初心者がフルマラソンを完走するためのトレーニング(練習メニュー)を徹底解説

フルマラソン初心者

※「ランニングを科学する」では、筆者の知識・経験のアップデートと共に都度改定を行っています。改訂履歴は記事の最後に記載しています。

こんな疑問を解消
  • マラソンを完走するためにランニングを始めたけど、完走できるか不安
  • マラソンを走りきるためにどんな練習をしたらよいかわからない
  • マラソン大会に出るためにランニングを始めたけど、継続できない

 10kmやフルマラソンの大会にエントリーしたものの、完走できるかどうか不安であったり、どんな練習をしたらよいかわからない初心者ランナーの方も多いと思います。

 本記事はそんな方々の悩みや不安を解消します。

 私は、社会人からランニングを本格的に始めた市民ランナーです。練習を始めてから2年目でフルマラソンに初めて挑戦し、サブスリーを達成しました。

 私自身は、様々なトレーニング理論や、その基礎となる運動生理学について日々勉強しながら、ランニングへ本気で取り組んでいます。

 そんな私が、これからランニングを始める方、新たにマラソン大会で完走を目指している方に向けて、その具体的なロードマップトレーニング方法を示したいと思います。

 大会へのエントリー方法から、具体的練習メニューまで「これだけ見ておけば走り始めることができる」内容を紹介していきます。

 本記事を読めば、マラソン大会で完走するためにどんな練習をすればよいか、を理解することができます。

初心者がマラソンを完走するためのロードマップとトレーニング
  • 具体的な目標を持ち自分に必要な事を明確にする
  • 最大のコツは「練習を継続すること」。 楽しく継続する方法を考える
  • 練習は「辛いほど効果が高い」は間違い
  • まずはウォーキングとランニングを交互に行うことから始める
  • ランニングフォームは指導してもらわない場合はYoutube等を参考にする
  • レース中の補給はエイドを活用する。少しでもタイムを上げたい場合は補給食を持参する
  • レース当日の走るペースは「軽くおしゃべりできる」ペース
目次

初心者向け フルマラソン完走目標の具体的練習メニュー

 トレーニングを行う上で抑えるべきポイントは次となります。

フルマラソンを完走するためのトレーニングを行う上で抑えるべきポイント
  • 休みを取る事。休養も練習のうちの一つ
  • 休養、栄養、練習には一貫性を持たせること
  • 怪我や病気の時は休むこと

 ここで言う「一貫性」とは、自分が決めたやり方、練習のやり方を変えずに一定期間継続することです。

 毎回やり方を変えてしまうと、怪我などのイレギュラーが発生した時に、「なぜそれが発生したのか」を理解することが難しくなります。

初心者向けトレーニングメニュー(全部で4Step)

 初心者であれば、一週間で3~4回の練習で十分です。3日連続で走るよりも、7日間の間で日を空けて3回走った方が効果的です。

まずは16週間(4か月分)の練習メニュー(Step1~4)です。この練習はこれまで全く走ってこなかった初心者の方向けです。過去の運動歴等によっては物足りない方もいるかもしれません。

 2週間程度同じトレーニングメニューを続けて、「楽すぎる」と感じた場合には次のフェーズへ移りましょう。Step4でも物足りない場合は、中級者向けのメニューへ移行するべきです。

 中級者向けトレーニングメニューも、初心者用の後に掲載しています。

 マラソン大会で完走を目標にしている場合は、Step4の練習で十分です。

 ※ダニエルズのランニング・フォーミュラ第4版ホワイトプログラムを参考にしています。

用語解説
  • W:ウォーキング
  • R:ランニング
  • W・R:Wとランニングを交互に行う

Step1(1~4週目、1ヶ月目)

 週4回走ることを目標にします。「休み」と記載されている日に走る場合は、その他の日のメニューのどれかと同じメニューにしてみてください。

 ランニングのスピードは「走りながらしゃべれる程度」です。きつさは全く感じない速さです。

スクロールできます
練習内容練習時間
1W5分、(R1分・W1分)×10、W5分30分
2休み
3W5分、(R2分・W1分)×7、W5分31分
4休み
5W5分、(R1分・W30秒)×15、W5分32.5分
6休み
7W5分、(R3分・W1分)×5、W5分30分
Step1 トレーニングメニュー例

Step2(5~8週目、2ヶ月目)

 一回の練習で走る時間は40分まで延ばします。

 「まだいけそう」だからと言って、一気に走る時間を延ばさないようにしましょう。体が適応する前に走りすぎると、怪我や痛みの原因になります。

 ランニングのスピードは「走りながらしゃべれる程度」で、Step1と変わりません。

スクロールできます
練習内容練習時間
1W5分、(R3分・W2分)×6、W5分40分
2休み
3W5分、(R4分・W1分)×6、W5分40分
4休み
5W5分、(R1分・W30秒)×20、W5分40分
6休み
7W5分、(R3分・W1分)×10、W5分50分
Step2 トレーニングメニュー例

Step3(9~12週目、3ヶ月目)

 Step3になると、一回で走る距離がかなり伸びてきます。最大で20分間続けて走ることになります。

 ここまでくるともっと走りたくなる気持ちになるかもしれませんが、一気に走る時間を延ばしすぎないようにしましょう。

スクロールできます
練習内容練習時間
1W5分、R12分、W5分、R12分、W5分39分
2休み
3W5分、(R10分・W2分)×3、W5分46分
4休み
5W5分、R15分、W5分、R15分、W5分45分
6休み
7W5分、R20分、W5分、R10分、W5分45分
Step3 トレーニングメニュー例

Step4(13~16週目、4ヶ月目)

 Step4では基本的に歩かず走り続けますほとんどがランニングです。

 Step4までこなすことができたら、フルマラソン以外であればたいていのマラソン大会は走りきれると思います。

スクロールできます
練習内容練習時間
1W5分、R30分、W5分40分
2休み
3W5分、R40分、W5分50分
4休み
5W5分、R20分、W5分、R20分、W5分55分
6休み
7W5分、(R10分・W2分)×3、W5分46分
Step4 トレーニングメニュー例

 ここまでで紹介した練習メニューがこなせるようになっていれば、フルマラソンであっても完走できます

 さらに、Step4でも楽すぎる場合は、脱初心者向けのトレーニングメニューへ移る実力があります。

 中級者向けトレーニングメニューを実践すると、完走するだけなく、より速いタイムでフルマラソンを走りきれるようになります

脱初心者(中級者)向けトレーニングメニュー(1週間分)

 初心者向けトレーニングメニューがこなせるようになっている方で、できれば速いタイムで走り切りたい、と思っている方は是非参考にしてください。

 ※ダニエルズのランニング・フォーミュラ第4版レッドプログラムを参考にしています。

ダニエルズのランニング・フォーミュラ 各ペースの紹介

 脱初心者向けのトレーニングでは、トレーニング毎に目的があります。目的を達成するために適切な走るペースの名称は次の通りです。

ペース名称
  • Eペース(Easyペース):ジョギングのペース
  • Mペース(Marathonペース):マラソンのレースペース
  • Tペース(Thresholdペース):LT値付近のペース
  • Iペース(Intervalペース):最大心拍数付近でのペース
  • Rペース(Repetitionペース):1.6kmの全力レースペース

 それぞれのペースでのトレーニング実施方法については以下関連記事で詳細に解説しています。参考にしてください。

 ジョギング、Mペース走、Tペース走までのトレーニングを行えば、フルマラソンで3時間切り(サブスリー)を達成するようなレベルまで到達できます

 インターバルペース以上のトレーニングは、さらに上を目指したい方向けです。

中級者向けトレーニングメニュー例(1週間分)

 脱初心者向けトレーニングは4回/週以上で走ります。

 基本的なメニュー構成は次の通りです。

メニュー構成
  • 週1回のTペース走 目的:LT値(乳酸性作業閾値)の強化
  • 週1回のロングジョグ 目的:脂肪代謝能力の向上
  • 残り:Easyペースのジョギング
スクロールできます
練習内容練習時間
1休み
2E60分60分
3E15分、T20分、E15分50分
4休み
5E60分60分
6E40分40分
7E90分~120分(ロングジョグ)90分
脱初心者 1週間のメニュー例

 Tペース走やロングジョグは、トレーニングの実施方法にバリエーションがあります。次の記事を参考にしてみてください。

揃えたい最低限のランニングアイテム

 走り始めるために必要なランニングアイテムは次の通りです。

初心者に必要なランニングアイテム
  • ランニングシューズ:必須
  • GPS付きランニングウォッチ:練習の効率が上がりモチベーションにもつながる
  • ランニングウェア:走れればなんでもOK

 ランニングウェアはどんなものでも構いません。

 走るときも格好を気にする必要があれば別ですが、今既に持っているスポーツ用のものでもよいですし、ユニクロ等でも安く売っているもので十分です。

ランニングシューズの選び方

 ランニングシューズを必須アイテムとしたのは「怪我に直結してしまうから」です。

 自分の足形や走力に見合っていないシューズを選んでしまうと、膝を痛めてしまったりなど、怪我が発生します。

 初心者がランニングシューズを選ぶうえで抑えたいポイントは次の通りです。

ランニングシューズを選ぶポイント
  • クッショニング性が高く、衝撃吸収してくれること
  • 足幅、サイズが自分に合っていること
  • 見た目、デザインが気に入ること

 「怪我をしないこと」が最重要です。怪我をするとランニングを継続できないだけではなく日常生活にも支障が出ます。自分の足形・サイズが合っていることも必須です。

 見た目やデザインも重要だと考えています。ランニングだけでなく日常生活でもシューズを使いまわす場合、服装に合うかどうかも考える必要があります。

 ただし私個人の意見としては、ランニング用シューズを日常生活と併用することはおすすめしません。

 理由としては、日常生活での使用によってランニングシューズとしての衝撃吸収能力等が劣化してしまうためです。

 別の記事で、初心者向けランニングシューズのおすすめを紹介していますのでご参考にしてください。

 安さと機能が両立したモデルをピックアップしています。

GPS付きランニングウォッチで練習の効率が向上

 必須のアイテムではありませんが、GPS付きランニングウォッチを持っていると、ランニングがとてもはかどります。

Forerunner 255

 自分が走ったコース距離、走っている時の心拍数を自動で測定してくれるので、どれだけ練習したのかどれくらいの練習強度だったのかを把握できます。

 また、ランニングウォッチとスマホを接続(Bluetooth等)することで、ランニングデータをアプリへ自動送信し、スマホでランニングデータを見ることができます。

 例えば、GARMIN(ガーミン)のランニングウォッチであれば、次のように過去28日間に走った距離をまとめて見ることができたりします。

 私がランニングウォッチとしておすすめするメーカーはガーミンです。走るために使うモデルとしては、Foreathlete 55Forerunner 255がおすすめです。

 私自身はForerunner 255を使用しています。

最大のコツは「継続すること」

 マラソン大会へ向けて練習をする上で、最も重要なことは「継続すること」です。

 継続さえすれば、ほとんどの方がマラソン大会で完走するという目標を達成することができます。

 ランニングを継続するための自分なりの方法を考えて、モチベーションを維持することを考えることが重要です。

 ランニングそのものを楽しく継続できる方は困りませんが、運動が苦手な方や、他にやりたいことがたくさんある方にとっては、継続すること自体が難しい場合が多いと感じます。

「具体的な目標」を持とう!

 私自身がおすすめするのは、「とりあえず、マラソン大会で完走すること」を目標にするよりも、目標を「具体的」にすることです。

 例えば、次のような目標を持ちます。

具体的な目標例
  • 10km(キロ)マラソンであれば「60分以内にゴールしよう!」
  • フルマラソンであれば「5時間以内に完走しよう」

 具体的な目標を持つ理由としては、その目標の難しさによって準備するランニングアイテムや行うべき練習内容が異なってくるからです。

 さらにおすすめなのが、「何のために走るのか」を自分で分かっておくことです。例えば、「痩せたい」や、「誰か(特定の人)に勝ちたい」等です。

 気乗りしないままに走っていると、どうしても継続できなくなってしまいます。

 できるだけ目標を具体的にすることで、目標を達成するために自分に必要な事を明確にすることができます。

重要ポイント
  • 具体的な目標を持つこと
  • 「なぜ走るのか」を分かっておくとやる気につながり、継続できる

練習は「辛いほど効果が高い」は間違い

 マラソンの練習には適切な負荷があります。

 あくまでフルマラソン完走が目的なのであれば、「辛く感じる練習」をする必要はほとんどないと言えます。

 「どのくらいのペースで走ればいいか」の目安となるのは、ランニング中の心拍数です。

 基本的なジョギングでは、ランニング中の心拍数が最大心拍数の60~76%くらいの範囲となるように走るのが効果的となります。

 運動生理学を紹介すると、心臓の筋肉が最大に収縮するときの心拍数は、最大心拍数の約60%~70%程度である事が分かっています。

 最大心拍数はおおよそ「220 - 年齢」で算出できる値です。

 参考として最大心拍数の約60%~70%を表で示します。

年齢最大心拍数の
60%
~最大心拍数の
70%
25117~137
30114~133
35111~130
40108~126
45105~123
50102~119
5599~116
6096~112
表1 年齢と最大心拍数の60%~70%の関係

 ランニングウォッチ等で心拍数が測定できない場合は、あくまでも自分の感覚に頼るしかありません。

 その場合のジョギングペースは、「少し喋りながら走れる程度」となります。喋れないほどきつい場合はジョギングとしては「きつすぎる」可能性が高いです。

怪我の予防と対処法

 ランニングを始めて、最初にぶつかる壁として最も多いのが「怪我」だと思います。

 明らかに怪我をしていなくても「ちょっと膝が痛いな」などの痛みも、怪我のうちの一つです。

 筋肉痛程度であれば問題ないのですが、関節や靭帯に炎症が出てしまうと痛みもひどく、治りにくいです。

怪我を予防するために走る距離は徐々に伸ばす

 原因は「急激な負荷の増加」がほとんどです。普段走っていない方が急に走り始めると、体が適応していないため、身体各部で炎症が起きてしまいます。

 体の適応を進めながら徐々に走る距離や頻度を増やすことで、怪我や痛みが出ないようにランニングを継続することが可能です。

 ダニエルズのランニングフォーミュラに記載されているのは、「少なくとも1ヶ月は同じ走行距離を維持する。増やす時は10%を上限とする」となっています。

 例えば、これまで一回当たり5kmを走っていた方であれば、走る距離を5.5kmに伸ばしてみる、という意味です。

ストレッチなどのセルフケアで対処

Axis Former ストレッチポール

 ランニングとあわせて体のセルフケアも行いましょう。

 私自身、もも裏(ハムストリングス)を痛めていた時は、ストレッチポールなどでセルフケアを行ったことで、痛みを無くすことができました。

痛めてしまった場合はまず安静に

 膝や足首、腰が痛くなってしまった場合は、まずとにかく、無理せず安静にします。病院にいってまずいわれることは「安静にすること」です。

 痛みが長く引かないときは病院に行って正確な診断をしてもらいます。痛みの原因が分かれば、精神的にも安心できると思います。

ランニングフォームについて

 全くランニングを行ったことが無い方だと、「どうやって走ったらいいかわからない」という方も多いかと思います。

 初心者がランニングフォームを学び、改善していくための、おすすめな方法を紹介します。

Youtubeでランニングフォームを学ぶ

 まずおすすめするのが、「Youtubeで走り方を学ぶこと」です。

 最近は、経験者である私が見ても「よくできてるな」と思う動画が多いです。

 特におすすめなのが「SPIRITS RUN」さんのチャンネルです。このチャンネルにある動画を一通り見れば、ランニングフォームについてはおおよそ問題ないと思います。

関連動画

ランニングフォームの参考になるYoutubeチャンネル:「SPIRITS RUN」

ランメトリックスを使ってランニングフォームを分析する

 カシオのモーションセンサー「ランメトリックス」を使えば、自分自身のランニングフォームを診断することができます。

カシオランメトリックス

 ランメトリックスでは、自分自身のランニングフォームが「総合スコア」で評価され、改善点等を提案してくれます。

 Youtube等でランニングフォームを学びつつ、ランメトリックスを使ってランニングフォームが改善できているかを確認する、といった使い方がおすすめです。

 次の記事でランメトリックスについて詳しく紹介しています。

フルマラソンレースにおける補給について

補給食アイキャッチ画像

 初心者が完走を目指す場合は、レースで準備されているエイドを活用して、軽い食事をとりながらでも全く構いません。

 一方、「少しでもタイムを上げたい」と思っている方には、補給食を事前に準備して携帯することをおすすめします。

 携帯する補給食としておすすめなのは、ジェルやゼリーです。次の記事で、おすすめ補給食について詳しくまとめていますので、是非ご参照ください。

レース当日の適切な走るペースについて

 初心者から完走を目指している場合、レース当日の走るペースを適切に決めることは非常に難しいです。

らんしゅー
適切なペースの定義:
レース当日に、自分自身が最大限の力を発揮した場合に達成できるタイムを実現するためのペース

 レースまでのテーパリング(調整)、レース当日の体調、普段の練習でどのくらいの距離をどのくらいのペースで走れているかなど、多くの要因が絡むためです。

 私自身がおすすめするのは、初心者が完走を目指す場合の走るペースは「軽くおしゃべりしながら走れるペース」です。

 軽く喋れるペースで走ると、フルマラソンでも快適に完走することができる程度になります。

 ランニングを行ったことが無い初心者向けに、ランニングを始めるために目標を持つことから、具体的な練習メニューまで紹介させていただきました。

 本記事を読んで、楽しくランニングを継続し、目標となる大会で完走できることを祈っています。

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血中乳酸濃度と心拍数を測定しながら、怪我せず「楽に」速くなるトレーニングを追求します。

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