- アディゼロアバンチとドラゴンフライ、どちらを選べばいいか?
- サイズ感はどう?他メーカーと同じサイズで大丈夫?
- シャークスキンプレートの走り心地はどんな感じ?
- ピンの互換性は?何ミリを使えばいい?
- 耐久性はどのくらい?ライトストライクプロはすぐ削れる?
中長距離スパイクを選ぶとき、選択肢はそれほど多くありません。特に市民ランナーレベルで候補に上がるのは、ナイキのドラゴンフライかアディダスのアディゼロアバンチ、という2択になることが多いです。
今回は、アディゼロアバンチ(最新モデル・シャークスキンプレート搭載)をトレーニングで実走し、率直な感想をまとめました。
ドラゴンフライ(初代)も使った経験があるので、2モデルを比較しながら解説します。
なお、本記事はトレーニングでの使用感をもとにしたレビューです。実際の陸上競技会での使用はまだないため、その点はご承知おきください。レースで実際に使用したら、使用感を更新します。
アディゼロアバンチのスペック・基本情報

まずスペックと構造を整理します。アディゼロアバンチには「TYO」と名のついた旧モデルと、最新モデルの2種類があります。構造が異なるため、購入前に確認してください。
| 項目 | アディゼロアバンチ(最新) | アバンチ TYO(旧) |
|---|---|---|
| ミッドソール | Lightstrike Pro | Lightstrike Pro |
| プレート構造 | フルレングスシャークスキンプレート | Energy Rods(カーボンロッド複数本) |
| ピンタイプ | 取替式 | 取替式 |
| 対象種目 | 800m〜10,000m(中・長距離) | 800m〜10,000m(中・長距離) |
| 重量(重さ) | 175g(27.5cm実測) | 要確認 |

シャークスキンプレートの仕組み — TYOモデルとの違い
旧TYOモデルは「Energy Rods(エナジーロッド)」と呼ばれる複数のカーボンファイバー製ロッドをソール内に配置した構造でした。最新モデルでは、フルレングスのシャークスキンプレートが採用されています。接地感走り心地は変わります。
先進技術(AFT)を搭載したスパイクが走行エコノミー(同じペースを維持するために消費するエネルギー量)を改善することは、科学的にも確認されています ※1。
中・長距離種目においても、AFTスパイクはパフォーマンス指標を向上させることが示されています ※2。
走って実感するのは、接地したときの反発が直線的に推進力へ変換される感覚です。シャークスキンプレートになったことで、エナジーロッドよりも板全体でしっかり力を受け止める印象があります。

ピンの種類・本数・互換性
アディゼロアバンチは取替式ピンを採用しています。前足部中心の配置が基本で、中長距離向けの本数に設定されています。
ニードルピンが採用されており、この点はドランゴンフライと同様です。日本だと二段並行ピンが主流だと思われていますが、実際にニードルピンで走ってみると、全く違和感はありません。

サイズ感(ナイキ・他ブランドとの比較)
結論から言うと、アディダスのスパイクは普段履いているランニングシューズと同じサイズで問題ありません。
筆者は普段のランニングシューズがが27.5cm。アディゼロアバンチも27.5cmを選びましたが、これが正解でした。前足部に適度な余裕があり、スパイクながら圧迫感が少ない印象です。
一方、ナイキ ドラゴンフライ(初代)は28.0cm(1サイズ上)を選んでいます。ナイキのスパイクはやや小さめに設計されていることが多く、ブランドによってサイズ感は大きく異なります。
スパイクはランニングシューズと同じ感覚でサイズを選ばず、試着するか、各メーカーのサイズガイドを確認することを強くおすすめします。
- 最新モデルはシャークスキンプレート。旧TYOはEnergy Rods(別構造)
- ピンはアディダス純正の取替式。他社との互換性なし
- サイズはランシューと同じで問題なし。ナイキのスパイクは1サイズ上が必要なことも
- アシックス ノヴァブラスト5 ワイド 27.5cm:ジャストサイズ(幅が若干大きめ)
- アシックス エボライドスピード3 27.5cm:ジャストサイズ(若干小さめ)
- アシックス ハイパースピード5 27.5cm:ジャストサイズ
- アシックス マジックスピード4 27.5cm:ジャストサイズ
- アシックス マジックスピード5 27.5cm:ちょっと小さい
- アシックス メタスピードエッジTOKYO 28.0cm:ジャストサイズ
- ナイキ ペガサスプラス 27.5cm:ジャストサイズ
- ナイキ ライバルフライ4 27.5cm:ジャストサイズ
- ナイキ ヴェイパーフライ3 27.5cm:ジャストサイズ
- ナイキ ドラゴンフライ 28.0cm(スパイク):ジャストフィット
- アディダス アディゼロSL2 27.5cm:ちょっと小さい
- アディダス タクミセン11 27.5cm:ジャストサイズ
- アディダス EVO SL 27.5cm:ジャストサイズ(わずかに大きめ)
- プーマ ディヴィエイトニトロエリート3 27.5cm:ジャストサイズ
- プーマ FAST-Rニトロエリート3 28.0cm:わずかに大きい
- ニューバランス フューエルセルレベルv5 27.5cm:ちょっと小さくて短め
- ブルックス ハイペリオン 27.5cm:ジャストサイズ
- HOKA クリフトン10 27.5cm:ジャストサイズ
走って分かった実走インプレッション
200m・400mのスピードトレーニングで使用しました。ペースは2:50~3:10/km前後(400mを68~75秒ほど)です。

接地感と推進力
ミッドソールが分厚く見えるので最初は「柔らかいのかな」と思いましたが、実際の接地感は硬い。スパイクらしいダイレクト感があります。
シャークスキンプレートによる推進力は明確です。3:00/kmを切るペースでは、接地したときの反発が前への力として素直に返ってくる感覚がありました。エネルギーがロスなく前に伝わっている、という印象を持ちました。
逆に、3:20/kmを超えるゆっくりしたペースではまだ本格的に試していません。アバンチをトラックレースで使用する時には、3:20/kmよりも遅いペースで走る想定はしていないためです。
少なくとも、3:00/kmを切るペースでは素晴らしい推進力を感じました
フィット感・ホールド感
ホールド感はスパイクとして十分です。踵周りがしっかり固定され、前足部に余裕があるなかでもズレは感じません。アッパーは軽量素材で、スパイクとしてはハリがあります。
アディダスのシューズは前足部の余裕が比較的あると感じる人が多いですが、このスパイクでも同様でした。ナイキのスパイクに比べると、つま先が圧迫されにくい印象です。幅広の足型を持つ人にも選びやすい選択肢だと思います。

どのペース域・場面で使うか
現時点での経験をもとにすると、3:00/kmを切るペースで本領を発揮する感覚があります。200m・400mのスピードトレーニングでは、接地のたびに推進力の強さを実感できました。
対象種目は800m〜10,000mとされていますが、自分の使用感では短め中距離(特に400m〜800m)との相性がよいという印象です。1500m以上の長い距離については、引き続きトレーニングや実際の競技会で試していきます。
- 見た目より硬い接地感。シャークスキンプレートの推進力が強い
- ホールド感は十分。前足部に余裕があり圧迫感が少ない
- 3:00/kmを切るペースで推進力を実感。それ以上のペース帯は今後確認予定
こんな人に向いている / こんな人には向かない
- 800m〜5000mを3:00/km以下のペースで走る人
- パワーで前に押し出す走り方をする人
- アディダスシューズのフィット感・幅が好きな人
- ナイキのスパイクで前足部が窮屈に感じた人
- 3:30/km以上のペースがメインの人(スパイクの恩恵を受けにくい可能性あり)
- 細かいピッチを刻む走り方・軽快な脚さばきを好む人
- 地面の感覚を大切にしたい人(後述のドラゴンフライ比較参照)
- 初めてスパイクを買う初心者(操作性重視ならドラゴンフライも検討)
ナイキ ドラゴンフライ(初代)との比較

筆者はドラゴンフライ(初代)も実際に使ったことがあります。2モデルを比べて最も強く感じた違いは「地面との距離感」と「操作性」です。
なお、ドラゴンフライ(初代)はフォームのみの構造で、カーボンプレートを搭載していません。
アバンチはフルレングスのシャークスキンプレート入りです。プレートの有無が走りの感覚に影響を与えることは、研究でも確認されています ※3。2モデルの違いは、この構造の差が根本にあります。
地面との距離感・操作性
ドラゴンフライは地面が近い感覚があります。より素足で地面をとらえているような感覚で、足で地面を操作している感じが強い。特に接地のタイミングや着地位置を細かく調整したいときに、ドラゴンフライの方が反応してくれる印象がありました。
アディゼロアバンチはミッドソールがある分、地面との距離感があります。ただし接地感は硬く、クッションで力を吸収するのではなく、シャークスキンプレートで受け止めて前に返すイメージです。操作性という点では、ドラゴンフライに一歩譲ると感じました。

重さの違い(体感)
体感としては、ドラゴンフライの方が軽いです。履き比べると差がわかります。ドラゴンフライを履いたあとにアバンチを履くと、少しどっしりした印象を受けます。実測値での比較はしていませんが、足が前に出るときの感覚として軽さの差は感じました。
アバンチとドラゴンフライ 用途の違い(現時点での仮説)
今のトレーニングでの使用感から感じている傾向をお伝えします。あくまで現時点での仮説であり、実際のレースで使ってみないと断言できません。
アバンチは反発・推進力が強く、パワーで前に出る走り方に向いているかもしれません。400m〜800mのような短め中距離で、力強いストライドで走るタイプとの相性がよい印象です。
ドラゴンフライは操作性の高さから、細かいピッチを刻みながら走るタイプに向いているかもしれません。1500m・3000m・5000mのような少し長い距離で、リズムを大切にして走るスタイルとの相性がよい印象を持っています。
ただし、これはあくまでトレーニングでの使用感から来る仮説です。実際の競技会でどちらが自分に合っているかは、今後のレース経験を通じてアップデートしていきます。
- 接地感:ドラゴンフライは素足感覚・操作性高い。アバンチは硬め・推進力が強い
- 重さ:体感ではドラゴンフライの方が軽い
- 用途傾向(仮説):アバンチはパワー系短め中距離、ドラゴンフライはピッチ系長め中距離かもしれない
耐久性・寿命はどのくらいか
現時点では使い込んでいないため、耐久性については確認できていません。今後の使用経験をもとに随時更新していきます。
旧TYOモデルのユーザー情報を見ると、ライトストライクプロが削れやすいという声がいくつか見られます。
購入方法
私はStepの実店舗で購入しました。オンラインでは楽天、Yahoo、Stepオンライン、アディダス公式などで購入できそうです。
まとめ
アディゼロアバンチは、シャークスキンプレートによる強い推進力が特徴の中長距離スパイクです。接地感は硬く、3:00/kmを切るペースで推進力の恩恵を感じやすいシューズです。
ドラゴンフライと比べると、地面との距離感があり操作性はドラゴンフライが上。一方でアバンチはパワーで前に押し出す力強さがあります。どちらが自分に合うかは、走りのスタイルや得意な距離次第です。
- シャークスキンプレート(最新)による強い推進力が特徴。旧TYOとは構造が異なる
- サイズはランシューと同じでOK。前足部に余裕があり圧迫感が少ない
- 3:00/kmを切るペースで推進力の恩恵を実感できる
- ドラゴンフライより地面が遠く、操作性はドラゴンフライが上。重さも体感ではドラゴンフライが軽い
- 用途の傾向(仮説):パワー系の短め中距離に向いているかもしれない
購入を検討している方は、ぜひ試着してサイズ感を確認してみてください。
参考文献
※1 Warne JP et al. Comparative Effects of Advanced Footwear Technology in Track Spikes and Road-Racing Shoes on Running Economy. European Journal of Sport Science. 2024. PMID: 38815961
※2 Van den Berghe P et al. Influence of Advanced-Footwear-Technology Spikes on Middle- and Long-Distance Running Performance Measures in Trained Runners. 2025. PMID: 40088898
※3 Barnes KR et al. Comparative analysis of foam-only versus carbon-plated AFT spikes in distance runners. 2025. PMID: 41347023






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