マラソンで自己ベストを更新する方法 その5【レース結果から課題を抽出し、改善する計画を立てる】

こんにちは。管理人のらんしゅーです。

連載第5弾!

完璧に準備し、レースに臨んだ結果、ベストを更新できた場合もあれば、前回の記録を更新できなかった場合もあるでしょう。

どちらにせよ、「レースの振り返り」を行い、次のレースにつなげることが、マラソンで記録を更新していくためには必要なことです。

前回は、「マラソンを要素毎に分解し、前回レースとの変化点を切り口に振り返りを進めていくこと」について紹介しました。

マラソンに必要な要素の中で、最も記録に影響を与えるものが「トレーニング内容」。しかし、トレーニング内容がレース結果にどのような影響を与えたかを評価することは、意外と難しいです。

今回は、「レースで感じた感覚やラップタイムから、課題を抽出、トレーニング内容を見直し、改善する計画を立てる」という内容で考えていきましょう。

※あくまで社会人からマラソンを始めた人間の書き物として読んでいただけると幸いです。

目次

レース中に起こった出来事、感じたこと、ラップタイムをできるだけ早く振り返る

レース中に感じたことや起こったことは、レースが終わるとすぐに忘れてしまいます。しかし、レースを振り返る上で、とても重要な情報なので、レースが終わったらすぐに振り返るようにしましょう。

振り返るときに注目すべき点は次のようなものがあります。

振り返るときに注目すべき点
  • ウォーミングアップの内容
  • ウォーミングアップから走り始めるまでの時間
  • ラップタイム(ペース配分はどうだったのか?)
  • 感覚的なきつさ(呼吸・脚・その他)
  • 集団走ができたかどうか
  • 天候

例えば、大きな大会になると、「ウォーミングアップをする場所」と、「ウォーミングアップしてから走り出すまで」に問題を抱えることが多くあります。場所の確保が難しかったり、整列時間が長いなどの問題です。

集団走及び天候については、【レースで記録を出す技術】でも述べた通り、参加ランナーの走力や自然に依存してしまうため「」となります。

振り返り項目の中で、レース後、トレーニングに反映させるべき課題の抽出は、「ラップタイム及び感覚的なきつさ」から行います。

ラップタイムはランニングウォッチを見れば忘れることはありませんが、走っている時の感覚はすぐに忘れてしまうので、レース後できるだけ早く振り返り記録として残しておくようにしましょう。

【マラソンの要素】【複数距離でのタイムトライアル結果】

※本項目は「ダニエルズ理論」と「リディアード理論」に従っています。ランニングトレーニングの基礎理論ですので、是非ご一読することをおすすめします。楽天Bookでは定価でポイントが付き・送料無料で購入できるのでおすすめです。

参考文献:

ラップタイム及び感覚的なきつさ」から課題を抽出していきたいですが、「感覚」に頼ってしまうと、取り組むべき課題を間違えてしまう、もしくは決められないことがあります。

そこで登場するのが【マラソンに必要な要素】【複数距離でのタイムトライアル結果】です。

以前の記事で、【マラソンに必要な要素】は紹介させていただきました。

紹介したマラソンに必要な要素の中で、トレーニングにより改善できる項目は下記となります。

  • 有酸素系能力
  • ランニングエコノミー
  • 乳酸性作業閾値
  • 最大酸素摂取量

また、次への課題を抽出するうえで、レースでのラップタイムと、レース中に感じた感覚、マラソンに必要な要素に加え、「レース以外で行ったタイムトライアル(様々な距離)」のデータがあると、とても参考になります。

理由は、「複数距離のタイムトライアルがあることによって、課題となる要素の絞り込みが簡単になる」ためです。

私自身の例で紹介します。

例えば、「フルマラソン」「ハーフマラソン」「5000m」「1000m」でそれぞれ記録を持っているとします。VDOT Calculatorを使用して、それぞれの種目から推定されるVDOTを計算します

私のタイムトライアル及びレース結果からすると、「フルマラソン」と「1000m」の記録が、「ハーフマラソン」「5000m」と比較して劣っていることが分かります。

※私自身、上グラフに示しているフルマラソンと1000mのタイムは、本気でタイムトライアルした結果ではありませんが、ここでは一例で示しています。

また、レース中の感覚として、「呼吸はきつくないが、後半35km以降で足が止まった」と感じたとします。つまり、レース終盤、グリコーゲンが枯渇した状態となったときに足が止まったということですね。「有酸素系能力」が不足している証拠です。

そうなると、マラソンで必要な要素のうち、「有酸素系能力に課題があるのではないか?」と想像できるわけです。

このように、レース中に感じた感覚、レース記録とタイムトライアル結果、マラソンで必要な要素を合わせて考えることによって、今の自分に何が不足しているのかが見えてくるのです。

改善する【要素】は絞って、トレーニング計画を組む:期分けの重要性

ここまで紹介した過程を経ることで、自分の課題が見つかってきたと思います。課題を克服するため、トレーニングを積んでいくことになりますが、トレーニングの原理原則に基づき、「改善する要素は絞って計画を組む」ことをおすすめします。

トレーニングの原理原則は次の記事で紹介させていただきました。

特異性の原理」「反復性の原則」に従うと、「課題を絞って同じ効果を狙ったトレーニングを集中して行う」ことがいいのではないかということです。

また、長期的にトレーニング計画を組む際には、「期分け」を行うことよって、段階毎に「改善する課題」を変えていきます。ダニエルズ理論・リディアード理論、どちらにおいても、トレーニングが「期分け」されており、レースに向けて、段階的に各マラソンに必要な要素を発達させていく計画を組むことが推奨されています。

ただし、先日練習紹介をさせていただいた吉田選手のように、あえて「期分け」を行わない取り組み方もあるようです。その人個人に合ったトレーニング方法があるようです。

トレーニング過程で「効果測定(=タイムトライアル)」を行う

トレーニングを消化していくと、課題が克服されたかどうか確認したくなりますよね。狙った改善ができているかどうか、定期的に「タイムトライアル」を行って現状確認をしましょう。レースに参加してみてもいいですね。

各要素の現状把握には、下記の通り種目がおすすめです。

  • LT値:ハーフマラソン
  • 最大酸素摂取量:5000m
  • ランニングエコノミー:1000m

有酸素系能力」はジョギング中の心拍数を見て評価しましょう。同じペースでも心拍数が低下していれば、「有酸素系能力」が発達した、と言えると思います。

いかがだったでしょうか。今回は【レース結果から課題を抽出し、改善する計画を立てる】について考えました。

次回は、連載最終回【トレーニング効果を最大化する方法】について考えていきたいと思います。

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