【とよたエールマラソン2021ザ・チャレンジ】レースレポート

※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。改訂履歴は記事の最後に記載しています。

 こんにちは。syu_hibiです。

 私は社会人からマラソントレーニングを始めた現在29歳の会社員です。高校生まではサッカー、大学生では陸上で走り幅跳びをやっていました。

 妻と幼い娘がおり、フルタイム共働きの市民ランナーです。本格的なランニングトレーニングを始めてから3年が経とうとしています。そんな私が、記録をどこまで伸ばせるか、チャレンジしています。

 今回は、2021年12月11日に愛知県豊田市で開催された令和3年豊田マラソン大会「とよたエールマラソン2021ザ・チャレンジ」に出場してきました。

 本記事はそのレースレポートになります。

目次

本レースの位置づけ

 2021年二度目の10000mになります。

 6月に公認の名古屋市10000m選手権(トラック)に出場し、34分52秒でした。怪我明けから徐々にトレーニング量を増やしている時に出場しました。

 今回のレースは、ある程度10kmに対して特異的なトレーニングを積みつつ、ミニテーパリングを行って臨みます。レースに向けた調整としてはもう少し追求できる部分はありますが、少なくともトレーニング時以上の力は発揮できる状態です。

 従って、本レースでは確実に自己ベストを出し、現在の力を測れるくらいに出し切りたいと考えています。

 直近では、2週間前に出場した5000mレースで自己ベストにも全く及ばない16分34秒という記録でした。

 調整を全くしないで臨んだものの、思ったよりも記録が出なかったなと感じました。このレースを経て、私自身、全く調整をしないでレースに臨むことが、自分には合っていないと感じました。

 というのも、レースに出るとなるとわずかではあっても記録を出したい、という気持ちが芽生えます。「練習の一環としてペース走をする」と、完全に割り切れれば良いのですが、普段起床直後にしか練習できない自分にとって、昼間にトラックでレースができるとなると、それだけでも気合が入ってしまいます。

 調整していなければ、練習程度の力しか発揮できないことは明確であり、ましてや自己ベストを出せるはずもありません。しかし、悪い結果が出た時にその記録を受け止めきれず、不安になってしまうことが分かりました。

 全く調整をしないでレースに臨むくらいなら、レースに出場せず普段通り練習したほうがメンタル的にもよい、と結論しました。

 ライフスタイルの変化によって、もう少し時間ができたら週末のレース頻度を増やしてもよいかもしれませんが、しばらくは、レースに臨む場合は、練習時以上の力が発揮できるくらいには調整する、という方針とします。

 話はそれましたが、2週間前の5000mで記録が悪かったこともあり、今回の10kmでは結果を残すための努力をしよう、と決めました。逆に言えば、今回記録が出なかったら、やっぱりそれが実力だと受け入れる必要があります。

 トレーニング内容としては、LT2からCV領域でのインターバルトレーニングを繰り返し積んできたため、10kmに対してはある程度特異性を持ったトレーニングを継続的に行うことができています。ただしペース走のような心理的にも特異的にする点までは追求できていません。

 また、レース1週間前から走行ボリュームを7~8割程度に下げています。テーパリングとしては、もう少し早めからトレーニング量を減らす方が良いと考えていますが、今回出場するとよたエールマラソンは公認記録にはならないため、8割程度のテーパリングができればよい、と決めました。

 特異性・トレーニング量どちらについても、テーパリングによるパフォーマンス向上はもう少し追求できることになりますが、少なくとも練習時以上の力は発揮できる状態にまでは仕上げています。

目標とレースプラン

 目標タイムは32分50秒(VDOT65.5)です。

 5000mトラックレースにて出した16分14秒(気温30℃)に対して気温の補正(VDOT Calculator)をかけると、32分台中盤くらいは狙えそうなのですが、上記の通りテーパリングの追究度がまだ足りないため、33分を切れれば上出来と考えています。

 実際、トラックレースにおける気温の影響は補正計算通りにいかないことが多いため、10℃~20℃という、記録を出すには最も適度な気温の中、どこまで記録を伸ばすことができるかは未知数になっています。

 ただ、10月中旬に出場したハーフマラソンでの記録(1時間12分52秒)、最近のトレーニングにおけるパフォーマンスを考慮すると、VDOT65~66程度は十分に発揮できると考えているため、本レースでの目標は32分50秒としました。

 とよたエールマラソンの過去記録を見ると、公道の非公認10kmレースにしては結構ハイレベルです。2019年の10位が32分00秒を切るくらいです。他のフルマラソン大会と被っている時期とはいえ、普段の年と変わらないレベルになると考えると、32分~33分程度で走った場合は自分より前に10~20人くらいとなる見込みです。

 2~3人でも集団で走れればベストですが、明らかなオーバーペースで入ってしまうと簡単に失速してしまいます。レースプランとしては、集団に何とかついていく場合でも3分15秒/kmくらいを最速としたいと考えています。それよりも集団のスピードが速ければ、迷わず単独走を選びます。

 今回のレースでは、確実に自分の実力を出し、今後のトレーニング方針に修正が必要かどうかを決めたいと考えています。

 では、レースレポートへ。

レースレポート

 久しぶりの公道レースだ。

 年始の段階で、2021年は公道レースが開催されにくい状況が続くと判断し、2021年度はトラックを主戦場とすることを決めた。想定通り、狙っていた公認ハーフマラソンレースは軒並み中止となった。

 そんな中で、比較的レベルが高く、半日の間に会場までのアクセスが可能な、とよたエールマラソンが開催予定であることを知った。

 関東に居れば、いくつかの大学で記録会が行われており、参加母集団のレベル的にも非常に記録が出しやすい環境がある。一方中部地方では、10000m公認トラックレースの機会が少ない。今回のレースは非公認ではあるが、貴重な10kmのレースであるため参加を決めた。

 10kmという距離は、スピードに頼りすぎていると押し切れない絶妙な距離である。5000mであれば競技時間はおよそ15分前後であり、ある程度オーバーペースで入っても、我慢できれば何とか押しきれてしまう。

 ハーフマラソンやフルマラソンで記録を出すためのトレーニングを積んでいく過程で、10kmでの記録を狙うためのトレーニングは、速めのスピードを維持する力(つまり、LT2~CVレベルでの巡航速度)を養うのにとても都合がよい。

※LT2:血中乳酸濃度が2~4mmol/L前後、CV:血中乳酸濃度が4~6mmol/L前後。定義は明確ではない。諸説ある。本ブログではおよそこのような値を意図している。

 現在トレーニングのメインに据えているLT2~CVレベルでのトレーニング効果がどの程度出たのかをきっちり評価していく必要があり、今回のレースではその評価をすることが目的だ。

 2週間前の5000mを経て、とよたエールマラソンでは練習量を落とすピーキングをすることに決めた。VDOT Calculatorで適切なトレーニング強度の目安を精度高く把握していくには、ある程度調整した状態で臨んだレース結果を用いる必要がある。

 今回は、練習量は1週間前から3割程度落とした。10kmに対する練習メニューの特異性については、ペースと強度はほとんど10kmに近いところで継続してきた。ただ、心理的な慣れのために行うペース走はほとんど実施していない。

 従って、トレーニングの量・質ともに約8割程度の完成度でピーキングをした、と思っている。

※最適なピーキングに関する記事を過去に記述しています。

 レース会場は豊田スタジアムであるが、自宅からは片道1.5時間かかりアクセスはそこまでよくはない。最寄り駅である豊田市駅から会場までは徒歩15分程度。シャトルバスの案内もあったが、歩けない距離ではないため、徒歩で向かうことを選んだ。

 起床はいつも通り4時頃にした。早朝のトレーニングを行わないため、もう少し遅く起きても問題ないのだが、普段の体内時計に従うことで、お通じなどの生理的なコンディションも整えていくことが狙いだ。

 狙い通り、朝から快調。これで生理面ので言い訳はできなくなった。

 起床直後にいつも通り家庭用インボディInbody Dial(インボディダイアル)で体組成を測定。体重64.2kg、体脂肪率6.7%。使い始めてから8か月程度経つが、業務用のインボディと比較してもほとんど同じ結果が出る。

 朝ごはんもいつもと変えずに、ご飯と目玉焼き二つと納豆。食後のコーヒーも飲んだ。

 今回使うランニングギヤ。

  • ウェア:ナイキ エアロスイフト
  • パンツ:2XU MCS ランコンプレッションショーツ
  • ソックス:Tabio レーシングランプロ(5本指)
  • シューズ:ヴェイパーフライネクスト%
  • サングラス:エアフライ AF-301
  • カーフスリーブ:zamst プレシオーネカーフ
  • ウォッチ:Garmin Foreathlete 245
  • アクセサリー:RDP、HRM-Dual
  • グローブ:mont-bell ウインドストッパー ライトトレッキンググローブ

 HRM-Dualは、Garmin(ガーミン)のハートレートセンサーだ。HRM-Dualはガーミン純正のハートレートセンサーで最も廉価なタイプであり、心拍数測定に機能を絞ったモデルである。

 疲労がきっちり抜けていると、心拍数と脚のきつさが釣り合ってくるのだが、疲労が抜けていないと、心拍的にはまだまだいけるのに、脚がどうにも動かない、という状態に陥る(「脚のきつさ」がどのような生理現象なのかは色々考察されているが明確にはされていないようです)。

 今回はある程度の調整を行ってきており、前日のEasyジョグでも心拍と脚の疲労度が釣り合っている感覚を得た(普段トレーニングを積んでいる期間は、脚がきつく心拍を上げることが難しい)。今回のピーキングでどのくらい力を出し切れるかも評価したいので、心拍計を着用することにする。

 娘を妻に任せることになるが、妻との仲は良い状態で今回のレースに臨めそうだ。二人が起きてくる前に家を出ることになりそうだが、朝食の準備等を済ませてから出発する。既に、豊田で寄ろうと思っているスイーツ屋さんは調査済みであり、妻や娘が好きなスイーツがあるかどうか、楽しみだ。

 レース開始は10時30分だが、招集はない。レース開始30分前には集まっておくこと、という事前案内があったものの、申請タイム毎にブロックの区分けがなされているため、寒い中早めに整列しておく必要はない。

 最も前列に位置できるAブロックに分類されており、No.は42。おそらく申請タイム順にNo.が振られていそうであり、自分よりも自信があるランナーが42名いることになる。自己ベストを狙うにはできるだけ速いランナーが前にいたほうが好都合だ。

 会場には9時には着いておきたい。慣れた場所でのトラックレースであれば、レース開始1時間前についていれば問題ないが、今回は、体温チェックや豊田スタジアム内の手荷物預かり、更衣室の場所確認等をしていると、あっという間に時間は過ぎていきそうだからだ。

 家を出ると、とても穏やかな晴天。風も無く、気温も日中は15℃くらいまで上がるとの予報だ。これ以上の気象コンディションは考えられない、というくらい絶好の気象条件だ。

 電車を乗り継ぎ、豊田市駅に到着。そこから歩いて豊田スタジアムに向かった。

 平日は多くのトヨタ社員で賑わいそうな駅であるが、比較的こじんまりしている。

 豊田スタジアムに着くと、多くのランナーがウォーミングアップをしている。久しぶりに公道レースの雰囲気を感じた。

 スタジアム内に手荷物預かり所や貴重品預り所、更衣エリアが設けられている。今年は例年よりも定員数を半分にしていることもあって、スタジアムが混雑している、という感じではなかった。

 ただ、貴重品預り場所と手荷物預かり場所、10kmのスタート位置がそれぞれ離れているため、一人で参加している場合は、結構スタジアム内で動き回る必要があった。

 ウォーミングアップは、トヨタスタジアムの周囲で行った。普段のポイント練習とまったく同じように、Easyペースでのジョグを20分程度に加え、ウィンドスプリントを3本。

 10kmのスタート位置には、およそ15分前に到着しスタートを待った。結構待ち時間が長くなってしまったが、もう少しゆっくり到着してもよかったかもしれない。

 いよいよ、レースが始まった。

 想像していたよりも多くのランナーが自分よりもハイペースでスタートしていく。絶対速すぎる・・・と思いながら、自分のペースで落ち着いて入った。

 結果論だが、コース上に接地されていたキロ表示はかなり不正確であり、GarminのGPS自動ラップを信じたほうが良かった。今回はコース上のキロ表示を信じて自分でラップボタンを押したが、距離が不正確過ぎてほとんど参考にならなかった。

 はっきりしたペースが分からないまま、走り続ける。自分の心拍数と主観的きつさを信じて、飛ばし過ぎないようにしながらレースを進めた。結果的にほとんど単独走になってしまい、集団の力を利用したレースができなかった。

 事前にコースの下見もしていないし高低差を調べていなかったので、走ってみて初めて分かったのだが、結構アップダウンがあった。橋を渡ったり、高架下をくぐったりするコースになっていることが要因だ。

 当然走っている途中はきつさを感じたが、終始大幅なペースダウンはしなかった。というよりも、大幅なペースダウンをしないよう、力を調整しながら走る力が身に付いていた。

 9kmを過ぎ、豊田スタジアムに着いた。最後、スタジアムに入るところから下りとなっていたので、ここからはある程度のスパートをかけることができた。でも余力は残りすぎておらず、ちゃんと力を出せたな、という感触。

 電光掲示板を見ると、33分をゆうに超え、33分台後半となりそうだった。目標としていたタイムよりもだいぶ遅れてはいたが、力はちゃんと出せた感触も得ていたので、しっかりスパートしてゴールした。

 記録証は後日となるが、手元の時計では33分44秒。「これが、今の実力なんだな」と自然と受け入れることができた。

レース振り返りと課題考察

 10km:33分44秒はVDOT63.4のペースだ。1.5か月前、気温30℃の中、5000mトラックレースで出した16分14秒の、気温の補正をしない場合とほぼ同等となった。

 2週間前の5000mではVDOT62.0に相当するタイムであり、今回、調整したことで、VDOT換算+1.5~2.0程度のインパクトがあったことになる。

 比較的アップダウンがある公道レースということもあって、競技場を使えばVDOT+1.0くらいにはなるだろう。そうなると、現在の実力は、VDOT64.5~65.0程度ということになる。

表1 VDOT64.7における各距離での記録想定

 正直、腑に落ちるタイムだ。自分はもっと走れる、そう思っていたが、今回の結果は納得せざるを得ない。ピーキング、身体コンディション、レース直前のウォーミングアップに至るまで、記録を否定する材料が無い。

 二週間前の5000mでは、レース後に力を出し切れなかった感覚があったが、今回はちゃんと実力は発揮できたと、主観的には判断してもいいくらいの疲労感だ。

 RDPとHRM-Dualで測定したランニングデータを掲載する。

 データを後から振り返っても、大幅なペースダウン無く最後まで走り切れている。序盤に無理し過ぎず、力を抑えながらも、きついギリギリのところで走りきった。レース中は、これ以上ペースは上げられない、そのように感じ、我慢しながらのレースだった。

 約1年前、5000mトラックで16分20秒を記録した時はヴェイパーフライネクスト%使用していた。今回のレース記録との比較では、シューズと路面で1kmあたり5秒くらいのアドバンテージはあったと思う。

 昨年から現在まで、怪我していた期間を除くと実質半年程度のトレーニング期間を経て、VDOT+1.5~2.0の実力アップと評価する。1kmあたりにすると、5秒~6秒/km程度に相当するが、半年間で実現したと考えると、現在のトレーニング方針は間違っていない、と判断する。

 あえて、トレーニング内容の詳細は記載しない。もちろん、理論に基づいて計画したトレーニングを遂行しているのだが、あくまでも自分自身にとって適切な内容であっただけであり、気軽に記載してしまうと、読者を間違った方向に導きかねないからだ。

 もっと上位ランナーと対等に戦えるような記録を達成することができれば、基づいている理論と共に、広く公開していきたいと考えている。

今後の方針、次レースに向けて

 上で考察してきた通り、これまでのトレーニング内容が間違っていなかったことを証明することはできた。もともと、記録が短期間で大幅に伸びるようなトレーニング内容にはしておらず、地道な積み重ねで底力が付いてきたと感じている。

 今後の方針であるが、次の本気レースはNagoya City Marathonに定めた。本心としては公認の5000mレースで記録を狙いに行きたいところであるが、1~3月は近場での公認トラックレースが無い。

 トレーニング内容的にも、しばらくゆったりとした気持ちで基礎構築期間に充てたいとも考えており、今から3か月後に開催されるハーフマラソンは、実力の確認にはちょうど良い時期なのだ。

 Nagoya City Marathonは、公認のコースを使うのだが、記録としては非公認となる。そのため、フルマラソンなどの出場資格としては使えないのだが、自分の実力を測り、語る上では十分に公式な記録となると考えたので、次目標に定めた。

 3月末から4月にかけて、公認トラックレースがいくつか開催されるはずであり、ハーフマラソンを終えてから5000mでの記録を狙ったトレーニングに切り替えていきたい。

 膝の故障から復帰して以降、トレーニングボリュームと強度をすこしづつ、怪我をすることなく、上げることができている。

 怪我をしないこと。これが継続的に記録を向上させる上で最も重要だ。今月から来月にかけては基礎構築に充て、もう少しトレーニングボリュームを増やせるような体づくりをしていく予定だ。ここを怪我無く乗り越えることができると、来シーズンは大幅な自己記録更新が狙えると期待している。

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