- ヤッソ(yasso)800とは?
- ヤッソ800の効果が知りたい
- ヤッソ800はどんな人が取り組んだらいいの?
サブ3を目指すようなランナーでヤッソ800のやり方や効果について知りたいと思っている方もいると思います。
私自身も、様々なインターバルトレーニングを行ってきましたが、ヤッソ800にも継続的に取り組んでおり、その効果を実感しています。
ここでは、運動生理学や私自身の実体験に基づき、ヤッソ800のトレーニング効果について考えていきます。
本記事を読めば、ヤッソ800で得られる効果を理解することができ、今の自分に取り入れるべきトレーニングかどうかを判断することができます。
- ヤッソ800は、800m疾走+400mリカバリージョグのインターバルトレーニング
- フルマラソンサブ3のレベルから有効なトレーニング
- レストが十分に長いため、精神的な障壁が低く取り組みやすい
- トレーニングボリュームが稼げるためフルマラソン向けのトレーニング
ヤッソ800とは:800mインターバル走のこと
ヤッソ800は「800mの疾走と400mのジョギングを10回繰り返すインターバルトレーニング」です。
市民ランナーの間で人気となっている理由は、疾走区間とレスト区間の設定ペースが分かりやすいからです。
設定ペースはフルマラソンの記録から算出します。
- マラソンの記録が3時間:800mを3分で走り、400mを3分でジョギング
- マラソンの記録が2時間30分:800mを2分30秒で走り、400mを2分30秒でジョギング
ダニエルズのランニング・フォーミュラで紹介されているインターバルトレーニングのやり方では、レストの取り方について「疾走時間と同じくらいかそれ以下の時間」となっています。
ヤッソ800ではその条件をほぼ満たせていることが分かり、理にかなったトレーニング内容となっています。
ヤッソ800は中級者向け(サブ3程度以上)のトレーニング
ヤッソ800の設定ペースはVO2max強度に該当します。VO2maxインターバルの一種です。VO2maxインターバルトレーニングについては、次の記事で詳しく解説しています。
ヤッソ800の設定ペースの決め方を考慮すると、誰にでも有効であるとは言えないと考えています。
自分自身の実体験や周囲の方の話を聞いた結果、フルマラソンでサブスリー以上程度の実力がある人向けのトレーニングである事が分かってきました。
理由としては、フルマラソンでの記録がサブスリーよりも遅い人にとっては、ヤッソ800の設定ペースが楽すぎる傾向にあるからです(※実際のランナーにヒヤリングした結果)。
このことはVDOT Calculatorの計算からも示されます。
ヤッソ800の設定ペースとVDOT Calculatorにてフルマラソンの記録から計算したインターバルペースを比較すると、フルマラソンの記録が高いほど、ヤッソ800の設定ペースが厳しくなることが分かります(下図)。
図におけるオレンジの点がヤッソ800での設定ペースを示しています。
ヤッソ800の設定ペースとインターバルペースがほぼ一致するのが、フルマラソンの記録が2時間38分の時(ヤッソ800の設定ペースが2:38/km)です。
2時間38分よりフルマラソンのタイムが速いランナーは、ヤッソ800のペースがVDOT計算機から算出できるインターバルペースよりも速くなります。
サブ3のレベルでは、ダニエルズのランニング・フォーミュラで提案されているインターバルペースに到達しないため、最大酸素摂取量向上の効果は見込めない可能性があります。
ヤッソ800は中級者から上級者向けのトレーニングだと言えます。
ヤッソ800の効果・メリット・デメリット
ヤッソ800の効果・メリット・デメリットを考察します。
最大酸素摂取量の向上
疾走ペースを適切に設定すれば、最大酸素摂取量の向上が見込めます。
最大酸素摂取量の向上を狙う場合、疾走速度とレストが重要となります。
ヤッソ800では、1回当たりの疾走距離が800mでレスト時間が疾走時間と同じであることから、比較的レスト時間は長めの設定です。
そのため、ヤッソ800では1回当たりの疾走速度を高めることができます。実際に私自身が行った時も、1本ずつ集中して疾走速度を維持することができました。
最大酸素摂取量を向上させるためにはVO2maxに近い疾走速度をできるだけ維持することが練習のポイントです。
トレーニングボリュームを高めることができる
レスト時間が長く、疾走の繰り返し本数を高めやすいことから、トレーニングボリュームを稼ぎやすいトレーニングであると言えます。
特にフルマラソンレースを目標としているランナーであれば、疾走強度だけでなくトレーニングボリュームも同様に重要です。筋持久力を決めているミトコンドリアの数を増やすためには、トレーニングの量に有意に関係します。
1000m × 5のようなトレーニングの方が5000mレースに対する特異性は高いですが、フルマラソン向けのトレーニングとしては、トレーニング全体でボリュームを稼ぐことができるヤッソ800の方が適している可能性が高いと言えます。
練習を継続しやすい
最大酸素摂取量を向上させるためには高い疾走速度をできるだけ維持することが練習のポイントであるため、トレーニングをやり切れず途中でペースが落ちてしまうと、練習効果が下がります。
私自身が感じてきたこととして、特に単独でトレーニングを行っていると、ロングインターバル走では、途中で苦しくなってペースが落ちてしまったり、途中で諦めてしまうことがありました。
それと比べヤッソ800は、レスト時間が十分にあるため、何とか練習をやりきれる確率が高いです。
練習の継続性や再現性という観点から考えると、ロングインターバルよりも練習をやり切りやすく、結果として長期で見ると、効果を十分に得られる可能性があります。
実力の定点観測として使える
ヤッソ800は、自分の実力を定期的に測定するトレーニングとして有効だと考えます。
先にも述べたようにレスト時間が比較的長いため、練習をやり切りやすいことから、定期的に取り組みやすい特徴があります。
また、ヤッソ800でこなせたペース設定が、計算上はそのままフルマラソンタイムに換算できるので、わかりやすさもあります。
レースの再現性は低い
レースを再現する練習としては、ヤッソ800は不適です。理由としては、レスト時間が長くレースの状況とはかけ離れてしまっているためです。
インターバルトレーニングを5000mレースに向けた特異的なトレーニングとして取り入れる場合は、一回で走る距離を1000mに伸ばし、レスト時間をもう少し短めに設定する方がよいでしょう。
疾走毎のレストを短くすることで、5000mレースの途中で感じるような、きつい中でもハイペースを持続する力が身につきます。5000mに向けた特異性が向上します。
VO2maxロングインターバルトレーニングの実施方法については次の記事で詳しく解説しています。
ヤッソ800は市民ランナーの中でも人気があるトレーニングのうちの一つです。
まだインターバルトレーニングを取り入れたことが無いというランナーは、まず少ない本数からヤッソ800に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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