※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。改訂履歴は記事の最後に記載しています。
メタスピードスカイ+(プラス)のレビュー ヴェイパーフライネクスト%等との比較
- メタスピードスカイプラスはスカイと何が違うのだろう?
- ヴェイパーフライから乗り換えるべきか迷っている
- エッジプラスとスカイプラスで、どちらにしようか悩んでいる
「メタスピードスカイ+(プラス)に興味はあるが、スカイやヴェイパーと比べて速く走れるのかな?」と悩んでいる方も多いと思います。
私は、社会人になってから本格的にランニングを始めた市民ランナーです。月500km程度を走りこみ、競技志向で取り組んでいます。
ハーフマラソンでは1時間12分29秒程度の実力です。
ヴェイパーフライネクスト%やメタスピードスカイとの比較を通じて、私の履いた印象や、推進力、接地感等についてレビューします。
本記事を読めば、メタスピードスカイプラスを履いた時に、どのように感じるのかが詳細にわかるようにします。
私の結論は、「力強く踏み込むことで非常に大きな推進性が得られ、ハーフマラソンまでならスタミナが持ちそう。しかし、フルマラソンだと、ペース維持が難しそう」です。
私程度の実力であれば、フルマラソン用シューズであればメタスピードエッジプラスの方がおすすめだと感じました。
現時点では、私程度の走力だとメタスピードスカイの方が適していると感じています。
メタスピードスカイプラスを購入した理由
2019年、ヴェイパーフライネクスト%(以下VFN%)が大きな話題になってから、私自身もVFN%を購入し、しばらくロードレースシューズとして使用してきました。
しかし、私にとってVFN%には2つ問題がありました。
- 沈み込みが大きくスピードが出る一方で、ハーフマラソン等では後半失速する
- ミッドソールとアウトソールの接着耐久性が非常に低く、すぐにアウトソールが剥がれ易い
大きく沈み込む感覚も私自身は苦手で、できればもう少し沈み込まないシューズが望ましいと思っていました。
シューズの耐久性がそもそも低いことはナイキも言っていることだったので、仕方ない面はあります。
しかし、市民ランナーとして高いシューズを購入することも難しいので、できればもう少し耐久性が欲しいと思っていました。
アシックスからメタスピードスカイが発売された時は、まだ手元にVFN%を所持していたので買いませんでしたが、靴を更新するタイミングでメタスピードスカイを購入しました。
メタスピードスカイは自分に合っていました。沈み込みも比較的少なく、VFN%並みの助力感がある。ソールの耐久性も非常に高く、VFN%よりも圧倒的に長持ちするように感じます。
続いて、アシックスからメタスピードスカイ+(プラス)発売されることが決まりました。
事前の情報では、メタスピードスカイプラス、メタスピードエッジプラスはさらにクッショニングが増し、アップデートされたとのことでした。
しばらくフルマラソンに出場する予定はなかったので、パワーは出るが少し脚を使いそうなメタスピードスカイプラスにすることに決めました。
重量、サイズ感、フィット感
重量・サイズ感・フィット感について説明します。
重量(重さ)
新品の重量を測定したところ、209gでした。
メタスピードスカイは186gでしたので、約10%の重量Upとなります。
クッション性が増して、ハイスペックになったとはいえ、重量Upは純粋にマイナス点かと思います。
厚底の登場で「軽さは正義」という考え方は薄れてきましたが、それでもやはり「軽い方がよい」事実は変わらないかと思います。
サイズ感、フィット感
サイズ感とフィット感ですが、前足部の広さが大きく変わりました。
メタスピードスカイでは、自分も例にもれず、足の小指がシューズ内面に当たってしまい、爪がはがれる現象が発生していました。
メタスピードスカイ+は前足部が広く設計されており、実際に広くなったことを感じました。
脚の小指が当たる感覚は微塵もなくなりました。ユーザーの意見を反映させたとのことです。
フィット感はアシックスならではであり、素晴らしいものです。
サイズは、私自身の例で言うと、VFN%と同サイズの27.5cmでぴったりでした。私自身は、メタスピードスカイやガサス37、様々なシューズですべて27.5cmを着用しております。
※スパイクのドラゴンフライ、アディゼロアバンチは28cmです。
接地感・反発性・推進力
METASPEED+シリーズの購入を悩んでいる方が気になるのは、「メタスピードスカイプラスやメタスピードエッジ+を使用すれば、これまでより速く走ることができるのか?」という点かと思います。
また、現在ヴェイパーフライネクスト%を使用している方でも、メタスピードスカイプラスに興味が出てきているかもしれません。
私自身は、VFN%、メタスピードスカイ共に使用してきましたので、それらと比較する形でメタスピードスカイ+の走行感について記載します。
参考データですが、私は身長179cm、体重64kgで割と大柄です。ハーフマラソン時のピッチが約180~185歩/分となっており、比較的ストライドが大きい方です。
今回、メタスピードスカイは1000m*10のLTインターバル及び5000mのテンポ走に使用しました(3:20~3:30/km)。
また、それらのウォーミングアップ時にはおよそ1500mレースペース程度(2:50~3:00/km)までスピード値を上げています。
私にとっては、ハーフマラソンのレースペースから1500mのレースペース程度までの出力になります。
ロードレースシューズとしては、およそ5000mのレースペース程度までの出力でしか使用しないため、シューズの評価としては十分な速度が出せたと思います。
ファーストインプレッション
まず、メタスピードスカイ+に足を通して、ジョグを開始したときのファーストインプレッションは、「バウンド感が強くなった」という印象です。
ジョグでスピードも出ていないので、この強いバウンド感覚を前方向のスピードへ行かせるかどうかはわかりませんでした。
メタスピードスカイと比較してクッショニングが増強されていることは明確に感じます。しかし、VFN%のような沈み込みは感じなかったので、私としては一安心しました。
ウォーミングアップとしてのジョグの最後に1500mレースペース程度でウィンドスプリントを実施しました。
丁寧に足を置きに行くように加速しましたが、難なく2:50/km程度のペースで走ることが出来ました。そこまで出力を出している感覚はありませんでしたが、かなり助力をもらえるようです。
ポイント練習での使用
メイントレーニングであるインターバル、テンポ走での、メタスピードスカイ+の感想を記していきます。
最初に結論を述べると、「私レベルの走力ではまだ、メタスピードスカイ+は使いこなせないかもしれない」という感想です。
軽量性やクッショニングの量などの特徴からなのか、私にとってはメタスピードスカイの方が「操作性」が高かったと感じました。
メタスピードスカイプラスを使用しているときは、体全体の前傾を保ちながら接地していくと、ハムストリングスから臀部にかけての筋力が相当使われている感覚になりました。
理想的な姿勢を維持し続けることに割と努力感が必要だと感じました。スピードが出やすい分、筋力も相当に必要である、ということだと考えています。
一方、メタスピードスカイはそのバランスが絶妙です。骨盤を立てた状態のまま体全体を前傾するフォームを維持しやすく、筋力の疲労もそこそこにスピードを出し続けることができると思いました。
従って、メタスピードスカイプラスは、自分よりもう少し上のレベルにならないと履きこなせないのではないかと感じます。
正確に述べるならば、今の自分だと10km、ハーフマラソンだとギリギリ、フルマラソンだと足が最後まで持たなそう、そういった感じです。
メタスピードスカイプラスでも、ランニングピッチが上げにくい、とは思いませんでした。
クッショニング強くなったため、足を体の下に置きに行くだけでも十分に反発がもらえるので、ピッチも自然に上げることが可能です。
トレーニングにおけるパフォーマンスについてですが、メタスピードスカイプラスに変えることでパフォーマンスが大きく向上する、といった実感は今のところ得られていません。
メタスピードスカイやVFN%と同等くらいです。疲労の抜け具合や私自身のレベルアップによってパフォーマンスは変わってくることが予想されます。
また、メタスピードスカイ+を継続的に使用し、異なる印象が得られたら追記していきたいと思います。
寿命・耐久性
メタスピードスカイと同様、メタスピードスカイプラスも耐久性は高そうです。
レーシングシューズとして高価なものですので、やはり市民ランナーにとってはある程度の耐久性があるほうが望ましいです。
メタスピードスカイ+のアウトソールはメタスピードスカイから素材の変更はありません。また、クッショニングの種類も変更されていないので、基本的に同等の耐久性は持っていると思います。
走行距離250kmでの状態
走行距離250kmの状態です。ミッドソールの反発性の衰えは全く感じません。
アウトソールの削れも、まだまだ少なめです。メタスピードスカイと同様、かなり耐久性は高そうです。
「グリップ力」は秀逸
メタスピードスカイの特徴として「グリップ力」を挙げましたが、メタスピードスカイプラスについても当てはまります。
VFN%は雨天時や雨上がりの路面では割と滑ります。一方アシックスのMETASPEED系はグリップ力が素晴らしく、滑る気配がありません。
ソール形状からは想像できないですが、これは体感でも感じますし、トレーニングでの設定ペースからも明らかです。
雨の日のグリップ力が高いことは、かなりの優位点となります。レースは天候に関係なく行われることも多いので、滑らないシューズの方が良いのは間違いありません。
結論:メタスピードスカイ+(プラス)は買うべきか?
まだ数回しか使用していないため、今後違った印象を得たら追記していきたいと思います。
メタスピードスカイ+を買うべきか?という質問に対して答えますが、私の答えとしては、「メタスピードスカイやヴェイパーフライに不満があるなら試す価値がある」です。
METASPEED+シリーズは、メタスピードスカイ/エッジの上位というよりも「並列」に位置するシリーズだと感じます。
それぞれのシューズに特徴があり、「どれが一番進化している」と結論はできないと思います。
世間ではメタスピードエッジプラスの評判がよかったりします。
自分の走り方や感覚に合うシューズを選ぶべきだと感じました。
私自身はメタスピードスカイの方が適している
10回程度使用したうえでの結論ですが、私自身の走力では、メタスピードスカイの方が適していると感じています。
メタスピードスカイプラスはクッションが分厚く、適切な助力を得るためにはかなり強い力で踏み込む必要があると感じました。
トレーニングで繰り替えし使用してみました。ペース走やインターバルトレーニング、レペティショントレーニングまで、様々なスピードで試しました。
どのスピードでも、その一瞬を速く走ることはできるのですが、長く継続しようとすると、メタスピードスカイよりも臀部にかけての張りが強くなってきて、力を維持できなくなります。
同じスピードを維持するのであれば、私自身はメタスピードスカイの方が適していると感じています。
引き続きメタスピードスカイプラスは継続的に使用してきますが、レース用シューズとしてはしばらくメタスピードスカイのままとなりそうです。
ただし、この感想はあくまで私自信の実力において、の話です。もっと高い実力を持っているランナーだったら、間違いなく違う感覚があると思います。
実際、トップレベルのエリートランナーはメタスピードスカイプラスを着用しています。
自分に合ったモデルを選択しましょう。
値段と購入方法
値段は定価27,500円と、メタスピードシリーズと同額となりました。
私ができるだけ安く購入しようと考えた結果、安価に購入できる方法は以下です。
- アシックスの株主優待券を利用する
- 楽天市場で購入する
楽天では、定期的にセールを行っており、Step Sports楽天市場店やスーパースポーツXebio楽天市場店がセールになるので、かなりのポイントバックを受け取ることが可能となる見込みです。
現在VFN%を持っており自分自身に合っている方や、メタスピードスカイ等で満足している方であれば、購入をもう少し考えてもいいのかなと思いました。
一方、かなりレベルが高いランナーに対しては、強く踏み込んで推進力をもらってもフルマラソンを走り切れそうなので、おすすめできるシューズだと思います。
少しでも皆様の参考になればと思います。
コメント
コメント一覧 (6件)
アラフィフサブエガランナーです。私もメタスピードスカイプラスで走ってみました。仰るように、臀筋やハムストリングを鍛えないと使いこなせない感覚がありました。これはアルファフライを履いた時に感じた感覚と同じで、明らかにオーバースペックということです。ダッシュすると明らかにパワーアップを感じますが、フルマラソンで使えるかというと、現時点ではまだ無理です。
やはりターゲットはサブ2.5以上のエリートランナー向けなのでしょうか。前作の方が後半に足を残せるような気がします。
toku様
コメントありがとうございます!
メタスピードスカイ+を履きこなせるかどうかは、もちろん競技力にも寄るとは思いますが、その他の要素としては、身長や体重、走法なども影響してくるかと考えています。
私自身も、まだメタスピードスカイ+を使い込んだわけではないので、筋力を温存しながらも高い出力を出し続けられるのかどうか模索していくつもりです^^
だいぶ朝方涼しくなってきましたので、30kmペース走でメタスピードスカイプラスを試してみました。ミドルくらいでは、反発力を活かして走れるのですが、ロングではこれまで後半脚が売り切れる感じでした。ところが、今朝は終始気持ち良く走れました。気象コンディションもあるかとは思いますが、トゥーボックスが広いので、足指を上手く使って、接地感を意識して走ると軽快に走れました。
toku様
夏の暑い時期に足が売切れていた理由がシューズではなかった可能性がありますね!
接地感を意識、とは、具体的にどのような意識でしょうか?
・重心の真下に、置く様に接地していく
・力強く踏み込む意識をする
・フォアフットを意識する
等、もし分かれば具体的に教えて頂けると嬉しいです!
接地感を意識するというのは、薄底や裸足で走る時のように、足の指に重心を乗せて、地面を掴むような感覚です。メタスピードスカイプラスはトゥーボックスが広いので、これができます。
toku様
しっかり踏み込むようにした、と理解しました。
力強く踏み込むことで、ミッドソールの反発性を推進力に上手く変えれば、
筋力を使いすぎないで済むのかもしれませんね!