【5000m 17分台(18分切り)練習法】9か月で17分54秒を達成した方法

5000m17分台

※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。改訂履歴は記事の最後に記載しています。

こんな疑問を解消
  • フルマラソンのためのスピードトレーニングとして5000mに挑戦したい
  • 5000mで18分切りを達成したい
  • サブスリーの通過点として5000mレースに出場する

 こんな思いを持っている方に向けて、5000mを17分台で走るためのトレーニングを紹介します。

 私は社会人から本格的にランニングを始めた市民ランナーです。月500km程を走り競技志向でランニングに取り組んでいます。

 私自身は5000mの自己ベストが16分01秒です。

 私自身が初めて18分を切ったときのタイムは17分54秒でした。ハーフマラソンやフルマラソンに向けたトレーニングを行っている過程で出した記録です。

 ここでは、ハーフマラソンやフルマラソンで記録向上を目指しているランナー向けの内容になります。

 5000mを専門に取り組もうと考えている方にとっても、将来的にフルマラソンで記録を出したい、という思いがある方であれば、参考になる内容だと考えています。

 本記事を読めば、どのようなトレーニングをすれば5000mでも記録を出せるようなスピードが身に付くかが分かります。

5000mで18分切りを達成するための方法
  • ランニングトレーニングには効率よく記録を伸ばすための理論「ダニエルズ理論」がある
  • 管理人自身は月250~300km程度走っていた
  • 乳酸性作業閾値を向上させるためのLTトレーニングを取り入れる
  • 最大酸素摂取量を向上させるVO2maxインターバル走を取り入れる
目次

有名なトレーニング理論を知る:ダニエルズ理論

 私自身、数年前一度ランニングに一生懸命取り組んだ時期がありました。その時は自己流で「がむしゃら」に練習していただけでした。

 結果として、1年たってもそこまで記録を伸ばすことができず、ライフスタイルの変化もあり、ランニングから離れてしまいました。

 しかし「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」に出会ってから、劇的に記録向上を達成することができました。

 ダニエルズ理論では、怪我のリスクを抑えたトレーニング手法が紹介されているため、怪我の頻度も減りました

 ダニエルズ理論は、あらゆる指導者の考え方の前提となっており、ランニング界では有名なトレーニング理論です。

 書籍として販売されています。ある程度ボリュームのある本ですが、今後も継続的に目標を上げていきたいと思うのであれば、絶対に一回は読んでおいた方が良い内容となっています。

 本記事ではダニエルズ理論を踏まえて、5000mで18分切りを達成するための方法を分かりやすく解説します。

著:ジャック・ダニエルズ, 監修:前河洋一, 翻訳:篠原美穂

17分54秒を達成したときの身体ステータス・経歴

 参考として、私自身が17分54秒を達成したときの、身体ステータスや経歴を紹介します。

年齢27歳
身長178cm
体重(レース当日の朝食前)66kg
BMI指数20.83
ランニング歴
(4年前に1年間程度あり)
9か月
運動歴(社会人以降)本格的にランニング開始する前
社会人フットサルを1年間

5000mを17分台で走るのに、才能は必要ない

 5000mで18分を切るために才能は「必要ない」と考えています。

 ただし過去の運動歴や基礎体力によって、5000m17分台に到達できるまでの時間は個人差があります。運動歴がほとんど無い方、年齢を重ねている方にとっては高い目標です。

 今17分台で走れていなくても、本気で目標達成したい方は是非本記事を読み進めて頂きたいと思います。

どの程度の練習量が必要か?:月間250~300km

 月間走行距離自体には意味が無いと考えています。

 特に5000mで記録を出すためであれば、多くの距離を走る必要性は低いです。

 気になるランナーも多いと思いますので参考程度に私の例を紹介すると、私が5000mを17分台で走ったとき、おおよそ1か月あたり250km~300km走っていました。

 私自身はハーフマラソンで記録を出すためのトレーニングをしていました5000mで記録を出すことに注力するのであれば、1か月当たりに走る距離はもっと少なくてよいと思います。

 走った距離のうち、ほとんどがジョギングペースです。ジョギングはランニングの基本となる練習です。

 ジョギングをおろそかにしてしまうと、記録が伸びないばかりか、高い強度の練習をやったときに怪我をしやすくなってしまいます

 ジョギングを継続することによって、5000m用のスピードトレーニングなどを行った際に発生しうる怪我の予防になります。

 ジョギングの効果については次の記事で紹介しています。

普段の生活で気を付けることは?:食事、睡眠、セルフケア

 記録を伸ばすために必要なことはやるべきだと考えていました。私自身、次のようなことはやっていました。

食事・睡眠・セルフケアで気を付けていること
  • 規則正しい食生活と睡眠(※細かい栄養計算等は不要)
  • 風呂上がりのストレッチ、ストレッチポールによる体のケア
  • 体重測定

 食生活は、炭水化物・タンパク質・脂質をバランスよくとることを意識していました。

 ただ、好きなものは好きなように食べるようにしていました。走っている距離も多かったので、少しくらい高カロリーなものを食べても大丈夫だ!と自分自身に言い聞かせていました。

 精神的にも、好きなものが食べられた方が幸せです。

 睡眠は意識して7時間以上取ることが望ましいです。

 体のケアも重要です。怪我無く練習が継続できるよう、風呂上がりケアは習慣化するようにしました。

 体重は重要です。定期的に測定することをお勧めします。無理な減量をするためではなく、体重を測定することによって、水分は足りているのか?食事が少なすぎないか?などを把握する指標にしていました。

 体重は記録とも密接な関係があります。体重の減少量などから、練習でのパフォーマンスを評価したり、大会での目標記録を推測する、といったこともしていました。

 毎日、体重を測定する時間を合わせることで、体重を日毎に比較できるようにします。おすすめの測定タイミングは起床直後です。

 エリートランナーの体重と記録を次の記事でまとめていますので、参考にしてみてください。

5000m18分切りの具体的トレーニングメニュー

 私自身はハーフマラソンやフルマラソンで記録を出すための通過点として5000mに取り組みました。

 普段、フルマラソンやハーフマラソン向けのトレーニングを行っている市民ランナーの方は、特に参考にしていただきたいと思います。

5000mに向けたトレーニングの方針

 フルやハーフと違い、5000mで記録を出すためにはインターバルトレーニングレペティショントレーニングの割合を高める必要があると考えています。

 理由は次の通りです。

5000mのためにインターバルやレペティションに取り組むことが必要な理由
  • 5000mではLT値以上のペースで疾走するため、最大酸素摂取量(VO2max)の影響が大きい
  • 速筋繊維の動員割合が増加し血中の乳酸が高い状態で走り続ける必要がある

 VO2max向上のためには、VO2maxに近い疾走速度で行うインターバルトレーニングが最も効果的です。

 できるだけハイペースを維持するためには速筋繊維を動員しながら、発生した乳酸を同時に処理していくことが求められます。そのような働きが可能なのが中間型速筋繊維です。

 中間型速筋繊維は、速筋繊維に近いパワーを発揮することに加え、遅筋繊維に近いミトコンドリア量を含むため、糖質や脂質、乳酸を酸化しエネルギーを生み出す能力にも長けています

 トレーニングにおいて速筋繊維に刺激を入れることで中間型速筋繊維への変化を得られることが分かっています。

 速筋繊維を可能な限り動員するトレーニングとしてはレペティショントレーニングが最適です。

 5000mレースペースよりも遅いペースで行うLTトレーニングも必要です。

 1500m~5000mで素晴らしい活躍を見せているノルウェーのヤコブインゲブリクトセン選手は閾値改善のトレーニングを最も重要視してトレーニングに取り組んでいます。

管理人自身のトレーニング前提

 私自身が行ってきたトレーニング条件の前提を示します。

管理人のトレーニング条件前提
  • 設定ペースはVDOT Calculatorを使って、その時の自己ベストから決める
  • ジョギングはほぼ、通勤ランか起床直後(朝食前)に行う
  • 全て単独走

 私自身は、フルタイム共働き・子育て・家事があるため、家に帰ってから練習する時間を確保することが難しいという状況でした。基本的にジョギングは通勤ランか早朝時間帯に行いました。

具体的練習方法

 次の練習をこなすことができれば、5000mを17分台で走れる可能性が高いです。

5000m18分切りを達成できる時のトレーニングペース設定
  • ジョギング 4:20~4:40/km
  • LT走(6km) 3:50/km
  • 1km×5 3:30/km レスト2分30秒(500mジョグ) 
  • 1000mタイムトライアル 3:00

 これは実際に私が5000mを17分54秒で走った時に行っていた練習の設定ペースです。それぞれの練習をやっていた時、具体的にどんな感覚だったのかを紹介します。

 設定ペースは、その時の実力に合わせて段階的に引き上げていく必要があります。その際に使用するのが、VDOT Calculatorです。現在の自己ベストから、各ペースの適正設定ペースを算出します。

 段階的に引き上げていく際には、少なくとも同じ設定ペースで1か月は維持すべきと推奨されています。

1週間の練習スケジュール

 5000mを17分54秒で走った時、1週間単位ではこのような練習をしていました。

1週間のトレーニングスケジュール
  • 月;OFF
  • 火;ジョグ(4:30~5:00/km)
  • 水;ポイント練-1 LT走
  • 木;OFF
  • 金;ジョグ(4:30~5:00/km)
  • 土;ジョグ(4:30~5:00/km)
  • 日;ポイント練-2 レペティション or インターバルトレーニング

 5000mでタイム向上を目指す場合は、期間毎にトレーニング内容を変えることをおすすめします。

 まず、レペティショントレーニングによりスピードの最大出力を上げる期間を作り、レースに近くなってきたらインターバルトレーニングで最大酸素摂取量を向上させ、レースへの調整を行います。

 ランニングのトレーニング(ジョギング等)を継続的に積んできた方であれば、2か月から3か月程度で、5000mの対策はできます

 私自身は、フルタイム共働き・子育て・家事があるため、家に帰ってから練習する時間を確保することが難しいので、基本的な練習は通勤ランでした。

 朝ごはんは、食べてから走るか、ランニングバッグに入れて会社で食べるかのどちらかです。

ジョグ(Easyペース)

 意識していたのはダニエルズのランニングフォーミュラにおけるEペースです。とにかく練習時間の確保が難しいため、短い時間でしっかり負荷をかけるためにもジョグのペースは落としませんでした。

 

LT走

 5000mのレースペースは、LT走よりも1km当たり10~15秒程度速いですが、LT値を向上させることは5000mの記録を向上させることに必須です。

 LT走を行う時間が20分以上となるよう、距離は6kmにしていました。LT走を走り終えた時の感覚は、「後1kmから2kmくらいは続けて走れる」という感覚です。

 LT走を走り終える時、膝に手をつくくらいきつい状態になってしまったら、LTペースよりも速すぎる可能性が高く、ペースとしては適切ではありません。少し余裕を持って走り切れるペースで行います。

 ダニエルズ理論を引用すると、「自分自身に30~40分は耐えることができるか?」と問いかける、となっています。

 LT走は練習の再現性が重要だと考えています毎回同じ距離を同じ設定で走ることで、自分の実力や調子を測ることができるからです。

インターバル走

 5000mに向けた練習の中で最も重要な練習がインターバル走です。インターバル走でのペースがほぼ、5000mのレースペースとなります。

 私の場合はあくまでハーフマラソンに向けての練習であったため、レストを2分30秒しっかりとりました。レストは500mのジョグです。ジョグのペースは5分/kmです。

 もし、インターバルトレーニングを、できるだけ5000mレースと同じ状況に近づけたい場合は、レストを60秒程度まで短くすること(200mジョグ)をおすすめします。

レペティショントレーニング

 インターバルペース以上の速度で走るレペティショントレーニングも必要です。

 5000mのレース中は、集団の中での駆け引きや、集団に追いつきたいことがあったりして、インターバルペースよりも速いペースで走らなければならない場面があります。

 また、インターバルペースは非常に苦しくなるペースであるため、ランニングフォームを維持できなくなります。

 そこで重要なことが、ランニングの最大出力(=ランニングフォーム、ランニングエコノミー)を改善することです。「楽に速く」走れるようになることが大事です。

 5000mを走るペースにも余裕が生まれます。

 また、先にも記載した通り、速筋繊維に刺激を与え中間型速筋繊維への変化をさせていくことが必要です。

 これらに効果的な練習がレペティションです。レペティションとは、ほぼ全力に近いペースで走るトレーニングです。

 全力に近いとはいっても、完全な全力ではなく、おおよそインターバルペースよりも1km当たり20秒ほど速くしたペースです。ダッシュではないことに注意してください。

 レペティションのメニュー例は下のようになります。5000mを18分ちょうどで走るレベルの場合のレペティションペースです。

レペティショントレーニングメニュー例
  • 200m×15 40秒/本
  • 400m×10 80秒/本
  • 600m×7 120秒/本

 レストは呼吸が整うまで十分にとりましょう。レペティションの目的は呼吸を追い込むことではありません。

 レペティショントレーニングはランニングエコノミーを改善し、ランニング効率ランニング最大スピードを上げることが目的です。

 レペティショントレーニングは陸上競技場で行うことをおすすめします。アスファルトで行うには負担が大きく、公共の道路であるため危険も伴います。

レース当日の食事、ペース設定

食事と栄養

 食事は少なくとも、レースの3時間前までには済ませておきましょう。食事内容は炭水化物中心で消化の良いものにしておきましょう。

 5000mでは、エネルギー切れの心配はないため、そこまで沢山栄養を取っておく必要はありません(体重が軽いほうが有利と言われています)。

 レース直前も、水分以外は特に気にする必要はないと考えています。

ペース設定

 基本的には目標タイムを元にイーブンで走ることを心掛けましょう。後半遅くなってもいいように前半に貯金を作って・・・と考えていると、後半相当きつくなって垂れてしまう可能性が高いです。

 17分台を狙うレベルであれば、目標タイムを等分し、同じペースで刻んでいくことが最も良いと考えています(長距離の基本です)。

重要ポイントまとめ

最後に、これまで述べてきた重要ポイントをまとめます。

重要ポイントまとめ
  • 月間走行距離250km~300km(推奨)
  • 5000mでタイムを出すために、インターバルトレーニングとレペティショントレーニングに取り組む
  • ポイント練習はLT走、インターバル走、レペティションを織り交ぜる
  • レースは目標タイムに対してイーブンペースとする

 以上が、5000mで17分台を達成するための方法になります。私自身が、やってきたことを全て紹介しました。是非取り入れてみてください。

参考文献:

著:ジャック・ダニエルズ, 監修:前河洋一, 翻訳:篠原美穂
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