【オンラインパーソナルトレーニング例④】M.Y.さんのパフォーマンス実績

オンラインパーソナルトレーニング④

 こんにちは。らんしゅーです。

 本記事では、私自身がオンラインパーソナルトレーニングで指導させてただいた方の実績を紹介します。

 今回紹介する方はM.Y.さんです。2023年11月にトレーニング指導を開始しました。今回の実績は2025年1月までの1年2か月間の記録になります。

著者:らんしゅー
日比野就一

社会人からランニングを始めました。
理論に基づいたトレーニングで、
どこまで記録を伸ばすことができるか挑戦。
競技志向で取り組んでいます。
自己紹介・記録変遷はこちら

血中乳酸濃度や血糖値も測定。
マラソンへ科学的にアプローチします。

★自己ベスト
 1500m 4:25(2022/08)
 5000m 16:01(2022/09)
 10000m 33:44(2021/12)
 ハーフ 1:12:29(2022/03)
 フル 2:43:55(2024/11)

著者:らんしゅー
日比野就一

  社会人からランニングを始めました。
  理論に基づいたトレーニングで、
  どこまで記録を伸ばすことができるか挑戦。
  競技志向で取り組んでいます。
   自己紹介・記録変遷はこちら

  血中乳酸濃度や血糖値も測定。
  マラソンへ科学的にアプローチします。

  ★自己ベスト
   1500m 4:25(2022/08)
   5000m 16:01(2022/09)
   10000m 33:44(2021/12)
   ハーフ 1:12:29(2022/03)
   フル 2:43:55(2024/11)

carb-upper
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目次

M.Y.さんのトレーニング指導開始時の状態

 指導開始時の状態を下記に記載します。

項目内容
年齢50歳
身長169cm
体重58kg(指導開始時)
目標レース距離フルマラソン
目標レース時期2024年11月
目標タイムフルマラソン:3時間00分(サブ3)
月間走行距離200km程度
練習頻度不定期
2023年11月時点
自己ベスト
フルマラソン:記録なし
表1:トレーニング指導開始時の状態

 目標レース距離はフルマラソン、目標タイムが3時間切り(サブ3)でした。

 指導開始時はフルマラソンで記録を持っていませんでした。オンラインでの指導を開始する直前に走ったフルマラソンでは、サブ4ペースで走っていたものの途中で脚が攣ってしまい走れない状態になっていました。

 そこから約1年間かけてフルマラソンでサブ3を目指し、トレーニングを開始しました。

トレーニング内容、コミュニケーション方法と頻度

 続いて、具体的なトレーニング内容、コミュニケーション方法や頻度を紹介していきます。

トレーニングに関して

 私から提示した、基本トレーニング構成は次の通りです。

基本トレーニングメニュー構成
  • 指導開始時から、週5回のトレーニングを基本とした
  • 慣れるまでの基本は、週1回のペース走+ロングラン、他はEasy~Moderate強度のジョギングでつないだ
  • 流し(20秒程度の軽いダッシュ)を週2回取り入れた

 とてもオーソドックスなトレーニングサイクルでスタートしました。

 オンラインでの指導を開始する直前まで、膝を痛めていました。そのため走行距離を伸ばしていくことにはかなり慎重になりました。

 トレーニング指導開始後にペース走を取り入れ現状把握をしました。その結果と心拍数のデータなどからトレーニングにおける適切な設定ペースを検討しました。

 トレーニング開始時に提案したトレーニング内容は以下の通りです。

基本トレーニング例
  • 月曜:OFF
  • 火曜:Moderate 60min 流し6~8本
  • 水曜:ペース走6000m
  • 木曜:Easy 60min
  • 金曜:OFF
  • 土曜:Easy ~ Moderate 60min 流し6~8本
  • 日曜:Long Run 90→150min

  Easy、Moderateはあくまで主観的な強度で管理していただきました。心拍センサーによる心拍測定を同時に行い、主観的な強度と心拍数が整合しているのか、確認をしました。

 主観的に楽だと感じていても心拍数としては高めで推移している場合、自分が思っているよりも強度が高くなって島ている可能性があります。そのような兆候が見えた場合は、主観的な強度の調整をしてもらうようにコミュニケーションしました。

 ペース走はOBLA以上の強度に分類される強度帯で実施しました。ペース走を走り終えた時に「後1kmくらいなら走れる」程度で終えるようにアドバイスしています。

 LT強化としてペース走に取り組む場合にはもっと余裕をもって終えるほうが望ましいのですが、週1回の高強度としてペース走を行う場合は、ある程度追い込んだ方が刺激としては適切だと感じています。

 ロングランは徐々に距離を伸ばしていきました。足の状態を確認しながら週を追うごとに伸ばしていき、フルマラソンレース前は最大で150minまで伸ばしました。

 M.Y.さんはとても才能があり、このトレーニングだけでもどんどん速くなっていきました。2024年4月以降は、気温の上昇とフルマラソンレースシーズン終了のため、基礎構築に入りました。

コミュニケーションの方法、頻度

 コミュニケーションは基本的にLINEで行いました。

 お仕事やプライベートの都合でトレーニングスケジュールの変更が必要になった場合などでも、LINEで連絡をいただき、柔軟にトレーニングの組み換えを実施しています。

 M.Y.さんは、ほとんどのトレーニングを計画通りに行うことができました。

 ランニングデータは、ガーミンコネクトアプリで実施しました。ランニングデータを見て、トレーニングのパフォーマンスの確認などを行いました。

 ペース走やインターバルトレーニングなどのポイント練習では、主観的な強度も重要な指標になります。

 データで見える心拍数に加えて、本人の感覚を確認することで、トレーニングの強度が正しかったか、また、次回以降のトレーニングに修正が必要かどうか、を判断しています。

 月1回はテレビ会議をさせていただき、月の振り返りを行っています。1か月の総括と翌月の方針を確認させていただきました。

トレーニングデータについて

 上記の通り、トレーニングデータはガーミンコネクトを使用しました。オンラインでデータを判断しなければならないため、心拍センサーを使用していただきました。

 心拍センサーは、胸ベルト式のセンサーか、アームバンド式のセンサーを推奨しました。腕時計の光学心拍計では、手首で測定しているため測定精度が低いです。

パフォーマンス実績

 M.Y.さんのパフォーマンス実績を紹介します。

パフォーマンス実績

 トレーニング後のパフォーマンス実績を紹介します。記録は、プライバシーの観点から「台」のように表現しています。

レース実績2024年2月:3時間20分台
2024年5月:40分58秒(10km)
2024年5月:1時間29分台(Half)
2024年11月:3時間18分台
6000mペース走:23分30秒(VDOT55.5)

表2:レース実績

 非常に短期間で、自己ベストを大幅に更新されました。ただ、2024年11月に出場したマラソンレースではサブ3を狙っていましたが、足が攣ってしまいました。

 レース直前の6000mペース走では、3:55/km平均で走れており、サブ3達成には十分なスピードが身に付いていました。しかし、実際のフルマラソンレースでは想定していた結果は出ませんでした。

M.Y.さんのパーソナルトレーニングを振り返って

 M.Y.さんは非常に長距離の才能がある方でした。4時間切りもできなかった状態からオンラインでのトレーニング指導を始めてたった3か月程度で3時間20分までタイムを伸ばされました

 それ以降もトレーニングを経るごとにみるみる走力が向上していきました。6000mペース走でも3:55/kmのペースで走れていました。

 2024年11月のフルマラソンレースでは惜しくも足を攣ってしまいました。

 ただ、フルマラソンレースのデータを確認すると、ランニングピッチが極端に少ない(178回/分)ことが分かり、1歩あたりにかかる負荷が大きく、筋持久力が持たなかったのではないかと推測しています。

M.Y.さんが走力を伸ばすことができたポイント

 M.Y.さんは長距離を走る才能がありましたが、トレーニングにおいても重要なポイントがありました。走力を伸ばせたポイントは以下だと考えています。

M.Y.さんが走力を伸ばせたポイント
  • 事前に計画したスケジュールをほぼ計画通りにこなすことができた=継続性
  • Easy強度からModerate強度のトレーニングを効率的に取り入れることができた
  • 回復が間に合う負荷量でトレーニングを積み重ねることができた

 M.Y.さんはとても素直で、ランニングトレーニングを優先できるランナーでした。私たちの間で合意したトレーニングメニューをほぼ計画通りに実行しました。

 長距離種目で記録を伸ばすためには様々な重要なことがありますが、その中でも特に重要なことは継続性です。長距離のための能力は、継続的に負荷をかけていくことで徐々に適応が進んでいきます。

 次のポイントは、Easy強度からModerate強度のトレーニングを効率的に取り入れることができた点です。M.Y.さんは基本的に週5回のトレーニングで完全休養日が週2日ありました。

 ポイント練習は基本的に週2回です。ペース走やインターバル走などの高強度トレーニングとロングランを行っていました。

 それ以外はEasyからModerate強度のジョグと流しでつなぐのですが、体の回復が十分に間に合っている場合は、EasyやModerateでも疾走ペースを上げました。

 EasyやModerateという強度区分にこだわらず、翌日に回復が優位になっている強度がEasyであり、翌日に疲労を持ちこさない強度がModerateと定義し、できるだけ「捨て練習」をなくしていきました。

 結果としてトレーニング全体の質が向上し、走力が急激に向上したと考えています。

M.Y.さんのトレーニングにおける改善点

 M.Y.さんのトレーニングにも、改善点はありました。

M.Y.さんのトレーニングにおける改善点
  • ランニングピッチを適正化出来ていなかった
  • 厚底カーボンシューズの使用頻度が高かった
  • 心拍計を使わないことが多くなっていった

 2024年11月のフルマラソンでは、途中で脚を攣ってしまってサブ3は達成することができませんでした。原因としてランニングピッチが極端に少なく、着地衝撃が大きく筋持久力が持たなかったことが原因の一つと推測しています。

 オンライントレーニングにおいては、ランニングフォームまでを指導することは困難です。ランニングピッチやストライドのデータも、ガーミンのランニングダイナミクスポッドなどを使用していない限りは、正確にデータを得る事は難しいです。

 ただ、フルマラソンにおける適正なランニングピッチは存在します。トレーニングの段階からランニングピッチには着目しておくべきだと感じました。

 M.Y.はトレーニングから厚底カーボンシューズを多用する傾向がありました。Moderate強度のトレーニングでも使用していたため、週3~4回のトレーニングで使っていたことになります。

 厚底の多用は、怪我につながる可能性が高いです。特に股関節周りの怪我を発症させることが多くあります。実際M.Y.さんも、2024年11月のフルマラソン以降に股関節周りの怪我を発症させてしまいました。

 また、トレーニングを進めていくうえで徐々に心拍計を使用しないことが多くなってしまっていました。胸ベルト式で着けることが面倒であることが原因ですが、オンラインで指導を進めていく上で、正確な心拍数が見えなくなることは大きな問題です。

 着脱が容易で、装着感が少ないアームバンド式の光学心拍計にすれば、使用頻度も維持出来のかなと思いました。

各個人に沿った柔軟なトレーニング計画

 「ランニングを科学する」から提供させていただくオンラインパーソナルトレーニングは、個人の仕事の都合や家庭の事情に沿って、トレーニングメニューを提供させていただきます。

 都度、コミュニケーションを取りながら、疲労具合の確認などをさせていただき、頑張りすぎず、ケガをしないトレーニングメニューを提供します。

 もし興味がありましたら、以下のページで詳細な説明をしていますので、ぜひご参照ください。

 

※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。

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