トレーニング強度を管理することのススメ。心拍ベルト(ハートレートセンサー)の導入

 こんにちは。管理人のsyu_hibiです。

 先日、故障明け後、約1年振りの本命レースで5000mPBである16分14秒を記録することができました。ほぼイーブンペースで走りきったことや、走ったときの環境条件(気温30℃弱)を考慮すると、環境が整えば16分切りはほぼ確実な状況です。

 今回得られた結果は偶然ではなく、目的を持ったトレーニングを続けてきた結果であると確信しています。

 トレーニング内容にも興味がある方が多いかとは思いますが、今回は、トレーニングの管理についてです。

 2021年5月からトレーニング内容を大きく変え地道に積み重ねてきましたが、トレーニングをする上で一つ、大きな変化与えました。それは、心拍数の正確な把握によるトレーニング強度の管理です。

 参考にしたのは、2021年に開催された2020東京オリンピック陸上競技1500mで優勝した、ヤコブインゲブリクトセンのトレーニング理論です。

 読んでいただくと分かるのですが、普通では考えられないほどのトレーニング強度とボリュームを長年にわたり積みあげてきたようです。

 トレーニングを効果的にし、怪我を防止するためのカギがトレーニング強度の管理である、と語られています。

 ヤコブインゲブリクトセンのトレーニング自体を真似ることは、市民ランナーである以上難しいですが、トレーニング強度の管理については、同様の考え方を取り入れることはできると考えました。

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1.トレーニング強度を管理する方法

 ヤコブインゲブリクトセンは、父親イェトがコーチです。インゲブリクトセン兄弟は兄弟そろってトレーニングを行っており、皆世界レベルの実力者である事から、トレーニングの方向性が正しいことが証明されています。

 トレーニングを正しい強度で管理するために、彼らはトレーニング中に血中乳酸濃度を測定しているようです。高価ではありますが、簡易的な機器Lactate Pro2で、私達でも血中乳酸濃度の測定は可能です。

 血中乳酸濃度は、運動強度と明確に相関することが知られています。

 横軸に運動強度、縦軸に血中乳酸濃度をとると、図1のようになることが明確に分かっています。インゲブリクトセン兄弟は、血中乳酸濃度を管理しながら、トレーニングを積んでいます。

図1 LTとOBLA

 長距離種目は、血中乳酸濃度と記録に明確な相関がある事が分かっており、最も望ましいのは、トレーニングにおける血中乳酸濃度を常に把握できることです。

 しかし、私達市民ランナーが、自分だけの力で、血中乳酸濃度を測定しながらトレーニングを行うことは非常に困難です。そこで、別の方法で運動強度を管理できないかを考えます。

 別の方法として挙げられるのが、自己ベストVDOTから算出したペース・主観・心拍数の3つです。

■VDOTからの算出

 ダニエルズのランニングフォーミュラを既に理解している方であればわかるのですが、直近の自己ベストタイムから、その実力に合ったトレーニングでの設定ペースをおおよそ算出することができます。

 その際に使用するのが、VDOT Calculatorです。使い方は別の記事で解説しています。

※VDOT Calculatorの使い方

 私も以前までは、VDOTに基づいたペース設定でトレーニング強度を管理していました。

 しかし、この管理方法では問題がありました。それは、体の調子によっては、計画した設定タイム通りにこなせず、トレーニングを途中でやめてしまうことがある事、また、設定ペースを守るために、練習で追い込みすぎること、の2点です。

 そうなると結果的に、狙ったトレーニング効果を得ることができないことや、負荷が高すぎることによる怪我をしてしまう、などが発生してしまいます。

■主観による強度設定

 主観による強度を数値化したものをRPE(ratings of perceived exertion)と呼んでいます。

 スウェーデン人のボルグによって考案されたため、表1はボルグ・スケールと呼ばれています。この数値を10倍した数が大体その時の心拍数になるようです。またフルマラソンのレースペースは13くらいだと言われています。

表1 ボルグ・スケール

 主観だと強度が安定しないのではないか?と不安に思うランナーもいるかと思います。

 しかし、実際に主観を元にトレーニングを行うと、結構心拍数の再現性が高い(=強度が同じ)ことが分かります。今私自身は、心拍数を基準に強度管理を行っていますが、きつい中で心拍を頻繁に確認できないときには割と主観に頼っているのが現状です。

 トレーニング後に、トレーニング中の心拍データを確認すると、ほぼ感じた通りの心拍数になっていることがほとんどです。

■心拍数

 おそらく、血中乳酸濃度が測定できないという条件の中では、最も定量的にトレーニング強度を管理する方法が、心拍数の管理だと思われます。

 理由は、心拍数は心拍計でほぼ正確に測定することが可能であるためです。腕時計に内蔵されている光学心拍センサーでは、心拍の急激な変動に対応できなかったり、頻繁にノイズが入ってしまったりしますが、心拍ベルト(ハートレートセンサー)を使えば、リアルタイムに正確な心拍数を測定できます。

 ただし、一つ留意しなければならないことは、血中乳酸濃度と心拍数は相関している傾向はあるものの、相関を示す研究結果は出ていない、ということです。

 過去の測定結果等から、目安となる心拍数と血中乳酸濃度の対応表を示します(※あくまで参考値であり、個人差が相当あるようです)。

強度域心拍数
(%HRmax)
血中乳酸濃度
(mmol/L)
160~720.8~1.5
272~821.5~2.5
382~872.5~4.0
488~924.0~6.0
593~1006.0~10.0
表2 心拍数と血中乳酸濃度の対応表

 従って、心拍数をベースに強度を管理していきますが、そこに「主観」という判断を加えることによって、できるだけ血中乳酸濃度を元に管理した場合と同じレベルで管理できるように工夫をしています。

2.心拍数で強度を管理するようになって変わったこと

心拍数を管理するようになってから、以下の点が大きく変わりました。

■練習を腹八分で終われるようになった

 以前までは、メインの練習を終える時は膝に手をついてしばらく動けなくなるくらい追い込んでしまっていた時もありました。

 しかし、現在では、メインの練習が終わるときでも「あと一本頑張れば行けそうだな」というところで終えるようになりました。

 この影響なのか、これまではポイント練習翌日のEasyジョグ日にも、かなりの疲労感を感じていたことも多かったのですが、今では、ポイント練習をした翌日でもそこまで疲労を感じず、トレーニングを継続することができています。

 結果として、ロングランを含めて週3回のポイント練習をコンスタントにこなすことができており、非常にいいサイクルでトレーニングを進めることができています。

 有名なマラソンランナーであるキプチョゲ選手も、トレーニングで追い込み過ぎないことで有名です。以前本ブログで紹介させていただいた川内優輝選手にしても、練習強度を上げすぎないことで怪我をせず、長く練習を継続した結果、素晴らしい成績をのこすことができたと語っています。

■計画した練習をやり切れるようになった

 心拍数を基準に強度管理をすると、ペース設定を設定する行為が発生しません。ある程度「このくらいで行けたらいいな」というペースはあらかじめ想定してトレーニングに臨みますが、いざトレーニングが始まり、狙ったペースに達していなくとも、主観や心拍数が狙った強度に達していたら、良しとします。

 そうなると、トレーニングを失敗する、ということがそもそも発生しません。従って、確実にトレーニングをやりきることができます。

■練習前の精神的ハードルが下がった

 主観的なきつさを毎回概ね揃える関係上、練習に臨む前の精神的ハードルがかなり下がりました。

 以前までは、少し無理してでも、狙ったペースに達するために、頑張ることがありました。これだと、体の調子が比較的悪い時は、非常にきつさを感じるため、精神的にかなり苦しくなってしまいます。

 これが練習の継続性を失わせたり、練習前の憂鬱感を感じさせたりする原因になっていました。

 今では、インターバルだったらインターバルなりの、ペース走だったらペース走なりの、主観的きつさ・心拍数でコントロールするため、練習毎にきつさが大きく変わることがありません。毎回予想できるきつさであるため、練習前の憂鬱感等はほとんど感じなくなりました。

3.心拍ベルトの正確さ

 心拍ベルトで心拍数を測定すると、どの程度正確に測定できるかを紹介します。

 図2に、Garmin(ガーミン)の心拍ベルトHRM-Dualで測定した心拍数と、Garmin Foreathlete245光学心拍センサーで測定した心拍数の比較を載せます。どちらも心拍数の変動が大きいインターバルトレーニングで測定した結果です。

図2 心拍ベルトと腕時計光学心拍センサーの比較

 結果から明らかなように、腕時計ではほとんど正確に測定できていないのに対し、心拍ベルトでは、かなり感度よく測定ができています。

 ちなみに、腕時計で可能な限り正確に測定する方法を検証をしました。知りたい方は次の記事を参考にして下さい。

 しかし今の技術では、腕時計内臓の光学心拍センサーで正確に測定し切ることは難しいと、ガーミン公式のホームページでも紹介されています。

4.心拍ベルトのおすすめ

 最後に、私が使用しているGarmin(ガーミン)の心拍ベルトを紹介します。

 私自身が使用しているのは、HRM-Dualです。

 ガーミンでは、ランニング用心拍計として上位機種であるHRM4-Runが発売されていますが、HRM4-Runはランニングダイナミクス測定機能を内蔵している機種となっています。

 私自身は、ランニングダイナミクスポッドは別に持っていたので、今回はHRM-Dualにしました。

 腕時計もガーミンなので、純正品同士であれば不具合などもなく安心できますね。

いかがでしたでしょうか。

今回は、故障明け後、記録を大きく伸ばすことができたトレーニングの強度管理について紹介しました。もし、練習がやり切れない、などの悩みを抱えている方がいれば、是非一度試してみてはいかがでしょうか。

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