- VO2maxインターバルトレーニングの目的、効果は?
- VO2maxインターバルトレーニングで適切なペースとレストの設定方法が知りたい
- VO2maxインターバルトレーニングのメニュー作成方法が分からない
インターバルの実施方法には様々なバリエーションがあり「効果的に行うにはどのようなトレーニング内容にすべきなのか?」と悩む市民ランナーの方も多いと思います。
ここでは、VO2maxインターバルトレーニングにおけるペースとレストの設定方法によって得られる効果の違いと、効果的な具体的トレーニングメニューを紹介します。
本記事を読めば、VO2maxインターバルトレーニングの目的を理解することができ、自分に合ったメニューを組み立てることができるようになります。
VO2maxインターバルとは?
VO2maxインターバルとは「VO2max強度で行うインターバルトレーニング」のことを指します。ランニングトレーニングにおけるVO2maxトレーニング強度は、次のように分類されます。
| 運動強度 | 強度名称 | 強度区分 | ※a %HRmax | ※b %VO2max | ※c 血中乳酸濃度 mmol/L |
|---|---|---|---|---|---|
| zone1 | Easy | 低強度 | 60~71 | 50~65 | 0.8~1.5 |
| zone2 | Moderate | 低~中強度 | 72~82 | 66~80 | 1.5~2.5 |
| zone3 | LT | 中強度 | 83~87 | 81~87 | 2.4~4.0 |
| zone4 | OBLA | 高強度 | 88~92 | 88~93 | 4.1~6.0 |
| zone5 | VO2max | 高強度 | 93~100 | 94~100 | >6.1 |
| Sprint | 高強度 | - | 100~ | - |
- ※a %HRmax:最大心拍数に対する割合。
- ※b %VO2max:最大酸素摂取量に対する割合。
- ※c 血中乳酸濃度:血液中の乳酸濃度。専用の測定機器でしか測ることができない。競技レベルが向上すると、同じ強度でも血中乳酸濃度の数値は低下する傾向がある。
VO2max強度は高強度に区分され、心拍数で言うと93~100%HRmaxになります。VO2maxインターバルは非常にきついトレーニングです。ランニングトレーニングの中でも最もきついと言われています。
VO2maxインターバルトレーニングの効果・目的
VO2maxインターバルトレーニングで得らえる効果は、最大酸素摂取量(VO2max)の向上、目標レースペースでのランニングエコノミー向上です。
特に、3000m~10000mレースで記録を狙っているランナーにとって、VO2max強度でのインターバルトレーニングはとても重要なトレーニングであると言えます。
VO2max強度でのトレーニングで得られる効果については、次の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
インターバルトレーニング(インターバル走)とは?
急走区間(速いスピードで走る)とレスト区間(休息する)を繰り返すトレーニングです。
次の図は縦軸に酸素摂取量(VO2)、横軸に時間をとっています。ランニングでは、酸素摂取量はほぼ疾走ペースと同義です。

インターバルトレーニングを行う際には、下記の設定をします。
- 疾走区間のスピード、距離
- レスト区間のスピード、距離
- レスト区間の実施方法(走る or 歩く)
これらの設定方法によって、インターバルトレーニングで得られる効果は大きく異なります。
なぜ「インターバル」にするのか?
レースでは、休憩を挟まずに長い距離を走り続ける必要があります。レースで記録を出すためであれば、「レースと同じ距離を同じペースで走り続けるトレーニング」を行った方が、効率がよさそうです。
しかし実際にトレーニングを行っていると、レースペースで持続的に走るのは負荷が非常に高く、休憩を挟まずに走り続けることが難しくトレーニング量を確保することができません。そこで導入されるのがインターバルトレーニングです。
休憩を挟みながら行うインターバルトレーニングでは、レスト区間で回復することができるため急走区間では高い強度(レース相当)の負荷を体にかけることができます。
レストを挟むことで疾走を繰り返すことができ、トレーニングボリュームを確保することができます。
科学的な観点では、「VO2maxレベルで費やす時間(T@VO2max)」を最大化することが、インターバルトレーニングのVO2max向上効果を決める最も重要な指標とされています ※2。間欠的に休息を挟みながら繰り返すことで、高強度を持続する走と比べてT@VO2maxを大幅に増やすことができます ※1。
VO2maxインターバルトレーニングのペース設定方法
疾走区間のスピードを決める方法は以下の通りです。
過去レースの「自己記録」を基準としてVDOTから決める
VDOT Calculatorを使用します。計算で算出できる「Iペース」を参考にしてペースを決定します。直近レースでの自己ベスト記録から、それぞれのペースを決定します。計算機の使い方は次の記事で詳しく解説しています。
心拍数を基準として決める
ペース設定は心拍数を基準に決めることもできます。Helgerud et al. (2007) ※3 の研究では、後半セットで90%HRmax以上の強度に達することでVO2max向上の効果が期待できることが示されています。
例えば、1000mを5本行うようなインターバルトレーニングを行う際、4、5セット目の疾走区間における心拍数が90%HRmax以上になることを目安とします。
インタバールにおける疾走距離(時間)の決め方
VO2maxインターバルトレーニングでは1回疾走当たりの時間は、2分以上5分以下に設定することが一般的です ※2。
2分以上にする理由は、疾走し始めてから酸素摂取量がVO2maxの水準に到達するまでに約2分かかるためです。ただし、1回あたりの疾走時間が2分以下であっても、本数を重ねるごとに、酸素摂取量上限に到達するまでの時間が短くなります。
最近の大規模な研究(51研究・約1,200名を統合したメタアナリシス)では、VO2max向上に最も効果的な疾走時間は約140秒(約2分20秒)であることが示されています ※4。2〜3分帯が最もVO2maxへの刺激効率が高く、それより長くなると効果が下がる傾向がみられています。
一例として、私自身が行った1000m*7本(リカバリー2minジョグ)での心拍数推移を示します。本数を重ねるごとに、急走区間での心拍数が徐々に上昇してきており、疾走開始後心拍数が上限に到達するまでが早くなっています。

このように疾走区間が2分未満のショートインターバルでもレスト時間を短くしたりすることで、最大酸素摂取量の向上が見込めます。ショートインターバルについての解説は次の記事を参考にして下さい。
疾走時間を5分以下に設定する理由は、5分以上に設定するとトレーニングがきつくなりすぎ、結果的に必要な強度でトレーニングを行えなくなる可能性があるためです。
VO2maxに対して刺激を与えるためには、最低限必要なトレーニング強度(速度)が存在します。その強度未満で走っても、VO2maxに有効な刺激を与えることはできません。
インターバルにおける休息区間のスピードと時間
インターバルトレーニングにおけるレスト区間はその場で休憩する「パッシブリカバリー」か、ジョギングで繋ぐ「アクティブリカバリー」を選択します。どちらもVO2maxへの刺激効果を得られますが、複数の研究をまとめた分析では、アクティブリカバリーの方がVO2max向上においてやや有利である可能性が指摘されています ※5 ※6。
パッシブリカバリーを選択する時には、比較的短い休憩時間(疾走時間の50%程度)に設定します。例えば疾走時間が3分の場合は90秒の休息時間になります。
アクティブリカバリーを選択する時には、疾走時間と同じくらいの休憩時間(疾走時間の50%~100%)に設定します。アクティブリカバリーはよりレースに近い状況となるため、レースに対する特異性も確保できます。
レスト区間では「次の疾走区間で十分なスピードで走れるくらい」に回復し整える必要があります。もし次の疾走区間で設定ペースが維持できないなどがある場合には、レストが短すぎるか、疾走スピードが速すぎる可能性があります。
上でも述べた通り、VO2maxインターバルトレーニングで優先されるべき事項は「疾走区間でのスピード(強度)」です。必要な強度に達していないと、VO2maxへの刺激を得る事ができません。
アクティブリカバリーのペースとしては「Easyペース(ジョギング)以下」で「疾走区間の50~100%程度の時間」が推奨です。
疾走ペースに余裕があれば、レストを短く、もしくは、レストのペースを速くして、より実践のレースに近い状況にすると効果的です。
インターバルトレーニングの具体的メニュー例
インターバルトレーニングの実践例を紹介します。まず一般例を示します。
| メニュー | 運動時間 | 運動強度 | リカバリー時間 | リカバリー方法 | セット数 | 効果 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ロングインターバル | >2~3分 | >=95%vVO2max | =<2分 | パッシブ | 2分 × 6~10本 3分 × 5~8本 | 10分以上のVO2max刺激 |
| ロングインターバル | >2~3分 | >=95%vVO2max | 2~4分 | アクティブ | 4分 × 4~6本 | 10分以上のVO2max刺激 |
| ショートインターバル | >=15秒 | 100~120%vVO2max | <15秒 | パッシブ | 2~3本 × 8セット セット間レスト set間 4~5分 | 10分以上のVO2max刺激 |
| ショートインターバル | >=15秒 | 100~120%vVO2max | >=15秒 | アクティブ | 2~3本 × 8セットset間 4~5分 | 10分以上のVO2max刺激 |
参考:トレーニングとリカバリーの基礎的科学
vVO2max:最大酸素摂取状態での疾走ペース。100%vVO2maxがおよそ3000mレースペースに相当。95%vVO2maxは5000mのレースペース程度。
これらのインターバルトレーニングを具体的に実践した例を以下で紹介します。
管理人(らんしゅー)の例
私自身のVO2maxインターバルトレーニング例は次の通りです。
- 300m × 3 × 5~8 レスト30sその場で休憩、セット間レスト3min (3000mレースペース)
- 400m × 10 レスト60sジョグ(3000mレースペース)
- 1000m×5 レスト2minジョグ(5000mレースペース)
- 1600m×5 レスト2minジョグ(10000mレースペース)
夏の暑い時期にインターバルトレーニングを行う時などは、300mくらいまで疾走距離を短くしレストをある程度短く設定した形式にします。暑い時期は一度に長く走ることが非常にきついためです。
VO2maxに刺激を入れるためには少なくとも10000m(10km)のレースペース以上で走る必要がありますので私の場合は遅くても10000mレースペースでのインターバルトレーニングに設定しています。
目標としているレースや時期によって、どんなペースでインターバルトレーニングを行うのかを選択します。
3000mや5000mなど比較的短い距離のレースが目標であればショートインターバルを行いますし、ハーフマラソンやフルマラソンが目標だったら、10000mレースペースでのインターバルで十分だと考えています。
エリートランナーの例(遠藤日向・大迫傑)
2022年、5000mで素晴らしい成績を残している遠藤日向選手のインターバルトレーニング400m×10が動画で紹介されています。
設定タイムなどは伏せられていますが、次の動画では大迫傑選手らが、1000mインターバルを行っている様子も分かります。
これまで説明してきた、インターバルトレーニングの実施方法を参考に、今の自分に適したトレーニングを組み立ててみましょう。
練習をこなせなかった時のアレンジ方法
VO2max向上を狙って「1000m×5・3分20秒/km・レスト60秒」と設定しましたが、きつくて練習をこなすことができず練習をアレンジしようと思った場合について考えます。
まず最優先するべきは今の実力と目標のレースペースに適合した「疾走ペース」です。
VDOT計算機による計算の結果、3分20秒自体が今の実力相当のペースであれば、その疾走ペースは維持したほうが良いと考えられます。
その場合、レストが60秒と短く設定してあるため、まずはレストを2minまで延ばしてみる、または、レストでのジョギングのペースを落としてみる、という選択肢が優先です。
もしそれでもこなせないようであれば、疾走ペースが速すぎることになります。その場合は実力を過大評価していたと判断して、トレーニングでの疾走ペースを落とすべきだと考えます。
インターバルトレーニングの効果は個人差がある
インターバルトレーニングによって得られる効果には「個人差がある」ということが研究で確認されています。
Bouchard et al. (1999) ※7 の大規模な調査では、同じ20週間のトレーニングプログラムを行っても、VO2maxの向上幅は人によって2.5倍以上の差があることが示されました。この個人差には遺伝的要因も関係していることがわかっています。
今までその人が行ってきたトレーニング歴やその人の資質によって、インターバルトレーニングによって得られる効果の大きさは異なります。
インターバルトレーニングは、とても効果が高い練習ですが、そのやり方によっては期待していた効果が得られないことがあります。
目的に合わせて適切なトレーニング方法を考え、取り入れてみましょう
参考文献
※1 Billat VL, Slawinski J, Bocquet V et al. (2000) “Intermittent runs at vVO2max enables subjects to remain at VO2max for a longer time than intense but submaximal runs” European Journal of Applied Physiology
※2 Buchheit M, Laursen PB (2013) “High-intensity interval training, solutions to the programming puzzle: Part I: cardiopulmonary emphasis” Sports Medicine
※3 Helgerud J, Hoydal K, Wang E et al. (2007) “Aerobic high-intensity intervals improve VO2max more than moderate training” Medicine & Science in Sports & Exercise
※4 Yang Q, Wang J, Guan D (2025) “Comparison of different interval training methods on athletes’ oxygen uptake: a systematic review with pairwise and network meta-analysis” BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation
※5 Ben Abderrahman A, Zouhal H, Chamari K et al. (2013) “Effects of Recovery Mode (Active vs. Passive) on Performance During a Short High-Intensity Interval Training Program: A Longitudinal Study” European Journal of Applied Physiology
※6 Zouhal H, Abderrahman AB, Jayavel A et al. (2024) “Effects of Passive or Active Recovery Regimes Applied During Long-Term Interval Training on Physical Fitness in Healthy Trained and Untrained Individuals: A Systematic Review” Sports Medicine Open
※7 Bouchard C, An P, Rice T et al. (1999) “Familial aggregation of VO2max response to exercise training: results from the HERITAGE Family Study” Journal of Applied Physiology









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