【ハーフマラソン1時間15分(75分)切り練習法】2年間で1時間24分台→1時間14分台を達成した記録

ハーフ1時間15分

※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。改訂履歴は記事の最後に記載しています。

こんな疑問を解消
  • ハーフマラソン1時間15分(75分)切りがなかなか達成できない
  • ハーフマラソン1時間15分(75分)切りのためのトレーニング方法が知りたい

 こんな悩みを持っているランナーへ、目標達成のために有益な情報を発信します。

 私は社会人から本格的にランニングを始めた市民ランナーです。月500km程を走り競技志向でランニングに取り組んでいます。

 現在、ハーフマラソン自己ベストが1時間12分29秒程度の実力です。

 本記事では、私自身がハーフマラソンで1時間24分台から1時間14分台までどうやって達成していったかを紹介します。

 1時間24分から1時間17分までは、ランニングを始めた延長線上のトレーニングを継続して達成することができました。

 しかし、1時間17分を達成してから記録が伸び悩んだため、大きく練習内容を見直しました

 本記事を読めば、ハーフマラソンで1時間15分切り(75分切り)を達成するためにポイントとなる考え方、具体的練習内容が分かります。

 別の記事では、2019年12月(1時間19分10秒)から2020年11月(1時間14分40秒)で行った練習メニューを全公開しています。練習内容をすべて掲載しています。

目次

1時間15分切り(75分切り)の難易度:上位2.5%以内

 2022年JAAF公認ハーフマラソン6大会を集計したところ、ハーフマラソンで75分切りを達成すると、全ランナーの上位2.5%に相当します。

ハーフマラソン ランキングNレベル表

 かなり難易度が高いことが分かります。

トレーニングを進める前提:重要ポイントまとめ

 先に述べた通り、ハーフマラソン75分切りは非常に高い目標です。目標達成のためには大事なポイントを抑える必要があります。

 1時間24分から1時間15分切りまで記録を伸ばすことができたポイントを先に書きます。

 長距離トレーニングにおいて、私自身が重要だと考えている項目です。

長距離種目で記録を向上させるポイント
  • 練習は継続的に行う
  • 理論に基づき、各練習において目的をもって行うこと
  • 練習での走行距離を伸ばしていくことで地力がつき、怪我防止になる
  • 練習の負荷は段階的に上げていくこと
  • 練習は長期的な計画を立て、期分けして取り組むことをおすすめ
  • 現状の実力を正確に把握すること

継続的な練習

 マラソンという種目の性質上、継続的な練習によって体の機能を向上させていくことが、記録向上につながります。

 体の機能は、練習を中断すると衰えてしまいます。練習を継続的に行うことで体の機能を向上させ続けることが必要です。

練習の目的を理論から理解する

 闇雲に走っていても、ある程度までは記録を伸ばすことができます。

 しかし、ハーフマラソンで1時間25分を切りさらに記録を向上させるレベルに到達するためには、練習毎に目的をもって取り組む必要があります

 狙いを持ったトレーニングを行うようにしましょう。

走行距離の考え方

 ある記録に到達するために、必要な走行距離の正解があるわけではありません。

 しかし、学生時代に陸上長距離種目未経験のランナーがハーフマラソンで1時間15分を切るためには、ある程度の走り込みを行っていくことが必要になると考えています。

 私自身がハーフマラソンで1時間17分で記録が伸び悩んだ後、1時間15分切りを達成するまでに変えた点の一つが、「練習で走る距離を増やしたこと」です。

 走る距離を増やすには「ジョギングの距離や頻度」を高めることが必要です。ジョギングの目的や効果については次の記事で詳細に紹介しています。

 私自身がハーフマラソンで1時間14分台を達成した時の走行距離は350~400km/月でした。

練習の負荷は徐々に上げていく

 トレーニングの原則として「漸進性」が挙げられます。「漸進性」とは、ある一定の運動強度に慣れてきたら徐々に強度を上げていくことです。

 自己ベスト記録が上がってくるにつれて、トレーニングにおける設定ペースを徐々に上げていくことで、能力の継続的な向上を達成することができます。

 設定ペースはVDOT Calculatorによって計算し算出すると、適切なペースに設定することができます。

練習を長期的に計画する

 先にも話ましたが、過去陸上長距離の経験が無いランナーの場合、記録を一気に向上させることは正直難しいです。

 そのため、「練習計画は長期的に立てること」をお勧めします。

 計画を立てる時は、向上させたい能力を絞って「時期を分けて(=期分け)」トレーニング内容を決めていくべきだと考えています。

 私自身、大会が無くなる春~夏と、大会が始まる秋~冬にかけてでは、トレーニング内容を大きく変えています。

現状の実力を正確に把握すること

 練習での適切な負荷(=設定ペース)を決めるうえで最重要なことが「現状の実力を正確に把握すること」です。

 基本的に、練習での設定ペースは「現状の実力」を元に、「VDOT Calculator」によって算出します。

身体ステータス・練習の設定ペース

 ランニングを開始して以降の、私自身の身体ステータスや練習の設定ペース変遷を記載します。【ハーフマラソン記録毎】に記載しています。

スクロールできます
【ハーフ記録】1:24:101:22:451:19:101:17:201:14:40
体重68kg67kg65kg65kg64kg
BIM(身長178cm)21.521.220.520.520.2
ランニング歴3か月4か月10か月1年2か月2年
月間走行距離250250250300350
LTペース(20分)4:003:523:453:403:31
インターバルペース
(1km×5 r=2.5分)
3:403:353:303:253:20
年齢2727272828

 1時間17分20秒を達成するまでは、ランニングを本格的に開始してからの練習内容の延長で、記録を向上させることができました。

 しかしそこから1時間15分切りを達成するまでには、大きく練習内容を見直しました

ハーフマラソンで1時間15分を切るのに、才能は必要ない

 私の考えでは、才能は「必要ない」と考えています。ただし、あなたの運動歴や基礎体力によって、1時間15分に到達できるまでの時間は人それぞれです。

 運動歴がほとんど無い方、年齢を重ねている方にとっては非常に高い目標です。

 長距離経験がある方にとっては体の状態を戻すことで記録達成をすることができますが、一度も経験したことが無い方にとっては新しく体を鍛えていく必要があります。

 難易度や達成までの時間が大きく違うことは頭に入れておく必要があります。

普段の生活で気を付けることは?:食事、睡眠、セルフケア

 記録を伸ばすために必要なことはやるべきだと考えていました。私自身、次のようなことはやっていました。

食事・睡眠・セルフケアで気を付けていること
  • 規則正しい食生活と睡眠(※細かい栄養計算等は不要)
  • 風呂上がりのストレッチ、ストレッチポールによる体のケア
  • 体重測定

 食生活は、炭水化物・タンパク質・脂質をバランスよくとることを意識していました。

 ただ、好きなものは好きなように食べるようにしていました。走っている距離も多かったので、少しくらい高カロリーなものを食べても大丈夫だ!と自分自身に言い聞かせていました。

 精神的にも、好きなものが食べられた方が幸せです。

 睡眠は意識して7時間以上は確保することが望ましいです。

 体のケアも重要です。怪我無く練習が継続できるよう、風呂上がりケアは習慣化するようにしました。

 体重は重要です。定期的に測定することをお勧めします。無理な減量をするためではなく、体重を測定することによって、水分は足りているのか?食事が少なすぎないか?などを把握する指標にしていました。

 体重は記録とも密接な関係があります。体重の減少量などから、練習でのパフォーマンスを評価したり、大会での目標記録を推測する、といったこともしていました。

 毎日、体重を測定する時間を合わせることで、体重を日毎に比較できるようにします。おすすめの測定タイミングは起床直後です。

 エリートランナーの体重と記録を次の記事でまとめていますので、参考にしてみてください。

練習方法(タイム設定など):記録向上の流れと練習内容の変化

 1時間17分20秒を達成するまではランニングを開始してからの練習の延長線上で記録を向上させることができましたが、そこから1時間14分40秒を達成するまでには大きく練習内容を見直しました

 1時間17分までの練習と、1時間14分台を達成するために見直した内容を分けて記載します。

管理人自身のトレーニング前提

 私自身が行ってきたトレーニング条件の前提を示します。

管理人のトレーニング条件前提
  • 設定ペースはVDOT Calculatorを使って、その時の自己ベストから決める
  • ジョギングはほぼ、通勤ランか起床直後(朝食前)に行う
  • 全て単独走

 私自身は、フルタイム共働き・子育て・家事があるため、家に帰ってから練習する時間を確保することが難しいという状況でした。基本的にジョギングは通勤ランか早朝時間帯に行いました。

1時間24分→1時間17分までの練習内容

 1時間17分までは、ランニングを開始してからの延長線上のトレーニングによって達成できました。トレーニング内容のポイントを次にまとめます。

1時間17分を達成した時のトレーニング概要
  • トレーニング頻度:週5回
  • 月間走行距離:250~300km
  • ペース設定:自己ベストに合ったペース設定をVDOT Calculatorで算出
  • ポイント練習:週二回(LT走+レペorインターバル)
  • 距離走(ロングジョグ):長くても20km未満(ほとんどやってない)

トレーニング頻度

 練習頻度は週5回としていました。疲れが溜まっている時は無理に走らず完全休養することにしていました。

月間走行距離

 1時間17分に到達するまでは、一月当たりコンスタントに250km~300km走っていました。記録は伸び続けていたので、無理に距離を伸ばすことは考えていませんでした。

ポイント練習

 基本的に、週二回ポイント練習を取り入れていました

 LT走は年間を通して行い、夏にはレペティション、秋から冬にかけてはインターバル走を取り入れました

 基本的な詳細メニューは次の通りです。設定ペースは自己ベスト記録に合わせてVDOT Calculatorで算出します。

ポイント練習メニュー
  • LT走:20分間走(テンポ走)orクルーズインターバル
  • インターバル走:1km×5 レスト2分30秒(500mジョグ)
  • レペティション:400m×10 レスト3分(歩き)
ポイント練習メニュー設定ペース
  • ジョグ:4:20~4:40/km
  • LT走:3:42~3:45/km
  • インターバル:3:30/km
  • レペティション:3:00/km

 ポイント練習は、意識・やり方によって得られる効果が大きく異なります。各トレーニング方法詳細は関連記事をご参照ください。

LT走

 LT走のポイントは「タイムトライアルではないこと」を意識しました。LT走を終える時に膝に手をついて止まらないといけないほどである場合は、ペース設定が速すぎる可能性が高いです。

 私自身、LT走を走り終えた時に毎回余裕があったか?と言われると、その時々によってタイムトライアルのようにきつかったことも多くありました

 LT走は強度を適切にコントロールして行うことが重要です。きつすぎる強度では、練習の継続性に難があります(精神的に持たないことや怪我のリスク)。

インターバルトレーニング

 インターバルトレーニング中は呼吸、筋力ともに苦しいです。ただし、インターバルペースも速すぎると練習量が稼げなくなり、結果的に得られる効果が少なくなります

 インターバルトレーニングでのレスト時間は、割としっかりとっても大丈夫です。ダニエルズ理論では「疾走時間以下」で設定することが推奨されているくらいです。

レペティショントレーニング

 インターバルペース以上の速度で走るレペティショントレーニングも必要です。

 また、インターバルペースは非常に苦しくなるペースであるため、ランニングフォームを維持できなくなります。

 そこで重要なことが、ランニングの最大出力(=ランニングフォーム、ランニングエコノミー)を改善することです。「楽に速く」走れるようになることが大事です。

 また、先にも記載した通り、速筋繊維に刺激を与え中間型速筋繊維への変化をさせていくことが必要です。

 これらに効果的な練習がレペティションです。レペティションとは、ほぼ全力に近いペースで走るトレーニングです。

 全力に近いとはいっても、完全な全力ではなく、おおよそインターバルペースよりも1km当たり20秒ほど速くしたペースです。ダッシュではないことに注意してください。

 レペティションのメニュー例は下のようになります。

レペティショントレーニングメニュー例
  • 200m×15 40秒/本
  • 400m×10 80秒/本
  • 600m×7 120秒/本

 レストは呼吸が整うまで十分にとりましょう。レペティションの目的は呼吸を追い込むことではありません。

 レペティショントレーニングはランニングエコノミーを改善し、ランニング効率ランニング最大スピードを上げることが目的です。

 レペティショントレーニングは陸上競技場で行うことをおすすめします。アスファルトで行うには負担が大きく、公共の道路であるため危険も伴います。

1時間17分20秒→1時間14分40秒までの練習内容

 1時間17分20秒以降、記録が伸びなくなりました。そこで練習内容を大きく見直しました。見直した内容は赤字で示します。

16分21秒を達成した時のトレーニング概要
  • トレーニング頻度:週5→6回
  • 月間走行距離:250~300→350~400km
  • ペース設定:VDOT Calculatorで算出
  • ポイント練習:週二回(LT走+レペorインターバル)
  • 距離走(ロングジョグ):週一回最長25km

 私は良くハーフマラソンレースに参加していたのですが、レース中に感じていたこととして、「レース後半の落ち込み」が改善点だと思っていました。

 15km地点くらいになると急に足が止まってしまっていました。

 原因は明確には分からなかったのですが、感覚として「糖質を使い切った感覚」に似ていたため、ランニングにおいて糖質を使う割合が多いのでは?と仮説を立てました。

 走行距離を増やしていくことで、脂質を使う割合を増やしていこう、と考えました。

 練習頻度を週5回から6回へ増やし、22~25km程度の距離走を取り入れることにしました。

 走る頻度と距離を伸ばしてから、4か月後くらいから効果が出始めました。例えば、20分間のLT走では、設定ペースが3:38→3:31/kmまで向上しました。

 ハーフマラソンで1時間14分40秒を達成した時、1週間単位ではこのような練習をしていました。

1時間14分40秒を達成した時の1週間トレーニングメニュー例
  • 月;OFF
  • 火;ジョグ
  • 水;ポイント練-1 LT走 or インターバル走
  • 木;ジョグ
  • 金;ポイント練-2 距離走(20~25km)
  • 土;ジョグ
  • 日;ポイント練-3 レペ or インターバル走

 フルマラソンに向けた脚づくりも同時に行いたいという思いがあったため、週一回のロングランとインターバルの組み合わせでトレーニングを行いました。

 リディアード理論でも週一回の有酸素ロングランが推奨されているので、ロングランによるスピード低下は気にしないでトレーニングを進めました。

 インターバルとロングランのポイント練習間隔が空いて、疲労がだいぶ取れている時、ウィンドスプリント(150m程度をレペティションペースで走る)を入れて負荷を高めることを意識していました。

 インターバル走は、400mのショートインターバルヤッソ800(800m×10のインターバルトレーニング)を行いました。それぞれの設定ペースは下記となります。

インターバルメニューと設定ペース
  • 400m×15 75秒-レスト40秒(その場)
  • 800m×10 2分40秒-レスト130~150秒(400mジョグ)

レース当日の食事、ペース設定

食事と栄養

 食事は少なくとも、レースの3時間前までには済ませておきましょう。食事内容は炭水化物中心で消化の良いものにしておきましょう。

 レース直前も、水分以外は特に気にする必要はないと考えています。

ペース設定と集団走

 基本的には難しいことを考えず、目標タイムを元にイーブンで走ることを心掛けましょう。後半遅くなってもいいように前半に貯金を作って・・・と考えていると、後半相当きつくなって垂れてしまう可能性が高いです。

 ただし、ハーフマラソン以上の距離になってくると集団走ができるかどうかで大きく記録が変わってきます。

 自分が想定していた目標タイムよりも若干速かったとしても、集団で走ることができそうであれば、少し頑張ってついていった方が良い時もあります。

 その判断は、自分が目標としているペースとどのくらい離れてしまうかにもよります。私自身は、目標ペースよりも5秒程度速いくらいなら、思い切ってついていくことを選択します。

記録向上に欠かせないアイテム

 上記で説明してきた練習法をスムーズに行うためであったり、自分自身のランニングフォームを分析したりするためには、そのためのアイテム(ランニングギア)が必要になります。

 私自身が、自分の走りを客観的に分析したり、快適にトレーニングを行うために必要だと思ったアイテムを次の記事でまとめています。

ハーフマラソン75分切り ポイントまとめ

 1時間24分台から1時間14分台まで記録を伸ばすことができた具体的ポイントをまとめます。

1時間24分台から1時間14分台まで記録を伸ばした具体的ポイントまとめ
  • 走行距離を稼ぐことで、地力を鍛えることができ、持久力が向上した
  • 最も大きな変化は、走行距離を上げ、距離走を取り入れたこと
  • ポイント練習はLT走、インターバル走、レペティション
  • ペース設定はVDOT Calculatorに従う

今回、私自身の体験を元に、1時間24分台から1時間14分台へ記録を伸ばすことができた方法を紹介させていただきました。

トレーニング効果には個人差があるとは思いますが、是非参考になればと思います。

参考文献:

著:ジャック・ダニエルズ, 監修:前河洋一, 翻訳:篠原美穂
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