ベータ(β)-アラニン 持久性パフォーマンスを向上させるエルゴジェニックエイド

 こんにちは。管理人のsyu_hibiです。

 今回は持久性パフォーマンスを向上させることができるサプリメント「β(ベータ)-アラニン」について紹介していきます。

 ベータアラニンはあまり知名度が高くありませんが、国際スポーツ栄養学会(ISSN)によって、パフォーマンス向上において効果と安全性に確かなエビデンスがあるとしてカテゴリーA(最上ランク)に分類されている確かなサプリメントです。

 運動時間で言うと、約1~4分程度持続する運動において最も効果が出ると報告されており、トラック陸上競技種目で言うと、400mから3000mくらいまでの種目において効果が期待できると考えられます。

 また、ベータアラニンの作用機構と効果を考えると、5000mといった長距離のメジャー種目においても効果が得られる可能性があります。

 私自身もベータアラニンを摂り始めてからその効果を実感し始めましたので、この度レビューさせていただくことにしました。

 ベータアラニンの効果を説明するためには、高強度運動時に体内で発生する血中水素イオン濃度の上昇(アシドーシス状態)の説明や、その緩衝物質であるカルノシンの説明が必要です。

 順を追って紹介していきます。

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1.体内における水素イオン生成が運動パフォーマンスを制限する

 高強度運動を行うと、体内の水素イオン(H⁺)濃度が上昇することが分かっています。健常者の血中pHは約7.4である事が分かっていますが、水素イオン濃度が上昇すると血中pHが低下しアシドーシス状態となります。

 アシドーシスは中枢神経系と心血管系の両方に機能不全を起こす可能性がある事が分かっており、運動パフォーマンスを大きく損なう可能性があります(図1)。

図1 水素イオン濃度上昇によるアシドーシス状態の発生

 高強度運動を行った時に水素イオン濃度が上昇する要因は以下の3つとなります。

  • 活動筋における二酸化炭素の産生
  • 活動筋における乳酸の産生
  • 活動筋におけるATPの分解

 活動筋が糖質・脂質・タンパク質からエネルギーを得たのち、最終的に二酸化炭素が体内で発生します。これは運動を行わなくても常時発生するものであるため、人が呼吸を行うと、吐いた呼気中には二酸化炭素が多く含まれます。

 二酸化炭素は水と反応して炭酸を生成し、炭酸が分解すると水素イオンが発生します。

CO₂ + H₂O = H⁺ + HCO3⁻

 高強度運動を行うと活動筋の代謝が活発になるため発生するCO₂の量が増加し、結果的に水素イオンの発生量も増加することになります。

 高強度運動を行う際には、解糖系による糖分解が加速するため乳酸の産生量が増加します。乳酸はそれ自体が酸性であるため、血中乳酸濃度の増加はpHが酸性となる要因になります。

 また、活動筋が筋収縮時にATPを分解すると水素イオンが発生します。

ATP + H₂O = ADP + Pi(リン酸) + H⁺

 主にこれら3つの要因で、高強度運動時には血中pHが低下しアシドーシス状態となります。

 水素イオン濃度の上昇が運動パフォーマンスを制限する要因は、

①解糖系及び有酸素性のATP酸性に関わる酵素を阻害し筋肉でのATP産生能力を低下させること
②水素イオンがCa⁺(カルシウムイオン)と結合し筋収縮を妨げること

の2要素が考えられます。

 以上のように、高強度運動時に発生する血中水素イオン濃度の上昇によって運動パフォーマンスが制限されてしまう可能性があります。

2.アシドーシス状態を防ぐ緩衝物質-カルノシン‐

 1.で説明したように、高強度運動時には血中pHが急低下し様々な機能不全が発生してしまいます。それを防ぐ物質が身体中に存在しており、その名を「緩衝物質」と言います。

 緩衝物質は、水素イオン濃度が上昇するとそれを除去し、水素イオン濃度が低下すると逆に水素イオンを放出することでpHの変化に抵抗する物質です。

 筋繊維に存在する緩衝物質の内重要な物質として、カルノシンがあります。 

 カルノシンはベータアラニンヒスチジンから構成される物質です(図2)。

図2 カルノシン・ベータアラニン・ヒスチジンの構造

 カルノシン構成物質の内、ヒスチジンは体内に十分量存在するため、筋肉中のカルノシン濃度はベータアラニン濃度に依存することが分かっています。

3.ベータアラニン摂取による運動パフォーマンス改善

 前述した通り、筋肉中のカルノシン濃度はベータアラニン濃度に依存します。

 実際、2週間以上のベータアラニンの補給(1日2~3g)により、筋中のカルノシン濃度は60~80%上昇します。さらにカルノシン濃度の上昇は筋肉の緩衝能力を3~5%程度上昇させるようです。

 参考にベータアラニンを摂取したことでどのくらい筋肉中のカルノシン濃度が上昇したかを調査した論文の結果を紹介しますが、ベータアラニンを5~6週間、4.8g/日の量を摂取したところ、明確に筋肉中のカルノシン濃度が上昇しました。

※参考文献:Carnosine loading and washout in human skeletal muscles
Audrey Baguet, Harmen Reyngoudt, Andries Pottier, Inge Everaert, Stefanie Callens, Eric Achten, and Wim Derave

 ベータアラニンの補給によって、1~4分間続く高強度運動の走運動と自転車運動のパフォーマンスを改善するという報告が増加しているようです。

 パフォーマンスの改善幅はまだまだ調査余地がありますが、一部研究結果では12~14%のパフォーマンス向上が得られたと報告されているものもあります。

 陸上のトラック種目で言うと、400m~1500m程度の距離が最も効果を得ることができる種目と言えます。

 一方、3000m以上の距離になると体内が酸性に傾くことが比較的少なくなりそうですが、レース中のペース上げ下げ等、一時的に血中pHが急低下する現象は容易に発生することが予想され、ベータアラニン摂取の効果を得ることができる可能性が十分にあると言えます。

4.ベータアラニン摂取方法と注意点-アラニンフラッシュ‐

 ベータアラニンを摂取する上で唯一気を付けなければならない点が「アラニンフラッシュ」です。一度にベータアラニンを多量に摂取すると、摂取後20分後程度から皮膚がぴりぴりする感覚が発生します。

 実際に私自身もベータアラニンの摂取量を変えて試してみたところ、一度に4g以上を摂ると、皮膚がピリピリする感覚を明らかに感じました。体への悪影響はないものの、直感的に「あまりよくない感覚だな」と感じるレベルでした。

 私自身は、一度に摂取するベータアラニンを2g以下とし、一日で合計4gのベータアラニンを摂取し始めました。一回当たりの摂取量が2g以下であれば皮膚がピリピリする感覚もありません。

 ただし、このピリピリ感を感じる摂取量は個人差があるかと思いますので、ベータアラニンを摂取する場合には、始めは少量から試していくことをおすすめします。

5.ベータアラニンを摂取して感じた変化

 ベータアラニンを摂取し始めてしばらく経ちますが、ランニングトレーニングにおいて少し変化を感じ始めました。

 例えばインターバルトレーニングにおいて、これまでは、脚がきつくなってくる感覚(燃えるような痛み、脚が動かない感覚)を先に感じてペースをあげれなくなっていたものが、その感覚が和らぎ、どちらかというと心肺機能がきつくてペースをあげられない感覚も感じるようになってきました。

 心肺機能がきつい場合は、少し我慢すればさらにペースをあげることができます。何が言いたいかというと、「最後まで粘れる感覚」を感じ始めました。

 この点はベータアラニンを摂取し始めてから明らかに感じ始めた変化です。まだ摂取してからレースへの出場が無いためパフォーマンス向上を客観的に評価することは難しいですが、今後レースへ出場し結果が出始めてから、感想等を追記していきたいと思います。

6.ベータアラニンの購入方法

 調べてみると分かりますが、ベータアラニンはAmazonや楽天で容易に手に入れることが可能です。日本で有名なところで言うと、DNSもベータアラニンを販売しています。

 私が使用しているのは、Amazonで購入したJAY&CO.のベータアラニンになります。私が探した中では最もコストパフォーマンスに優れる品物でした。

 他にもマイプロテイン等でも販売がありますので、ご覧ください。

6.まとめ

 では、βアラニンについてまとめます。

  • 高強度運動を行うと体内の水素イオン濃度が高まりパフォーマンスが制限される可能性がある
  • βアラニンは水素イオン濃度を制御する干渉物質「カルノシン」の構成物質
  • 筋肉中のカルノシン濃度はβアラニン濃度に依存する
  • 筋肉中のカルノシン濃度上昇により運動パフォーマンスが向上した例が報告されている
  • βアラニンを摂取する際には「アラニンフラッシュ」に注意する

 いかがでしたでしょうか。

 βアラニンはISSNでも認められている、副作用の少ない確かなサプリメントです。特に1~4分間の競技、また、それ以上の時間を継続する運動でも効果を得られる可能性があります。

 体内の水素イオン濃度を緩衝する機能はトレーニングによって改善することが出来ることが分かっていますが、サプリメントをとるだけでそれが達成できるのであれば、一度試してみる価値はあると思います。

★参考文献

メディカル・サイエンス・インターナショナル
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