【ヤッソ800】練習方法・ペース表・トレーニング効果を徹底解説

ヤッソ800
こんな疑問を解消
  • ヤッソ(yasso)800とは?
  • ヤッソ800の効果が知りたい
  • ヤッソ800はどんなランナーが取り組んだらいいの?

 サブ3を目指すような中級者以上のランナーでヤッソ800のやり方や効果について知りたいと思っている方もいると思います。

 私自身も、様々なインターバルトレーニングを行ってきましたが、ヤッソ800にも継続的に取り組んでおり、その効果を実感しています。

 ここでは、運動生理学や私自身の実体験に基づき、ヤッソ800のトレーニング効果について考えていきます。

 本記事を読めば、ヤッソ800で得られる効果を理解することができ、今の自分に取り入れるべきトレーニングかどうかを判断することができます。

ヤッソ800について
  • ヤッソ800は、800m疾走+400mリカバリージョグのインターバルトレーニング
  • フルマラソンサブ3のレベルから有効なトレーニング
  • レストが十分に長いため、精神的な障壁が低く取り組みやすい
  • トレーニングボリュームが稼げるため、フルマラソン向けのトレーニング
著者:らんしゅー
日比野就一

社会人からランニングを始めました。
理論に基づいたトレーニングで、
どこまで記録を伸ばすことができるか挑戦。
競技志向で取り組んでいます。
自己紹介・記録変遷はこちら

血中乳酸濃度や血糖値も測定。
マラソンへ科学的にアプローチします。

★自己ベスト
 1500m 4:25(2022/08)
 5000m 16:01(2022/09)
 10000m 33:44(2021/12)
 ハーフ 1:12:29(2022/03)
 フル 2:40:15(2026/03)

著者:らんしゅー
日比野就一

  社会人からランニングを始めました。
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  ★自己ベスト
   1500m 4:25(2022/08)
   5000m 16:01(2022/09)
   10000m 33:44(2021/12)
   ハーフ 1:12:29(2022/03)
   フル 2:40:15(2026/03)

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目次

ヤッソ800とは:800mインターバル走のこと

 ヤッソ800は「800mの疾走と400mのジョギングを10回繰り返すインターバルトレーニング」です。市民ランナーの間で人気となっている理由は、疾走区間とレスト区間の設定ペースが分かりやすいからです。

 設定ペースはフルマラソンの記録から算出します。

ヤッソ800の設定ペース・レストの設定例
  • マラソンの記録が3時間:800mを3分で走り、400mを3分でジョギング
  • マラソンの記録が2時間30分:800mを2分30秒で走り、400mを2分30秒でジョギング

 以下に、フルマラソン目標タイム別のヤッソ800設定ペース一覧を示します。

フルマラソン目標タイム800m 疾走ペース400m リカバリー
2時間30分(サブ2.5)2分30秒2分30秒ジョグ
2時間50分2分50秒2分50秒ジョグ
3時間00分(サブ3)3分00秒3分00秒ジョグ
3時間15分3分15秒3分15秒ジョグ
3時間30分(サブ3.5)3分30秒3分30秒ジョグ
4時間00分(サブ4)4分00秒4分00秒ジョグ
表 フルマラソン目標タイム別のヤッソ800設定ペース

 なお、後述するようにサブ3.5〜サブ4レベルのランナーにとっては、ヤッソ800の疾走ペースがVO2max強度に届かない可能性があります。その場合はVO2max向上よりも乳酸閾値付近のボリューム練習として位置づけるか、設定ペースを少し速めに調整して取り組む方法があります。

 ダニエルズのランニング・フォーミュラで紹介されているインターバルトレーニングのやり方では、レストの取り方について「疾走時間と同じくらいかそれ以下の時間」となっています。

 インターバルトレーニングに関するネットワークメタアナリシス※1では、VO2max向上に最も効果的なwork:rest比(WRR)は約0.85(疾走140秒に対してリカバリー165秒程度)であることが報告されています。ヤッソ800の1:1(同時間)はこの最適値に近く、理にかなった設定といえます。

 また、400mをジョギングで行う積極的回復(アクティブリカバリー)は、受動的回復(完全休止)と比べてVO2max向上においてより有利であることが、RCT研究※2でも確認されています。

ヤッソ800は中級者向け(サブ3程度以上)のトレーニング

 ヤッソ800の設定ペースはVO2max強度に該当します。VO2maxインターバルの一種です。VO2maxインターバルトレーニングについては、次の記事で詳しく解説しています。

 ヤッソ800の設定ペースの決め方を考慮すると、「誰にでも有効である」とは言えないと考えています。

 自分自身の実体験や周囲の方の話を聞き、そこから導き出した私自身の意見としては、フルマラソンでサブスリー以上程度の実力がある人向けのトレーニングである事が分かってきました。

 理由としては、フルマラソンでの記録がサブスリーよりも遅い人にとっては、ヤッソ800の設定ペースが楽すぎる傾向にあるからです(※実際のランナーにヒヤリングした結果)。

 このことはVDOT Calculatorの計算からも示されます。

 ヤッソ800の設定ペースVDOT Calculatorにてフルマラソンの記録から計算したインターバルペースを比較すると、フルマラソンの記録が高いほど、ヤッソ800の設定ペースが厳しくなることが分かります。

 

ヤッソ800 ペース設定
図 VDOT Calculatorとヤッソ800設定から算出したIペースを比較

 図におけるオレンジの点がヤッソ800での設定ペースを示しており、青い点がVDOT計算機から算出したインターバルペースになります。

 ヤッソ800の設定ペースとインターバルペースがほぼ一致するのが、フルマラソンの記録が2時間38分の時(ヤッソ800の設定ペースが2:38/km)です。

 2時間38分よりフルマラソンのタイムが速いランナーは、ヤッソ800のペースがVDOT計算機から算出できるインターバルペースよりも速くなります。

 サブ3のレベルでは、ダニエルズのランニング・フォーミュラで提案されているインターバルペースに到達しないため、VO2maxインターバルトレーニングとしての強度は下がることが分かります。

 したがってヤッソ800は中級者から上級者向けのトレーニングだと言えます。

出版情報
出版した電子書籍シリーズ(サブ3・サブ4・閾値トレーニング)

「走り込んでいるつもりが、見落としている部分があるかもしれません」——量・質・頻度、そのすべてがかみ合って初めてタイムは伸びます。血中乳酸濃度の実測データに基づく電子書籍シリーズ、全3冊。

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ヤッソ800の効果・メリット・デメリット

 ヤッソ800の効果・メリット・デメリットを考察します。

最大酸素摂取量(VO2max)の向上

 疾走ペースを適切に設定すれば、最大酸素摂取量の向上が見込めます。最大酸素摂取量(VO2max)を効率よく向上させるためには、疾走強度とVO2max水準での滞在時間(T@VO2max)がカギを握ります。

 RCT研究※3では、4×4分のインターバルを最大心拍数(HRmax)の90〜95%で行うと、VO2maxが平均13%向上することが示されています。HIITのプログラミングに関する大規模レビュー※4は、「VO2maxの90%以上に費やす時間(T@VO2max)がHIITの心肺効果を評価する最重要指標」と位置づけています。

 ヤッソ800では1本あたり800mを150〜180秒かけて走るため、VO2max向上に最適な疾走時間(約140秒)※1に近い範囲で高強度刺激を積み上げることができます。レスト時間が十分に長いため、1本ずつの疾走速度を高めてT@VO2maxを確保しやすい構造になっています。

 実際に私自身が行った時も、1本ずつ集中して疾走速度を維持することができました。

 最大酸素摂取量を向上させるためにはVO2maxに近い疾走速度をできるだけ維持することが練習のポイントです。

トレーニングボリュームを高めることができる

 レスト時間が長く、疾走の繰り返し本数を高めやすいことから、トレーニングボリュームを稼ぎやすいトレーニングであると言えます。

 特にフルマラソンレースを目標としているランナーであれば、疾走強度だけでなくトレーニングボリュームも同様に重要です。骨格筋のミトコンドリア適応に関するレビュー※5によると、ミトコンドリア含量(量・密度)はトレーニングボリューム依存で増加することが明らかにされています。繰り返し本数を確保してボリュームを稼ぐヤッソ800は、フルマラソンに向けたミトコンドリア適応を引き出しやすいといえます。

 1000m × 5のようなトレーニングの方が5000mレースに対する特異性は高いですが、フルマラソン向けのトレーニングとしては、トレーニング全体でボリュームを稼ぐことができるヤッソ800の方が適している可能性が高いと言えます。

練習を継続しやすい

 最大酸素摂取量を向上させるためには高い疾走速度をできるだけ維持することが練習のポイントであるため、トレーニングをやり切れず途中でペースが落ちてしまうと、練習効果が下がります。

 私自身が感じてきたこととして、特に単独でトレーニングを行っていると、ロングインターバル走では、途中で苦しくなってペースが落ちてしまったり、途中で諦めてしまうことがありました。

 それと比べヤッソ800は、レスト時間が十分にあるため、何とか練習をやりきれる確率が高いです。

 練習の継続性再現性という観点から考えると、ロングインターバルよりも練習をやり切りやすく、結果として長期で見ると、効果を十分に得られる可能性があります。

実力の定点観測として使える

 ヤッソ800は、自分の実力を定期的に測定するトレーニングとして有効だと考えます。

 先にも述べたようにレスト時間が比較的長いため、練習をやり切りやすいことから、定期的に取り組みやすい特徴があります。

 また、ヤッソ800でこなせたペース設定が、計算上はそのままフルマラソンタイムに換算できるので、わかりやすさもあります。

レースの再現性は低い

 レースを再現する練習としては、ヤッソ800は不適です。理由としては、レスト時間が長くレースの状況とはかけ離れてしまっているためです。

 インターバルトレーニングを5000mレースに向けた特異的なトレーニングとして取り入れる場合は、一回で走る距離を1000mに伸ばし、レスト時間をもう少し短めに設定する方がよいでしょう。

 疾走毎のレストを短くすることで、5000mレースの途中で感じるような、きつい中でもハイペースを持続する力が身につきます。5000mに向けた特異性が向上します。

 VO2maxロングインターバルトレーニングの実施方法については次の記事で詳しく解説しています。

ヤッソ800を取り入れるべきタイミング

 ヤッソ800は比較的取り組みやすいVO2maxインターバルトレーニングです。ただ、レスト時間が長めに設定してあるため5000mや10000mレースに対しての特異性は高くありません。

 そのため、ヤッソ800はハーフマラソンやフルマラソンに向けたトレーニングの一環で、VO2maxに刺激を入れたい時に取り入れるのが良いと考えています。

 ハーフマラソンやフルマラソンに向けてはトレーニングボリュームを維持しつつ、高めてきたVO2maxを最低限維持しながらレースに特異的なトレーニングに注力していくことが必要です。

 ある程度のトレーニングボリュームが稼げ、VO2maxへの刺激も確保できるヤッソ800は、ハーフマラソンやフルマラソンに向けたトレーニングの一環として適切であると考えています。

 ヤッソ800は市民ランナーの中でも人気があるトレーニングのうちの一つです。

 まだインターバルトレーニングを取り入れたことが無いというランナーは、まず少ない本数からヤッソ800に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考文献

※1 Yang Q, Wang J, Guan D (2025) “Comparison of different interval training methods on athletes’ oxygen uptake: a systematic review with pairwise and network meta-analysis” BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation

※2 Ben Abderrahman A, Zouhal H, Chamari K et al. (2013) “Effects of Recovery Mode (Active vs. Passive) on Performance During a Short High-Intensity Interval Training Program: A Longitudinal Study” European Journal of Applied Physiology

※3 Helgerud J, Hoydal K, Wang E et al. (2007) “Aerobic high-intensity intervals improve VO2max more than moderate training” Medicine & Science in Sports & Exercise

※4 Buchheit M, Laursen PB (2013) “High-intensity interval training, solutions to the programming puzzle: Part I: cardiopulmonary emphasis” Sports Medicine

※5 Granata C, Jamnick NA, Bishop DJ (2018) “Training-Induced Changes in Mitochondrial Content and Respiratory Function in Human Skeletal Muscle” Sports Medicine

※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。

出版情報
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血中乳酸濃度・血糖値・心拍数を測定しながら、怪我無くトレーニングを継続して速くなる方法を追求します。【トレーニング記録やレース結果】などブログでは伝えきれない内容を主に発信します。

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