※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。改訂履歴は記事の最後に記載しています。
【オンラインパーソナルトレーニング例②】N.S.さんのパフォーマンス実績
こんにちは。らんしゅーです。
本記事では、私自身がオンラインパーソナルトレーニングで指導させてただいた方の実績を紹介します。
今回紹介する方はN.S.さんです。2023年8月にトレーニング指導を開始しました。今回の実績は2023年11月までの約3か月で達成されたものになります。
トレーニング開始当初はもっと長期でトレーニングに取り組んでいく計画をしていましたが、N.S.さん自身のご都合がつかなくなってしまい、一旦トレーニングを中断することとなりました。
N.S.さんのトレーニング指導開始時の状態
指導させていただいたN.S.さんの指導開始時の状態を下記に記載します。
項目 | 内容 |
---|---|
年齢 | 63歳 |
身長 | 168cm |
体重 | – |
目標レース距離 | フルマラソン |
目標レース時期 | 2024年3月(東京マラソン) |
目標タイム | フルマラソン:4時間00分(サブ4) |
月間走行距離 | 150km |
練習頻度 | 3回/週 |
2023年8月時点 自己ベスト | フルマラソン:4:10:17 ハーフマラソン:1:48:25 |
N.S.さんの目標レース距離はフルマラソン、目標タイムが4時間切り(サブ4)でした。指導開始時のフルマラソン自己ベストタイムは4:10:17でした。
ハーフマラソンの自己ベストが、2022年に記録した1時間48分25秒ということで、すでにサブ4の走力はあるのではないか?と思われました。
2022年にハーフマラソンで自己ベストを出した時のことを詳細にヒアリングさせていただいたところ、かなり負荷がかかるトレーニングをこなしているようでした。
2022年もフルマラソンでサブ4を目指していたが、ハーフマラソンで自己ベストを出して以降、体調不良があり、トレーニング継続できなくなってしまった、とのことでした。
N.S.さんは年齢も重ねられており、おおくとも週5回・月間走行距離200~250km前後でトレーニングサイクルを回すことを考えました。
仕事もされていましたが、提案させていただいたトレーニングはほとんど計画通りに実施していただきました。
トレーニング内容、コミュニケーション方法と頻度
続いて、具体的なトレーニング内容、コミュニケーション方法や頻度を紹介していきます。
トレーニングに関して
私から提示した、N.S.さんの基本トレーニング構成は次の通りです。
- 指導開始時は、体調不良からランニングを再開しておよそ1か月程度だったので、軽いジョギングだけから始めた
- 適切なトレーニング強度を決めるために、指導開始から2~4週間で5kmのタイムトライアルを行ってもらった
- 基本的なメニュー構成はEasy~Moderateのジョギング、週2回の流し、週1回のペース走、週1回のロングランで進めた
- Easy~Moderateのジョギング、ロングランは「距離」ではなく「時間」で走る量を決めた
ほとんどあらかじめ計画されたトレーニングスケジュールでトレーニングを進めることができたため、体調不良以外はほぼスケジュール通りに進めることができました。
ランニング再開直後のジョギングを終え、トレーニングサイクルが確立された後のN.S.さんの基本的なトレーニングスケジュールは次の通りです。
- 月曜:OFF
- 火曜:Moderate 60min 流し8本
- 水曜:ペース走5000m
- 木曜:Easy 60min
- 金曜:OFF
- 土曜:Moderate 60min 流し8本
- 日曜:Moderate ロングラン 90min~
年齢の高さ、これまでの走行距離などから、ペース走のような高強度トレーニングは週1回を限度としました。
年齢により衰えやすい速筋繊維に刺激を入れるため、週2回は流しを行いました。流しのスピードは4:00/km前後で、20秒×8で行いました。
流しのスピードはあくまでも結果論です。本人の努力感で90%くらいの出力で行っていただきました。
高強度トレーニングを週1回にして、毎回疲労度を確認させていただいたところ、トレーニング全体としては回復が間に合うことがわかりました。
このトレーニングサイクルで少し余裕があったため、低強度のジョギングをModerateペースでのランニングに変更したり、流しを入れることで、負荷を全体として高めていくことにしました。
Moderateペースでのジョギングは、いわゆる低強度から中強度のトレーニングの位置づけです。トレーニング全体として負荷をかけていくにはコストパフォーマンスが良いトレーニングです。
結果として、大きな怪我なくトレーニングを進めることができました。
また、N.S.さん本人からは「走る距離ではなく時間でメニューが決まっていると精神的にも楽な気がする」というお言葉をいただきました。
走力によって、同じ時間でも走れる距離には差があります。同じ10kmでも、サブ4レベルの人にとっての10kmと、サブ3レベルの人にとっての10kmは、負荷が変わってきます。
今回、トレーニングの期分けは行っていません。指導開始の時点でまだ病み上がりであったこと、これまでの走歴から、期分けをせずにトレーニングを進めても、十分に走力を向上させることができると考えたからです。
また、指導開始から約3か月後にフルマラソンを控えていました。目標レースは半年後のレースでしたが、その中間地点でフルマラソンに出場する予定があったため、期分けをスムーズに実行できないと考えました。
コミュニケーションの方法、頻度
コミュニケーションは基本的にLINEで行いました。
ランニングデータは、ガーミンコネクトアプリで実施しました。ランニングデータを見て、トレーニングのパフォーマンスの確認などを行いました。
ポイント練習やロングランの後は、その時のきつさや体感として感じたことをヒアリングさせていただきました。
できるだけ正確な情報を得るため、胸ベルトの心拍計着用を推奨させていただき、承諾いただきました。心拍ベルトを着けることで、主観的な感覚に加えて、トレーニング強度が十分かどうかも客観的に推し量ることが可能となります。
月一回の頻度でテレビ会議も行っています。「その月に目標にしていたことが達成できたか?」、「トレーニングが計画通り消化できたか?」、「来月以降のトレーニング方針は何か?」などの確認を行いました。
パフォーマンス実績
N.S.さんのパフォーマンス実績を紹介します。
パフォーマンス実績
トレーニング後のパフォーマンス実績を紹介します。
今回、11月に出場したフルマラソンが唯一の結果となりました。11月以降は、体調不良等の影響でレースへの出場はありませんでした。
レース実績 | フルマラソン 3時間50分44秒 ←4時間10分17秒 |
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表2:N.S.さんのレース実績
トレーニング指導開始から半年後のレースでサブ4を目標にしていましたが、実際には3か月後のレースで3時間50分44秒を達成することができました。
トレーニングを着実に継続できたことが目標を達成できた一番の要因です。
各個人に沿った柔軟なトレーニング計画
「ランニングを科学する」から提供させていただくオンラインパーソナルトレーニングは、個人の仕事の都合や家庭の事情に沿って、トレーニングメニューを提供させていただきます。
都度、コミュニケーションを取りながら、疲労具合の確認などをさせていただき、頑張りすぎず、ケガをしないトレーニングメニューを提供します。
もし興味がありましたら、以下のページで詳細な説明をしていますので、ぜひご参照ください。
コメント
コメント一覧 (4件)
高強度トレーニングを週1回にして、毎回疲労度を確認させていただいたところ、トレーニング全体としては回復が間に合うことがわかりました。
とありますが、疲労度の確認方法はどのようにしていたのでしょうか。
ガーミンのBodyBatteryなどの指標なのか、本人の主観なのか。
カジ様
コメントありがとうございます。
結論から言うと、本人の主観とトレーニングにおけるパフォーマンスの推移から判断していました。
・まず本人の主観で「疲れている」や「疲労感がある」、などがないこと
・トレーニングのパフォーマンスが横ばい、もしくはなだらかに右肩上がりになっていること
・低強度ジョグでの心拍数で異常値(これまでより異常に高い、低い)がないこと
を指標としていました。
ありがとうございます。
なるほど、とすると客観的な評価指標だと、低強度ジョグの心拍数は大事になりそうですね。
モデレートジョグはいいとして、低強度ジョグもペース一定を守る形でしたでしょうか。
自分は回復走を除けばジョグは心拍ベースで、モデレートに入らないように調節しているのですが、
これだと疲労度評価との兼ね合いが難しそうだなと感じました。
低強度ジョグのペース設定は提示しておりません。
あくまでも、きつさを感じない楽なペースで、という主観的な感覚で行っていただきました。
トレーニングサイクルとして、
EasyとModerateの日を明確に分けています。しかし、Moderate指定の日であってもEasy程度の出力しか出せないようだと、それは疲労が溜まりすぎている、などの判断をします。
一概にEasyの心拍数だけで管理は難しいと思います。