2023/12/29【2023年シーズンの振り返と2024年に向けて】今後の方針と目標-rev.11

2023年振り返り

※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。改訂履歴は記事の最後に記載しています。

 こんにちは。らんしゅーです。

 私は社会人から本格的にランニングを始めた市民ランナーです。月500km程を走り、競技志向でランニングに取り組んでいます。

 2023年も終わろうとしています。2023年の振り返りと2024年の目標、トレーニング方針をまとめたいと思います。

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目次

2023年振り返り:怪我の一年

 2023年は我慢の年となりました。

 2022年10月頃から股関節の痛みが発生して、騙し騙しトレーニングを続けていましたが、2023年1月に痛みが激痛に変わり、トレーニングを継続することができなくなりました。

 整形外科にも行き診断をしてもらいましたが、明確に怪我名を診断はできませんでした。しかし、痛みの状況などから、梨状筋および大腿方形筋に起因する座骨神経痛だった、と判断しています。

 怪我の原因は、無理な減量やオーバートレーニング等、複数の要因が絡んでいます。

 怪我をした当初は、「ここまでしばらく頑張ってきたからしばらく休もう」と思って、安静にしていましたが、待てど暮らせど、一向に足の状態は良くなりませんでした。

 全く回復に向かわないことに危機感を覚え、積極的な治療を開始しました。

 2023年1月中旬頃から4月中旬まで、歩くことが限界でした。そこからほとんど歩くようなペースのジョギングから始めて、6月の中旬頃にはようやく、とてもゆっくりのジョギングならできるくらいになりました。

 そこから徐々に走るペース・走行距離を増やしていき、7月中旬頃には、痛みが強くなることなく走ることができるようになりました。

 8月に復帰後初の5000mへの出場、9月には1500m・3000m、10月には5000m、12月にはハーフマラソンと、ようやく本格的にレースに参加できるようになりました。

 2023/12/10に出場した東海市ハーフマラソンでは、1時間17分39秒の記録でした。自己ベストが1時間12分29秒なので、それと比較すると5分以上遅いタイムですが、痛みなくレースを走り切れることがとても幸せでした。

 2023年度の最大目標は2024年2月の犬山ハーフマラソンです。このレースに向けて、2023年12月から本格的な鍛錬期に入り、トレーニングを進めています。

トレーニング方針の迷いと私の中での結論

 私の自己ベストは2022年3月の名古屋シティハーフマラソンで出した、1時間12分29秒です。しかし、2021年11月の時点で、ハーフマラソン1時間12分53秒で走れています。

 つまり、実質、2021年11月からほとんど走力が上がっていない、と判断することができます。

 この走力が上がっていない事実をしっかり受け止め、私自身のトレーニング方針を考え直す必要があると判断しました。

 2021年11月頃からのトレーニング方針と、今考えていることを、詳しく紹介していきます。

閾値トレーニングモデルへの出会いと期待

 2021年11月頃までの私のトレーニングは、ほぼ、ダニエルズのランニングフォーミュラを参考にしたものでした。

 ポイント練習として行っていたのは、Tペースでのペース走(6000m~10000m)、Iペースでのインターバル走(800m~1200m)、Rペースでのレペティショントレーニング(200m~600m)です。

 秋、冬、春は、TペースやIペースでのトレーニングを行います。夏の暑い時期はこれらのトレーニングがあまりにきつすぎたので、レペティションペースでのトレーニングを中心に行っていました。

 これらのポイント練習に加え、週1回のロングラン(Easyペース~Moderateペース)を行うトレーニングサイクルを基本としていました。

 これらのトレーニングを継続してきた結果、2021年11月頃まではかなり順調に記録を伸ばすことができていました。

 ちょうどその時に出会ったのが、ダブルスレショルドトレーニングです。

 ヤコブ・インゲブリクトセン選手が世界で活躍していることを聞き、どんなトレーニングをしているのかを調べてみると、一日二回の閾値トレーニングを行うものでした。

 閾値トレーニングは頑張り過ぎないトレーニングであり、長い期間をかけて効果を積み上げるようなトレーニングモデルとなっている点が非常に魅力的でした。

 私自身、起床直後早朝にトレーニングを行う必要があったため、強度高いトレーニングをこなすのが難しいと感じていました。

 VO2max強度のインターバル走やTペースのペース走はかなりきついトレーニングであり、朝の起床直後にこなすことが難しいと感じていました。

 一方、ダブルスレショルドで推奨されている閾値トレーニングは、目標強度がそこまで高くないため早朝でも余裕をもってこなせると感じました。

 「きつすぎず早朝でもこなせる・長い期間をかけて能力を積み上げる」ことに魅力を感じて、閾値トレーニングモデルを試してみよう、と決心しました。

伸びない記録と怪我

 2021年から本格的に閾値トレーニングを開始しました。

 ダブルスレショルド(=二重閾値走)は一日二回の閾値トレーニングを週2回、週1回の高強度トレーニングを取り入れた構成になっています。

 私には仕事と家庭があるので、一日二回のトレーニングを行うことは難しかったため、以下のようなメニューでトレーニングを行いました。

2021年末から実践した閾値トレーニングメニュー構成
  • 月曜:OFF or Easy
  • 火曜:LT Interval 1000m × 10~12 r=60秒ジョグ
  • 水曜:Easy Jog
  • 木曜:LT Interval 3000m × 4 r=120秒ジョグ
  • 金曜:Easy Jog
  • 土曜:Hill Sprint 200m × 20 r=JogBack
  • 日曜:Long Run 2.0hr

 トレーニングメニューの形はほぼ閾値トレーニングモデル通りにしたつもりでしたが、今思い返せば、ちゃんと考えることができていなかった練習メニューだったな、と感じています。

 本来、ダブルスレショルドの閾値トレーニングは、血中乳酸濃度測定してトレーニング強度を精密に管理することが求められます。

 私が行っていたLT Intervalは、血中乳酸濃度を測定する機器を持っていなかったため、体感で適当に行っていました。また、週1回の高強度トレーニング(Hill Sprint)も、その時にやれる範囲での最大強度で行っていました。

 この自分流閾値トレーニングモデルを始めてから、2022年3月の名古屋シティマラソンでハーフマラソン自己ベストである1時間12分29秒を出すことができました。

 しかしそれ以降、記録が伸び悩みます。

 2022年4月~8月にかけては、閾値トレーニングモデルを進めながら、トラックレースにも積極的に参加しました。

 しかし、1500m,3000m,5000mの記録はほとんど伸びません。3000mは9分24秒、5000mは16分01秒と、ハーフマラソンの記録からしたら、とても低い水準です。

 足の状態も良くありませんでした。LT Intervalトレーニングなどは問題なくこなすことができましたが、流しのような少し速いペースのトレーニングになると、股関節に痛みを感じていました。

 2022年11月頃からは、足の痛みが悪化しました。それでもトレーニングは騙し騙し継続しました。2022年は厳しい減量も進めていた影響もあって、耳管開放症も発症しました。

 そして2023年1月、30kmの草レースの後に、足の痛みが急激に悪化。歩くことさえ難しいほどの痛みになりました。

血中乳酸濃度測定の開始でわかったこと

 2023年6月に競技復帰してからも閾値トレーニングモデルにこだわり続けました。

 そして2023年9月に血中乳酸濃度測定機器(ラクテートプロ2)を購入しました。

 血中乳酸濃度を測定し始めてわかったことは、自分がLT Intervalだと思って取り組んできたトレーニングは、推奨されている強度を大きく超えたものになっていたLT Intervalとしては強度が高すぎる、ということです。

 血中乳酸濃度を測りながらLT Intervalを行い強度を管理し始めると、それまで違和感が強かった股関節の痛みも、どんどん消えていきます。

 それまで私が行っていたトレーニングは、自分にとって強度と量が高く負荷が高すぎた、ということをはっきりと認識しました。

市民ランナーの限界

 血中乳酸濃度を測定し始めてから、改めてダブルスレショルドトレーニングに挑戦しました。

ダブルスレショルドトレーニングメニューモデルのメニュー
  • 月曜:OFF
  • 火曜:AM 800m×10 r60秒ジョグ、PM 6min×4 r60秒ジョグ
  • 水曜:Easy Jog
  • 木曜:AM 300m×27 r25秒ジョグ、PM 6min×4 r60秒ジョグ
  • 金曜:Easy Jog
  • 土曜:高強度トレーニング(700m×7など)
  • Easy Long Run 90min

 しかし、血中乳酸濃度を管理しながらダブルスレショルドトレーニングを進めるのは、非常に困難でした。

 難しい一番の理由は、トレーニングの時間の確保です。仕事をしながら一日二回のトレーニングを決まった時間に行うことはほぼ不可能でした。

 トレーニングの日や時間を固定できないため、毎回トレーニングを行うごとに体の状態が変わってしまい、同じ強度で行うことがかなり難しいです。

 結果的に、想定よりもきついトレーニングになってしまい体の疲労が抜けきれないまま次のトレーニングを行わないといけかなかったりしました。

 仕事の都合で、そもそも一日二回のトレーニングができなくなることもあることを考えると、現時点では、ダブルスレショルドトレーニングを行っていくことはできない、と判断しました。

高強度トレーニングへの回帰

 ダブルスレショルドトレーニングを諦めてから、もう一度、これまでの自分のトレーニングの見直しやトレーニングの研究をしました。

 その中で自分として出した結論は「自分にはポラライズドトレーニングモデルが適している」です。

 特に記録を伸ばしていきたい段階においては、ポラライズドトレーニングが適切だ、ということです。

 ポラライズドトレーニングモデルとは、閾値トレーニングは行わず、低強度と高強度のトレーニングを両極端で行うモデルのことです。

2021年11月まで行っていたトレーニングは典型的なポラライズドトレーニングでした。ダニエルズTペースでのペース走やIペースでのインターバル走はどちらも高強度トレーニングです。

 数ある研究結果としても、高強度トレーニングを適切な量取り入れることでパフォーマンスの伸びが最大化されることが示されています。

 もちろん、閾値トレーニングモデルでも、適切に強度と量を管理することができれば、効果を得られると思います。しかし、時間の制約がある毎日8時間以上の仕事をしながら両立していくことは、非常に難しいです。

 それに対してポラライズドトレーニングモデルは、多くても週2回の高強度トレーニングを軸にしたトレーニングモデルであり、難しいことを考えなくても、十分に回復が間に合うペースでトレーニングを進めることができます。

時期によっては閾値トレーニングも重要になる

 記録を伸ばしたい時期にはポラライズドトレーニングモデルが適切ですが、これを一年通じてやり続けることは適切ではないと感じます。

 週2回、高い強度のトレーニングをこなしていくことは、精神的にもきついです。また、同じトレーニングを続けていると、いずれその刺激に体が慣れてしまうため、体の適応が進んでいかなくなることが予想されます。

 記録を伸ばしたい時期にはポラライズドトレーニングモデルが適していると思われますが、オフシーズンやレースまでの時間が長い時期などは、閾値トレーニングをじっくり積む期間もあった方がいいのではないか?と考えています。

 しかしこれは、自分で試してみないとわからないことです。今後私自身で、どんなトレーニングが適切なのかについては追及していきたいと考えています。

2024年の目標とトレーニング方針

 2024年の目標とトレーニング方針を示します。

2024年の目標

 2024年の目標は①ハーフマラソン:1時間12分00秒切り、②5000m:16分00秒切りです。

 これまで2年間停滞してきた記録を打ち破り、次のステージに上がりたい、と考えています。

 また、フルマラソンにも挑戦します。

 2024年1月には、非公認の草レースではありますが、人生初のフルマラソンレースを控えています。今は記録を狙えるような状態ではありませんが、このレースを機に、フルマラソンへの挑戦を本格的に始めたいと考えています。

 私の第一段階目標はフルマラソン2時間30分切りです。

トレーニング方針

 2024年2月25日の犬山ハーフマラソンまでは、ポラライズドトレーニングモデルを継続していく予定です。ただし、1月からはハーフマラソンに特化したトレーニングへと移行します。

 2024年は、ポラライズドトレーニングに取り組みます。2024年3月以降は、飛躍に向けた基礎作りに移りたいと考えています。

 

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★自己ベスト
 1500m 4:25(2022/08 公認)
 3000m 9:24(2022/06 公認)
 5000m 16:01(2022/09 公認)
 10000m 33:44(2021/12)
 Half  1:12:29(2022/03)
 Full 2:57:29(2020/12)

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