【ガーミン HRM-Dual(ハートレートセンサー)のレビュー】トレーニング強度を正確に管理

HRM-Dual

※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。改訂履歴は記事の最後に記載しています。

こんな疑問を解消
  • ガーミンのHRM-Dual(ハートレートセンサー)はどのくらい精度がいいの?
  • ハートレートセンサーを使うメリットは?
  • 他のメーカーのハートレートセンサーと比較してどうなの?

 インターバルトレーニング等の心拍数が急上昇/急低下するようなトレーニングで心拍数を正確に測るためにハートレートセンサーの購入を検討している方も多いのではないでしょうか。

 私は社会人から本格的にランニングを始めた市民ランナーです。月500km程を走り競技志向でランニングに取り組んでいます。

 私自身は1年以上前からガーミン(Garmin)のHRM-Dualを使用し始めました。

 ここでは、ガーミンのHRM-Dualのレビューと、ハートレートセンサーを持つメリットを紹介します。

 私自身が思う最大のメリットは、「トレーニング強度を正確に管理できること」です。トレーニング効果を最大化したり、怪我を防止することができます。

ガーミン HRM-Dual ハートレートセンサーのまとめ
  • 腕時計の光学式心拍計に比べて、心拍数の急変動が発生しても正確に心拍数を測定可能
  • 心拍数を正確に測定するメリットはトレーニング強度を定量的に管理できること
  • ハートレートセンサーはベルトが先に壊れやすい。別メーカーのベルトでも代用可能
目次

ガーミン HRM-Dualについて

ガーミン HRM-Dual

 ガーミンのHRM-Dualは胸ベルト式のガーミン純正ハートレートセンサーです。

 胸ベルトは電気式の心拍計であり、光学式の心拍計に比べて正確に心拍数を測定することができます。

ハートレートセンサーの精度

 ハートレートセンサーで心拍数を測定すると、どの程度正確に測定できるかを紹介します。

 図2に、Garmin(ガーミン)のハートレートセンサーHRM-Dualで測定した心拍数と、Garmin Foreathlete245光学心拍センサーで測定した心拍数の比較を載せます。

 どちらも心拍数の変動が大きいインターバルトレーニングで測定した結果です。

図2 心拍ベルトと腕時計光学心拍センサーの比較

 結果から明らかなように、腕時計ではほとんど正確に測定できていないのに対し、ハートレートセンサーでは、かなり感度よく測定ができています。

 今の技術では、腕時計内臓の光学心拍センサーで正確に測定し切ることは難しいと、ガーミン公式のホームページでも紹介されています。

心拍数の急上昇/急低下が発生するトレーニングで心拍数を正確に測定する場合にはハートレートセンサーが必須です。

 低強度のトレーニングのみであれば、腕時計の光学心拍計でも十分です。おすすめの心拍計は次の記事で紹介しています。

ハートレートセンサーの使い方

 ハートレートセンサーのペアリング方法と使い方を紹介します。

 ハートレートセンサーを胸に着用した状態でないとペアリングができないので注意してください。

ランニングウォッチとハートレートセンサーをペアリングする

 ガーミンのランニングウォッチとペアリングさせます。

 一度ペアリングに成功すれば、次回以降は再びペアリング操作をする必要はありません。

Upボタン長押し >> センサー >> 追加 >> 心拍計

と選択していくと、センサーの検索を開始します。

センサーの検索が完了すると、センサーが検出されます。

※センサーがうまく検出されない場合は「何度か検索してみる」、「ランニングウォッチを再起動してみる」、「センサーの電池を一旦外してもう一度つける」、などを試してみてください。

 センサーが検出されたら、選択すると接続されます。

ランニングウォッチと接続されたことを確認し、そのまま走り出す

 ハートレートセンサーを着用した状態で、ランニングウォッチをランモードに切り替えると、自動的にHRM-Dualを検出し、接続されます。

 そのまま走り出せば、ハートレートセンサーによるデータ計測が開始されます。

心拍数を正確に測定するメリット:トレーニング強度の定量管理

 以下では、心拍数を正確に測定するメリットであるトレーニング強度の管理について説明します。

トレーニング強度を正確に把握できる

 私自身、2021年6月からハートレートセンサーを使用し始めました。

 2021年5月からトレーニングをする上で一つ、大きな変化与えました。それは、心拍数の正確な把握によるトレーニング強度の管理です。

 参考にしたのは、2021年に開催された2020東京オリンピック陸上競技1500mで優勝した、ヤコブインゲブリクトセンのトレーニング理論です。

 トレーニングを効果的にし、怪我を防止するためのカギがトレーニング強度の管理である、と語られています。

 ヤコブインゲブリクトセンのトレーニング自体を真似ることは、市民ランナーである以上難しいですが、トレーニング強度の管理については、同様の考え方を取り入れることはできると考えました。

トレーニング強度の定量化方法

 ヤコブインゲブリクトセンは、父親がコーチです。インゲブリクトセン兄弟は兄弟そろってトレーニングを行い、皆が世界レベルの実力者であり、トレーニングの方向性が正しいことが明らかです。

 トレーニングを正しい強度で管理するために、彼らはトレーニング中に血中乳酸濃度を測定しています。血中乳酸濃度は、運動強度と明確に相関することが知られています。

 しかし、血中乳酸濃度の測定は専用の機器が必要であり市民ランナーで導入することは困難です。

 トレーニング強度を把握する方法として挙げられるのが、自己ベストVDOTから算出したペース主観心拍数の3つです。

VDOTからペースを設定する

 ダニエルズのランニングフォーミュラを既に理解している方であればわかるのですが、直近の自己ベストタイムから、その実力に合ったトレーニングでの設定ペースをおおよそ算出することができます。

 その際に使用するのがVDOT Calculatorです。私も以前までは、VDOTに基づいたペース設定でトレーニング強度を管理していました。

 しかし、この管理方法では問題がありました。

 体の調子によっては、計画した設定タイム通りにこなせず、トレーニングを途中でやめてしまうことがある事、設定ペースを守るために、練習で追い込みすぎること、の2点です。

 そうなると結果的に、狙ったトレーニング効果を得ることができないことや、負荷が高すぎることによる怪我をしてしまう、などが発生します。

主観による強度設定:ボルグスケール

 主観による強度を数値化したものをRPE(ratings of perceived exertion)と呼んでいます。

 スウェーデン人のボルグによって考案されたため、表1はボルグ・スケールと呼ばれています。

 この数値を10倍した数が大体その時の心拍数になるようです。またフルマラソンのレースペースは13くらいだと言われています。

表1 ボルグ・スケール

 主観を元にトレーニングを行うと、結構心拍数の再現性が高い(=強度が同じ)ことが分かります。

 今私自身は、心拍数を基準に強度管理を行っていますが、主観的なきつさと心拍数が整合しているかは常にチェックしています。

 トレーニング後に、トレーニング中の心拍データを確認すると、ほぼ感じた通りの心拍数になっていることがほとんどです。

心拍数:客観的かつ定量的に強度を管理できる

 血中乳酸濃度が測定できないという条件では、最も定量的にトレーニング強度を管理する方法が、心拍数の管理だと考えます。

 理由は、心拍数は心拍計でほぼ正確に測定することが可能であるためです。

 心拍ベルト(ハートレートセンサー)を使えば、リアルタイムに正確な心拍数を測定できます。

 ただし、一つ留意しなければならないことは、血中乳酸濃度と心拍数は相関している傾向はあるものの、相関を示す研究結果は出ていない、ということです。

 身体の疲労度によっては、強度と心拍数が乖離します。

 過去の測定結果等から、目安となる心拍数と血中乳酸濃度の対応表を示します(※あくまで参考値であり、個人差が相当あるようです)。

強度域心拍数
(%HRmax)
血中乳酸濃度
(mmol/L)
160~720.8~1.5
272~821.5~2.5
382~872.5~4.0
488~924.0~6.0
593~1006.0~10.0
表2 心拍数と血中乳酸濃度の対応表

 したがって、心拍数をベースに強度を管理していきますが、「主観」という判断を加えることで、できるだけ血中乳酸濃度を元に管理した場合と同じレベルで管理できるように工夫をしています。

心拍数で強度を管理するようになって変わったこと

 心拍数を管理するようになってから、以下の点が大きく変わりました。

心拍数で強度管理すようになり変わったこと
  • 練習を腹八分で終われる
  • 計画した練習をやり切れる
  • 練習前の精神的ハードルが下がった

練習を腹八分で終われるようになった

 以前までは、メインの練習を終える時は膝に手をついてしばらく動けなくなるくらい追い込んでしまっていた時もありました。

 しかし、現在では、メインの練習が終わるときでも「あと一本頑張れば行けそうだな」というところで終えるようになりました。

 これまではポイント練習翌日のEasyジョグ日にも、かなりの疲労感を感じていましたが、今では、ポイント練習をした翌日でもそこまで疲労を感じず、トレーニングを継続できています。

 結果として、ロングランを含めて週3回のポイント練習をコンスタントにこなすことができており、非常にいいサイクルでトレーニングを進めることができています。

 有名なマラソンランナーであるキプチョゲ選手も、トレーニングで追い込み過ぎないことで有名です。

 以前本ブログで紹介させていただいた川内優輝選手にしても、練習強度を上げすぎないことで怪我をせず、長く練習を継続した結果、素晴らしい成績をのこすことができたと語っています。

計画した練習をやり切れるようになった

 心拍数を基準に強度管理をすると、ペース設定を設定する行為が発生しません。

 ある程度「このくらいで行けたらいいな」というペースはあらかじめ想定してトレーニングに臨みますが、狙ったペースに達していなくとも、主観や心拍数が狙った強度に達していたら、良しとします。

 「トレーニングを失敗する」ということがそもそも発生しません。確実にトレーニングをやりきることができます。

練習前の精神的ハードルが下がった

 主観的なきつさを毎回概ね揃える関係上、練習に臨む前の精神的ハードルがかなり下がりました。

 以前までは、少し無理してでも、狙ったペースに達するために、頑張ることがありました。体の調子が比較的悪い時は非常にきつさを感じるため、精神的にかなり苦しくなってしまいます。

 これが練習の継続性を失わせたり、練習前の憂鬱感を感じさせたりする原因になっていました。

 今では、インターバルだったらインターバルなりの、ペース走だったらペース走なりの、主観的きつさ・心拍数でコントロールするため、練習毎にきつさが大きく変わることがありません。

 毎回予想できるきつさであるため、練習前の憂鬱感等はほとんど感じなくなりました。

他製品:キャットアイHR-11との比較

HR-11

 私は、毎日心拍ベルトを使うため、2つ目の胸ベルト式心拍センサーとしてキャットアイのHR-11を購入しました。

 こちらの方が、Garminよりも安価です。

 精度やペアリングは全く遜色なく、使用することができています。

 ただ、これは完全に個体の問題だとは思いますが、HR-11が一度動作不具合が発生し、製品交換となっています。

 しかし、製品交換の際にも、メーカー側に真摯に対応いただき、スムーズに対応いただけました。日本企業なので安心です。

ベルトが先に壊れやすい:純正ベルトでなくても使える

 ハートレートセンサーはセンサー部とベルト部で構成されますが、ベルト部の電極部が剥がれて壊れるパターンが多いです。

 胸ベルトは消耗品なのですが、胸ベルトの電極ベルト予備は、サイズさえ合っていればセンサーのメーカーが異なっても使いまわすことが可能です。

 私はガーミンのHRM-DualとキャットアイのHR-11を持っています。

 HRM-Dualの電極ベルトが剥がれてきたので、キャットアイのベルトで使いまわしています

 ガーミン HRM-Dual純正ベルト(5千円)はかなり高いので、キャットアイの電極ベルト(千円以下で購入可能)を予備として購入することをおすすめします

HRM-Dualの購入方法

 基本はAmazon、楽天、Yahooの通販で安く購入することができます。

 是非、ハートレートセンサーの導入を検討してみて下さい。

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血中乳酸濃度と心拍数を測定しながら、怪我せず「楽に」速くなるトレーニングを追求します。

【トレーニング記録やレース結果】など、
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ぜひ訪れてみてください^^

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コメント

コメント一覧 (2件)

    • コメントありがとうございます!

      本記事の公開は2021年10月11日となっております。
      ご提示いただいた記事を詳しくは見ていませんが、公開日時を比較すると、こちらの記事が先に公開されたものになります。

      細かいテキストの内容がかなり似ていて、私自身もびっくりしました・・・

      有用だと思ってもらったと、前向きにとらえようと思いますが、
      運営者の方には、問い合わせしてみます。

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