- カツサプを飲むと乳酸値は本当に変わるのか?
- 実際に試したランナーのデータが見たい
- どんな条件で実験したのか?
マラソン練習中に乳酸値が気になり、トレッドミルで自分の体を使って実測実験を行いました。カツサプあり・なし各複数回のデータを、正直にそのまま公開します。
なぜ自分で乳酸測定をしようと思ったか
もともと、乳酸コントロールには自分で取り組んでいた
私はもともとノルウェー式のトレーニング(ノルウェーメソッド)に興味があり、血中乳酸濃度をコントロールしながら走るトレーニングに取り組んでいました。
乳酸測定器「ラクテートプロ2」も2023年に自分で購入し、トレッドミルでのLT(乳酸性作業閾値)インターバルなどで実際に使っていました。カツサプの話が来る以前から、乳酸値を自分の目で確認しながらトレーニングする習慣があったということです。
協業の打診が来たとき、正直疑っていた
カツサプというサプリメント自体は以前から名前を知っていましたが、効果を調べたことはなく、正直スルーしていました。今回、協業の打診をいただいて初めて、公式サイトをきちんと見ました。
最初の感想は、疑い半分でした。サプリメントを飲むだけで乳酸値が下がるとしたら、何年もかけてLTを改善していく市民ランナーの努力を、サプリメントが肩代わりできることになります。そんなにうまい話があるだろうかというのが、率直な気持ちでした。
エビデンス調査でわかったこと
そこでまず行ったのが、論文データベースを使ったエビデンス調査です(詳しくはカツサプの製品レビュー記事で解説しています)。
カツサプが主張しているメカニズムをそのまま裏付ける研究は見つかりませんでした。ただし、関連する複数の研究を組み合わせると、そのメカニズムが成立する可能性自体は否定できない、という結論に至りました。
メーカーからは、実際にカツサプを使用したランナーの乳酸値が下がったという記録も見せてもらいました。ただ、それだけで納得するのではなく、自分自身のデータで確かめて初めて、自分は納得できると考えました。
自分の体で確かめることにした
ラクテートプロ2は2023年、ノルウェーメソッドを自分のトレーニングに取り入れたくて購入した機器です。今回はこの使い慣れた機器を使い、カツサプあり・なしの条件で漸増負荷テスト(ペースを段階的に上げていくテスト)を行うことにしました。
実験プロトコル
今回の実験は、ペースを段階的に上げていく「漸増負荷テスト」という形式で行いました。トレッドミルの傾斜は0%です。ペースは以下の6段階です。
| ステージ | ペース |
|---|---|
| 1 | 4:20/km |
| 2 | 4:00/km |
| 3 | 3:40/km |
| 4 | 3:30/km |
| 5 | 3:20/km |
| 6 | 3:10/km |
各ステージを3分間走り、75秒停止して指先から採血・乳酸値を測定する、という流れを6段階繰り返します。

条件は、カツサプなし(Control)・6粒摂取・12粒摂取の3つです。それぞれ2回ずつ、計6回のテストを毎週日曜に実施しました。曜日を固定したのは、週内の疲労パターンをできるだけ揃えるためです。
テスト期間中は、それ以外のトレーニングメニューも普段どおりの周期のまま変えていません。
気温・湿度は毎回テスト開始前に記録しました。実施が進むにつれて気温はやや上昇する傾向がありました(1回目21.2℃→6回目24.2℃)。
カツサプ摂取回では、起床直後に摂取し、ウォーミングアップを挟んでテストを開始しています。この「摂取からテスト開始までの時間」は実験の途中で見直しており、詳細は後述します。
実際に最速ステージ(3:10/km)を走っている様子です。
実験結果
測定条件と実施状況
全6回のテストを終えました。実施内訳は、Control 2回・12粒摂取2回・6粒摂取2回です。
| 回 | 日付 | 条件 | 気温 | 湿度 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 7/5 | Control(なし) | 21.2℃ | 66% |
| 2 | 7/12 | 12粒 | 21.5℃ | 59% |
| 3 | 7/19 | 6粒 | 22.0℃ | 57% |
| 4 | 7/26 | Control(なし) | 22.9℃ | 50% |
| 5 | 8/2 | 12粒 | 23.9℃ | 52% |
| 6 | 8/9 | 6粒 | 24.2℃ | 56% |
実施が進むにつれて気温は上昇傾向にありました。室内トレッドミルとはいえ、外気温の影響を完全に遮断できるわけではないため、後半のテストほど条件はわずかに不利だった可能性があります。


ステージ別・乳酸値の推移
各ステージの乳酸値(mmol/L)は以下の通りです。良い数値も悪い数値も、そのまま公開します。
| ペース | 7/5(無) | 7/12(12粒) | 7/19(6粒) | 7/26(無) | 8/2(12粒) | 8/9(6粒) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4:20/km | 2.4 | 2.4 | 2.8 | 2.2 | 2.4 | 2.2 |
| 4:00/km | 3.2 | 3.1 | 2.6 | 2.6 | 2.8 | 2.4 |
| 3:40/km | 3.8 | 4.0 | 2.9 | 3.2 | 3.0 | 3.0 |
| 3:30/km | 4.1 | 欠測※ | 3.9 | 4.1 | 3.5 | 3.5 |
| 3:20/km | 6.1 | 4.8 | 4.6 | 6.3 | 4.1 | 4.3 |
| 3:10/km | 8.7 | 7.4 | 6.9 | 7.9 | 6.1 | 6.3 |
※3:30/kmの7/12回のみ、前後のステージと比べて数値の並びが不自然だったため、測定エラーと判断してこの1点だけ記録から除外しています。他のステージ・他の回のデータには影響していません。


条件別の平均値(Control 2回・カツサプ摂取回4回)は以下の通りです。
| ペース | Control平均 | カツサプ有り平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 4:20/km | 2.30 | 2.45 | +6.5% |
| 4:00/km | 2.90 | 2.73 | -6.0% |
| 3:40/km | 3.50 | 3.23 | -7.9% |
| 3:30/km | 4.10 | 3.63 | -11.4% |
| 3:20/km | 6.20 | 4.45 | -28.2% |
| 3:10/km | 8.30 | 6.68 | -19.6% |

4:20〜3:40/kmのペースでは、Controlとカツサプ摂取回で乳酸値に大きな差は見られませんでした。一方、3:20/km以降、乳酸生成が一気に増えていく運動強度域では、カツサプ摂取回の乳酸値がControlより明確に低く出ています。
心拍数・体感について
心拍数も同時に記録しています。各ステージの心拍数(bpm)は以下の通りです。
| ペース | 7/5(無) | 7/12(12粒) | 7/19(6粒) | 7/26(無) | 8/2(12粒) | 8/9(6粒) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4:20/km | 130 | 132 | 133 | 131 | 130 | 127 |
| 4:00/km | 137 | 138 | 136 | 137 | 135 | 135 |
| 3:40/km | 142 | 142 | 143 | 140 | 140 | 141 |
| 3:30/km | 149 | 143 | 146 | 145 | 144 | 144 |
| 3:20/km | 152 | 148 | 150 | 150 | 149 | 149 |
| 3:10/km | 158 | 154 | 156 | 154 | 152 | 153 |

乳酸値ほどの差は出ていません。たとえば最も強度の高い3:10/kmでは、Controlの心拍数平均が156、カツサプ摂取回の平均が約154と、ほぼ同程度でした。
乳酸値の変化(平均8.3→6.8)に比べると、心拍数への影響ははっきりしない、という点も正直に書いておきます。
体感的な運動のきつさについても触れておきます。ただし、これは私自身の主観的な評価であり、数値のように客観的なものではありません。恣意性が入りうる評価だという前提で読んでください。
その上で率直に言うと、3回目のテスト以降、体感としてもはっきり「楽になった」と感じる場面がありました。
結果をどう読むか
今回の記録から見えたこと
今回のテストは、カツサプなし・6粒・12粒をそれぞれ2回ずつ、計6回を実施しました。
3回目のセッション(6粒摂取)で、乳酸値だけでなく体感にもはっきりとした変化を感じました。3:10/kmまでペースを上げ、乳酸が大きく増えていく局面で、5回目・6回目のセッションでも同様の傾向が繰り返し見られています。
このペース帯(3:20/km以降)でカツサプ有りの乳酸値が低く出た一方、それより手前ではほとんど差が見られませんでした。強度によって現れ方が違う、という点は正直にそのまま書いておきたいと思います。
この記録を読むときの注意点
いくつか、この記録を読むうえで知っておいてほしいことがあります。
まず、カツサプを飲んでからテストを始めるまでの手順を、実験の途中で変更しています。
最初の12粒のテスト(2回目)では、起床後にカツサプを摂取し、10分のウォーミングアップ(ジムへの移動5分+4:30/kmで5分)を挟んで、摂取から30〜35分後にテストを始めていました。
この回の結果を見ると、3:30/km以下のペースではカツサプなしとほとんど差がありませんでしたが、乳酸が急に増えていく3:20/km・3:10/kmでは乳酸値がはっきり低くなっていました。
この境目をもう少し具体的に見てみると、私自身の乳酸性作業閾値(LT)に相当するペースは、だいたい3:40/km前後です。つまり、LTを下回るペースでは乳酸の除去効果はそれほどはっきりせず、LTを上回るペースになると効果が比較的明確に見えてきた、という言い方もできます。
実は、今回使ったペース設定は、もともとメーカー側から提案していただいた運動強度(下表)をベースに、私自身のLTを踏まえて最終的に決めたものでした。
| 運動強度(m/分) | ペース(分/km) |
|---|---|
| 160 | 6:15 |
| 180 | 5:33 |
| 200 | 5:00 |
| 220 | 4:33 |
| 240 | 4:10 |
| 260 | 3:51 |
| 280 | 3:34 |
「低強度・高強度」という言い方は人によって感じ方が変わりやすいので、LTを基準にした方が、走力の違う人にも参考にしやすいかもしれません。ただ、この「LTを境に効果が変わる」という見方も、現時点ではあくまで一つの仮説的な整理です。LT付近でのテストをもっと増やさないと、実態がどうなのかはまだはっきりしません。
テストの後半、つまり摂取から時間が経つほど差が出ているように見えたため、「摂取から30分ではまだ効果が十分に立ち上がっていないのではないか」と考えました。
実際、メーカーに確認したところ、この製品は摂取後だいたい45分〜1時間ほどで作用し始めると考えられているとのことでした。
腸溶錠や徐放錠ではない一般的な錠剤の場合、体内に入ってから効果が出るまでは「崩壊→溶出→吸収→血中濃度の上昇→作用」という流れをたどります。目安としては、次のような時間感覚です。
| 段階 | 服用後の目安時間 |
|---|---|
| 錠剤が崩壊し始める | 5〜15分 |
| 大部分が崩壊・溶出する | 15〜30分 |
| 吸収が進み始める | 20〜40分 |
| 血中濃度が明確に上昇し始める | 30〜60分 |
| 比較的明確な作用が現れる | 40〜90分 |
| 血中濃度がピークに達する | 1〜3時間 |
ここでポイントになるのが、「崩壊」と「吸収」は別物だということです。錠剤が崩れて細かい粒になった時点では、まだ成分が血液中に入ったわけではありません。そこから成分が溶け出す「溶出」、体内に取り込まれる「吸収」という段階を経て、ようやく血中濃度が上がっていきます。
こうした一般的な目安に照らすと、摂取後10〜20分で錠剤が崩れ始め、20〜40分で吸収が進み、40〜60分あたりから作用が現れ始めると考えられます。最初のテスト(2回目・12粒摂取回)で摂取から30〜35分後にテストを始めていたのは、この「作用し始める」とされる時間帯より少し早かった可能性があります。3回目のテスト(6粒摂取)から摂取後60分に変更したことで、テストの最初のステージから、ある程度作用が立ち上がった状態で走れていたと考えられます。
そこで3回目のテスト(6粒)からは、ウォーミングアップを20分(移動5分+5:00/kmで10分+4:30/kmで5分)に延ばし、摂取から60分後にテストを開始する手順に変更しました。テストの最初のステージから、摂取後十分な時間が経った状態にするためです。
体感にも数値にもはっきりした変化が出始めたのは、この変更後の3回目からです。ただ、この変化が「6粒という量」によるものなのか、「摂取から60分というタイミング」によるものなのかは、このデータだけでは切り分けられません。
都合よく「量が効いた」とだけ書かず、正直にこの点を書いておきます。
また、テストの実施期間は7月から8月にかけてで、回を重ねるごとに気温・湿度は上がっていきました。室内のトレッドミルを使ってはいますが、外の気温が上がれば室内の気温も多少上がるので、後半のテストほど条件はわずかに不利だった可能性があります。
それでもカツサプを飲んだ回のほうが乳酸値も体感のきつさも低く出ている、というのは、たまたまでは説明しにくい結果だと感じています。
きつさの感じ方(体感)は、自分がどちらの条件かを知ったうえで採点しています。そのため、「カツサプを飲んだから楽なはず」という思い込みが、感じ方に多少影響している可能性はあります。誰かに条件を隠してもらったうえでの検証ではない、という点は、限界として書いておきます。
そして、これはあくまで私ひとりのデータです。同じ条件で他の人が試した場合に同じ結果になるとは限りません。
科学的に考えられる背景(仮説として)
製品レビュー記事で紹介した通り、回遊魚のペプチドが細胞の抗酸化システムを活性化し、それが乳酸を処理する仕組みに影響する可能性がある、という研究の流れがあります。
今回観察された「乳酸が急増するペース帯だけで差が出る」というパターンは、この仮説と矛盾しないようには見えます。
ただし、これはあくまで「仮説と整合する可能性がある」という段階の話です。今回の記録だけで、このメカニズムが証明されたとは言えません。
今後について
私個人としては、ここまでの結果に手応えを感じています。ただし、これはあくまで自分ひとりのデータであり、読者の皆さんに「効果がある」と断言できるものではありません。判断材料のひとつとして、データをそのまま見ていただければと思います。
本格的に検証するには、スポーツ医科学の専門機関と連携した、より大規模なデータ収集が必要になるはずです。個人でここまで条件を統制してテストを繰り返せるランナーは多くないと思いますが、これから同じように試してみたいと思う人がいれば、その一助になればうれしいです。
- LT(乳酸性作業閾値、私の場合3:40/km前後)を下回るペースでは差がほぼなく、それを超えて乳酸が増えていくペース帯(3:20/km以降)でカツサプ有りの乳酸値が明確に低い
- 用量(6粒・12粒)とタイミング変更(30分→60分)が同時に起きているため、何が効いたかは切り分けられない
- n=1・非盲検であり、一般化はできない。あくまで個人の記録
カツサプが気になった方へ
ここまで、私自身の乳酸測定データをそのままお見せしてきました。良い結果も、まだ分からない部分も含めて、正直に書いたつもりです。
成分や機序についてもっと詳しく知りたい方は、製品レビュー記事「カツサプの実力を科学的に解明」で、メーカーの主張・研究背景・飲み方をまとめています。
あわせて読んでいただくと、今回のデータがどういう文脈で生まれたものか、より分かりやすくなると思います。
興味を持たれた方向けに、公式サイトへのリンクを置いておきます。








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