
  • 有酸素能力の構築にもっとも時間を割くこと
  • レースペースから離れたスピードでのランニングを取り入れる唯一の期間

 基礎構築期は、目標レースに向けたトレーニングの中で、最もトレーニングボリューム(走る距離)が増える時期です。

 基礎構築期においてトレーニングボリュームを増やすことで、第2Stepや第3Stepで行う10000mレースに特化した高強度なトレーニングでもケガをしない体づくりや回復力の向上を獲得することができます。

 トレーニングボリュームを高めることで筋肉におけるミトコンドリアの数が増え、基本的な有酸素能力のベースを向上させることができます。

 また、基礎構築期はレースペースから離れたペースでのトレーニングを入れやすい時期です。最大出力を高めることで、

 10000mが目標の場合の基礎構築期におけるトレーニング例は、次の通りです。

基礎構築期のトレーニング
  • 月曜:OFF
  • 火曜:モデレートラン60min + 流し6本
  • 水曜:LTペース走 or LTインターバル走
  • 木曜:Easyジョグ60min + 流し6本
  • 金曜:OFF
  • 土曜:坂トレーニング
  • 日曜:ロングラン(90min)

 基礎構築期は「LT強度のトレーニング+坂トレーニング+ロングラン」を週1回ずつ取り入れていきます。

 LTペース走は「Tペース走」とは異なります。別名でスイートスポットトレーニング(SST)と呼びます。

 坂トレーニングは150〜300m程度の坂(傾斜率3.0〜5.0%)を、およそ3000m〜5000mのレースペースで駆け上がります。レストはジョグで、上ってきた坂を下ります。合計の疾走距離が2000〜4000m程度が理想となります。

 最大出力の向上に注力したい場合は、一回当たりの疾走距離を50~100m程度に設定し、疾走ペースを高めて行うことも効果的です。

 もし、速いペースがきつい場合は目標レースが10000mであることも考慮して、10000mのレースペース程度にして一回当たりの疾走距離とトータルの距離を少し伸ばす、のような調整をしても構いません。

 週1回程度はロングランを入れましょう。10kmは十分な長距離種目です。理想は120minですが、最低90minは走っておきたいです。

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第2Step:鍛錬期

 鍛錬期で意識することは以下の通りです。

鍛錬期における重要なこと
  • 高強度なトレーニング(88%VO2max以上)を導入してミトコンドリアの機能を高めていく
  • 10000mレースペースに近いトレーニングを徐々に取り入れていく
  • 基礎構築期で培った有酸素能力を維持する

 鍛錬期では高強度トレーニングを導入します。週90〜95%心拍数(最大心拍数比)の強度で行うインターバルトレーニングは、中強度の持続走と比較してVO2maxを効率よく高めることが、複数のランナーを対象にした研究で確認されています※3。つまり、ゆっくり長く走るだけでは到達できない「天井」を押し上げる効果があります。

 10000mレースに向けて、レースペースに近いペースでのトレーニングを徐々に入れていくことでランニングエコノミーと特異性を向上させていきます。

 基礎構築期間で向上させた有酸素能力と基礎スピードは維持することに努めます。鍛錬期のトレーニングメニュー例は次の通りです。

鍛錬期のトレーニング
  • 月曜:OFF
  • 火曜:Easyジョグ60min + 流し6本
  • 水曜:Tペース走
  • 木曜:Easyジョグ60min+ 流し6本
  • 金曜:OFF
  • 土曜:ショートインターバル
  • 日曜:ロングラン(90min)

 Tペース走はダニエルズのTペースを示しています。およそOBLA強度(88~92%HRmax)で行う比較的きついトレーニングになります。LTペース走とは強度が明確に異なります。

 ショートインターバルは5000m~10000mレースペースで行います。レースペースに体を徐々に慣らしていくことが目的です。

 週1回のロングランは継続することで、最低限の有酸素能力を維持することを狙います。

第3Step:レースへの特異性向上期

 レースへの特異性向上期がレース前の最終Stepになります。レース直前の時期に意識することは以下の通りです。

特異期における重要なこと
  • レースペースに近いペースでのトレーニングを増やしランニングエコノミーを向上させる
  • 基礎構築期、鍛錬期で培った能力を最低限維持する

 この時期はレースペースに近いトレーニングを入れていきます。10kmが目標レースの場合、具体的なトレーニングメニュー例は次の通りです。

特異期のトレーニング
  • 月曜:OFF
  • 火曜:Easyジョグ60min + 流し6本
  • 水曜:Tペース走
  • 木曜:Easyジョグ60min
  • 金曜:OFF
  • 土曜:CVインターバル
  • 日曜:Easyロングラン(90min)

 CVインターバルは、およそ10000mのレースペースで行うロングインターバルトレーニングです。5000mレースペースで行うVO2maxインターバルよりも少しペースを遅めに設定し、本数や距離を伸ばしたトレーニングです。

 10000mレースが目標の場合は、トレーニングの一環として3000〜5000mのレースに出場することもおすすめです。3000〜5000mのレースに出場してある程度の力を出して走り切ることができれば、VO2maxに強い刺激が入ります。

トレーニングでの設定ペースの決め方

 トレーニングでの設定ペースは、VDOT Calculatorで算出します。

 現時点での自己ベストから、今の自分に適した設定ペースを計算できます。使い方については、次の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

出版情報
出版した電子書籍シリーズ(サブ3・サブ4・閾値トレーニング)

「走り込んでいるつもりが、見落としている部分があるかもしれません」——量・質・頻度、そのすべてがかみ合って初めてタイムは伸びます。血中乳酸濃度の実測データに基づく電子書籍シリーズ、全3冊。

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レース前の調整方法

 レース前はトレーニング量を減らして調整を行います。これをテーパリングと呼びます。

 テーパリングの研究をまとめたメタアナリシス(複数研究の統合分析)によると、練習量を40〜60%削減しながら強度を維持する2週間のテーパーが最も効果的で、統計的に明確なパフォーマンス向上が確認されています※4。つまり、量は大きく減らしても、速いペースの練習は続けることが重要です。

 市民ランナーを対象にした大規模研究でも、規律正しいテーパーを行ったランナーは、そうでないランナーと比較してタイムが統計的に有意に短かったことが報告されています※5。練習量を削減することへの不安を感じる方は多いですが、科学的な根拠に基づいて取り組んでみてください。

普段の生活で気を付けることは?:食事・睡眠・セルフケア

 ランニングトレーニング以外で私が普段意識していることは次の3点です。

食事・睡眠・セルフケアで気を付けていること
  • 規則正しい食生活と睡眠(※細かい栄養計算等は不要)
  • トレーニング後のストレッチ、ストレッチポールによる体のケア
  • 体重測定

 食生活は、炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよくとることを意識しています。

 ただ、好きなものは好きなように食べるようにしていました。走っている距離もある程度多いので、少しくらい高カロリーなものを食べても大丈夫だ!と自分自身に言い聞かせて、ストレスがないように生活をしています。

 睡眠は意識して7時間は確保することにしています。忙しくて寝ている時間が無い、という方も多いと思いますが、練習することと同じくらい休養も重要です。

 体のケアも最低限の継続が必要です。怪我無く練習が継続できるよう、トレーニング後のストレッチとストレッチポールでの筋膜リリースは習慣にしています。

 実際にこのセルフケアで脚の痛み(ハムストリングス上部付け根)から回復した経験があります。

 体重測定は毎日行っています。定期的に測定することをおすすめします。

 無理な減量をするためではなく、体重を測定することによって「水分は足りているのか?食事が少なすぎないか?」などを把握する指標にしていました。

 体重はレースの記録とも密接な関係があります。基本的には体重が軽い方が有利です。

 毎回測定するタイミングを合わせることで、体重を日毎に比較できるようにします。おすすめの測定タイミングは起床直後です。

 エリートランナーの記録と体重の関係性を調査した記事を作っています。体重の適正を知りたい方、体重の目標を決めたい方は是非ご参照ください。

 皆様の参考になれば幸いです。

参考文献

※1 Bassett DR Jr, Howley ET (2000) “Limiting factors for maximum oxygen uptake and determinants of endurance performance” Medicine & Science in Sports & Exercise

※2 Relph N, et al. (2023) “Couch-to-5k running programme adherence and musculoskeletal injury” Int J Environ Res Public Health

※3 Helgerud J, Hoydal K, Wang E et al. (2007) “Aerobic high-intensity intervals improve VO2max more than moderate training” Medicine & Science in Sports & Exercise

※4 Bosquet L, Montpetit J, Arvisais D, Mujika I (2007) “Effects of tapering on performance: a meta-analysis” Medicine & Science in Sports & Exercise

※5 Smyth B, Lawlor A (2021) “Longer disciplined tapers improve marathon performance for recreational runners” Front Sports Act Living

※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。

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