【ヤッソ800(インターバル走)】練習法の紹介とトレーニング効果を考察

 こんにちは。管理人のsyu_hibiです。

 今回は市民ランナーの間で広く知られているヤッソ800の練習法を紹介し、そのトレーニング効果を私自身の実体験と生理学に基づいて考察していきます。

 ヤッソ800はインターバルトレーニングの一種です。 

 インターバルは、疾走と休息を繰り返すトレーニングです。疾走距離は400m程度の短い距離から1600m程度の長い距離まで、目的に応じてアレンジすることができます。次の記事でインターバルトレーニングの目的や練習法について紹介しています。

 本記事は、「ヤッソ800という練習方法をよく聞くけど、他のインターバルトレーニングと比較して効果はどう違うのか?」というような疑問を解決するため、生理学や私自身の実体験に基づき、ヤッソ800のトレーニング効果について考えていきます。

 私自身が行ったヤッソ800の振り返り記事を下記に紹介しておきます。

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1.ヤッソ800のやり方

 詳しく知らない方のために、ヤッソ800のトレーニング方法を紹介します。

 ヤッソ800は、800mの疾走と400mのジョギングを10回繰り返すインターバルトレーニングです。市民ランナーの間で人気となっている理由は、疾走区間とレスト区間の設定ペースが分かりやすいからです。

 設定ペースはフルマラソンの記録から算出します。例えば、フルマラソンの記録が3時間ちょうどの場合、「800mを3分で走り、400mを3分でジョギングする」のような設定ペースを決めます。細かい計算が必要なく、とても分かりやすいですね。

 ダニエルズのランニング・フォーミュラで紹介されているインターバルトレーニングのやり方では、レストの取り方について「疾走時間と同じくらいかそれ以下の時間」となっています。ヤッソ800ではその条件を満たせていることが分かります。

2.ヤッソ800はどんなレベルの人に効果的か

 ヤッソ800はインターバルトレーニングの一種ですので、主なトレーニング目的は最大酸素摂取量の向上です(詳しくはインターバル走についての考察記事)。

 しかし、自分自身の実体験や周囲の方の話を聞いた結果、フルマラソンでサブスリー以上の実力がある人向けのトレーニングである事が分かってきました。

 理由としては、フルマラソンでの記録がサブスリー以下の人にとっては、ヤッソ800の設定ペースでは楽すぎる傾向にあるからです(※実際のランナーにヒヤリングした結果です)。

 また、このことはVDOT Calculatorの計算からも示されています。ヤッソ800の設定ペースVDOT Calculatorにてフルマラソンの記録から計算したインターバルペースを比較すると、フルマラソンでの記録が向上するほど、ヤッソ800の設定ペースが厳しくなっていくことが分かります(図1)。

図1 VDOT Calculatorとヤッソ800設定から算出したIペースを比較

 ヤッソ800の設定ペースとVDOT Calculatorにてフルマラソンの記録から計算したインターバルペースがほぼ一致するのが、フルマラソンの記録が2時間38分の時(ヤッソ800の設定ペースが2:38/km)です。ランナーの感覚とも合うことが分かりました。

3.ヤッソ800の効果を考察

 ヤッソ800の効果を考察していきます。インターバルトレーニングとして得られる効果は別記事で紹介しています(インターバル走についての考察記事)。ここではヤッソ800特有の効果を考えていきます。

 ここでは主に、1000m×5などの、ヤッソ800よりも1回当たりの疾走距離が長いロングインターバルとの比較、という形で話を進めていきます。

■生理学的観点

 生理学的な観点から効果を考察する場合、インターバルにおける疾走速度が重要となります。ヤッソ800では、1回当たりの疾走距離が800mとなっており比較的短め、レスト時間が疾走時間と同じであることから、レスト時間は長めの設定です。

 1000m×5などのオーソックスなインターバルトレーニングでは、レスト時間が長くても2分程度です。

 そのため、ヤッソ800では1回当たりの疾走速度を高めることができる傾向にあります。実際に私自身が行った時も、1本ずつ集中して疾走速度を維持することができました。

 インターバル走についての考察記事でも紹介していますが、最大酸素摂取量を向上させるためには高い疾走速度をできるだけ維持することが練習のポイントです。ヤッソ800ではレスト時間が長く一回当たりの疾走距離が比較的短いことが、1本あたりの疾走速度を上げることができる理由です。

 レスト時間が長いことで最大酸素摂取量向上の効果が低下するのではないかということです。これについては、十分な疾走速度が確保できたうえで「主観的にきつい」と感じることができていれば、そのインターバルトレーニングは自分にとって最適化されていると考えてよいと思います。

 また、疾走速度を上げることで、速筋繊維も多く動員されることが期待できます。速筋繊維への刺激を入れることで、「中間型速筋繊維」への変化を促すことができ、強い力を長い時間発揮できるようになります(中間型速筋繊維の重要性はこちらの記事で紹介しています)。

 マラソンにおいてハイペースを持続するためには、遅筋繊維だけでなく速筋繊維にも働きかけ、速筋繊維でのミトコンドリア生合成を促していくことが必要です。

■練習の継続性

 最大酸素摂取量を向上させるためには高い疾走速度をできるだけ維持することが練習のポイントだと述べました。トレーニングをやり切れず途中でペースが落ちてしまうと、練習効果が下がってしまいます。

 私自身が感じてきたこととして、特に単独でトレーニングを行っていると、ロングインターバル走では、途中で苦しくなってペースが落ちてしまったり、途中で諦めてしまうことが割とありました。それと比べヤッソ800は、レスト時間が十分にあるため、何とか練習をやりきれる確率が高いです。

 練習の継続性や再現性という観点から考えると、ロングインターバルよりも練習をやり切りやすく、結果として長期で見ると、効果を十分に得られる可能性があります。

■レースの再現性

 インターバルトレーニングを5000mレースにできるだけ近い練習として取り入れているランナーもいらっしゃるでしょう。

 5000mのレースを再現する練習としては、ヤッソ800は不適です。理由としては、疾走毎のレストが長いため、5000mレースの途中で感じるような、きつい中でもハイペースを持続する力が身につきにくい(正確には、体験しにくい)からです。

 5000mレースに近い時期に行う、レースの再現を求めたトレーニングでは、レスト時間を短めに設定したロングインターバルに取り組みましょう。

■定点観測として

 ヤッソ800は、自分の実力を定期的に測定するトレーニングとして有効だと考えます。先にも述べたようにレスト時間が比較的長いため、練習をやり切りやすいことから、定期的に取り組みやすい特徴があります。

 また、ヤッソ800でこなせたペース設定が、計算上はそのままフルマラソンタイムに換算できるので、わかりやすさもありますね。

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4.ヤッソ800の練習場所等

 ヤッソ800は、疾走距離とリカバリーの距離がそれぞれ800m、400mと固定されているため、できれば陸上競技場で行うことが望ましく、わかりやすいと思います。

 しかし、陸上競技場が使えない場合、公道でトレーニングを行う必要がありそうです。

 その場合は、約1.2kmに渡り信号が無い道で、ガーミンのワークアウト機能(その他GPS付ランニングウォッチでも同様の機能があるかもしれません)を使ってトレーニングをすることをおすすめします。

 800mと400mを正確に測る手段を持っていない市民ランナーの方が圧倒的多数だと思います(距離を計測するメーターは持っていないですよね)。その場合、広く普及しているGPS付ランニングウォッチーを利用することが一番早いです。

 しかし、インターバルトレーニングのような苦しいトレーニングをやっている最中に、「後残り50mだ・・・」というように、腕時計の画面を見ながら走るのは辛いですよね。

 そんな時に有効なのが、ガーミンのワークアウト機能です。

 「Garmin Connect(ガーミンコネクト)」で、トレーニングメニューを組んでおくことができる機能になります。例えば、「1000m×5本 レスト60秒」というインターバルのワークアウトを設定しておくと、時計をスタートさせると同時にインターバルの1本目がスタートします。

 上手に設定ができていれば、GPS計測で1000mに到達した時点で、自動的にラップがとられ、レスト60秒が開始されます。レストが終わったら再び1000mが自動でスタートする、というような機能です。

 ワークアウト機能を使うことができれば、今まで走ったことが無い場所でも、信号が無く車の通りが少ない場所を選べば、インターバルトレーニングを行うことができます

 ガーミンのワークアウト機能について設定方法は次の記事で紹介しています。

 私自身はGarmin Foreathlete 245を使用しており、とてもお勧めです。特にGPSを捕捉するまでの時間が短いことが嬉しいです。

 いかがでしたでしょうか。

 ヤッソ800は市民ランナーの中でも人気があるトレーニングのうちの一つです。まだインターバルトレーニングを取り入れたことが無いというランナーは、まず少ない本数からヤッソ800に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考文献:

著:ジャック・ダニエルズ, 監修:前河洋一, 翻訳:篠原美穂
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編集:Iñigo Mujika, 翻訳:長谷川 博, 翻訳:中村 大輔, 翻訳:安松 幹展, 翻訳:桜井 智野風, 翻訳:久保 啓太郎, 翻訳:禰屋 光, 翻訳:伊藤 静夫, 翻訳:相澤 勝治, 翻訳:鬼塚 純玲, 翻訳:田中 美吏, 翻訳:安藤 創一, 翻訳:加藤 晴康
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