- 5000m(5km)で17分30秒を切りたい
- 5kmマラソンに向けた練習方法が分からない
- フルマラソンの通過点として5000mに取り組みたい
ランニング中級者の方で、5000mのレースに出たいけど練習方法が分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は社会人から本格的にランニングを始めた市民ランナーです。月500km程を走り競技志向でランニングに取り組んでいます。
私自身、17分台(17分54秒)を記録してから17分30秒を切るまでは、「同じ内容の練習で設定ペースを上げていく」ことで達成できました。
ここでは、5000mを17分30秒切りで走るための具体的練習法を紹介します。主に私の実体験を紹介します。
主に、【フルマラソンやハーフマラソンと同時に5000mにも取り組んでいる方向け】です。5000mに絞って取り組まれている方にも参考になると思います。
5000mを17分30秒切りはフルマラソンやハーフマラソンに向けたトレーニングをしていけば十分に達成可能です。
17分28秒を達成したときの身体ステータス、経歴
参考として、私自身が17分28秒を達成したときの、身体ステータスや経歴を紹介します。
17分28秒は、本格的にランニングを始めてから1年間で達成しました。
年齢 | 28歳 |
身長 | 178cm |
体重(レース当日の朝食前) | 65kg |
BMI指数 | 20.5 |
ランニング歴 (4年前に1年間程度あり) | 1年 |
LTペース(6km) | 3:40/km |
インターバルペース 1000m×5 rest:2分30秒ジョグ(500m) | 3:25/km |
運動歴(社会人以降) | 本格的にランニング開始する前 社会人フットサルを1年間 |
5000mを17分30秒で走るのに、才能は必要ない
5000mを17分30秒で走るためには、3:30/kmで5kmを走りきる必要があります。
しかし、才能は「必要ない」と考えています。あなたの運動歴や基礎体力によって、17分30秒に到達できるまでの時間は人それぞれです。
運動歴が無い方、年齢を重ねている方にとっては高い目標です。
今は17分30秒で走れていなくても、本気で目標達成したい方、是非本記事を読み進めて頂きたいと思います。
どの程度の練習量が必要か?:月間300~350km
私は、おおよそ1か月あたり300km~350km走っていました。ただ、「フルマラソンやハーフマラソンをメイン」に考えていたため、これほど走行距離が長くなっています。
5000mで記録を出すことに注力する場合は、もっと少なめの走行距離でも達成できると考えています。
具体的には、周囲のラン仲間では、月間150~200kmで達成している人もいます。
ただ、ジョギングペースでのトレーニングも必要です。ジョギングはランニングの基本となる練習です。
ジョギングをおろそかにしてしまうと、記録が伸びないばかりか、高い強度の練習をやったときに怪我をしやすくなってしまいます。
ジョギングを継続することによって、5000m用のスピードトレーニングなどを行った際に発生しうる怪我の予防になるので、できるだけジョギングは行っておくことをおすすめします。
ジョギングの効果については下記記事で考察しています。
フルマラソンで記録を出すためのトレーニングをしていたので、走行距離は長めです。5000mで記録を出すことに注力すれば、1か月当たりに走る距離はもっと少なくても十分目標は達成できると思います。
普段の生活で気を付けることは?:食事、睡眠、セルフケア
記録を伸ばすために必要なことはやるべきだと考えていました。私自身、次のようなことはやっていました。
- 規則正しい食生活と睡眠(※細かい栄養計算等は不要)
- 風呂上がりのストレッチ、ストレッチポールによる体のケア
- 体重測定
食生活は、炭水化物・タンパク質・脂質をバランスよくとることを意識していました。
ただ、好きなものは好きなように食べるようにしていました。走っている距離も多かったので、少しくらい高カロリーなものを食べても大丈夫だ!と自分自身に言い聞かせていました笑。
精神的にも、好きなものが食べられた方が幸せです。
睡眠は意識して6時間~7時間はとるようにしていました。
体のケアも重要です。怪我無く練習が継続できるよう、風呂上がりケアは習慣化するようにしました。
体重は重要です。定期的に測定することをお勧めします。無理な減量をするためではなく、体重を測定することによって、水分は足りているのか?食事が少なすぎないか?などを把握する指標にしていました。
体重は記録とも密接な関係があります。体重の減少量などから、練習でのパフォーマンスを評価したり、大会での目標記録を推測する、といったこともしていました。
毎日、体重を測定する時間を合わせることで、体重を日毎に比較できるようにします。お勧めの測定タイミングは起床直後です。
エリートランナーの体重と記録を次の記事でまとめていますので、参考にしてみてください。
17分30秒を達成するためのトレーニング
私自身が5000mで初めて17分30秒切りで走ることができたのは、ハーフマラソンに向けて調整していた時期でした。
実力の確認を含めて10kmトライアルを行いましたが、途中で断念した結果、5kmのベストが出ています。
■5000mに向けたトレーニングの方針
フルやハーフと違い、5000mで記録を出すためにはインターバルトレーニングとレペティショントレーニングを行う割合を高める必要があると考えています。
理由は次の通りです。
- 5000mではLT値以上のペースで疾走するため、最大酸素摂取量(VO2max)の影響が大きい
- 速筋繊維の動員割合が増加し血中の乳酸が高い状態で走り続ける必要がある
VO2maxは、主に最大心拍出量(=心臓から血液を送る能力)で決まり、VO2maxに近い疾走速度で行うインターバルトレーニングが最も効果的です。
また、できるだけハイペースを維持するためには速筋繊維を動員しながら、発生した乳酸を同時に処理していくことが求められます。そのような働きが可能なのが中間型速筋繊維です。
中間型速筋繊維は、速筋繊維に近いパワーを発揮することに加え、遅筋繊維に近いミトコンドリア量を含むため、糖質や脂質、乳酸を酸化しエネルギーを生み出す能力にも長けています。
トレーニングにおいて速筋繊維に刺激を入れることで中間型速筋繊維への変化を得られることが分かっています。
速筋繊維を可能な限り動員するトレーニングとしてはレペティショントレーニングが最適です。
一方、LT走などの5000mレースペースよりも遅いペースのトレーニングも必要です。
1500m~5000mで素晴らしい活躍を見せているノルウェーのヤコブインゲブリクトセン選手は閾値改善のトレーニングを最も重要視してトレーニングに取り組んでいます。
■管理人自身のトレーニング前提
私自身が行ってきたトレーニング条件の前提を示します。
- 設定ペースはVDOT Calculatorを使って、その時の自己ベストから決める
- ジョギングはほぼ、通勤ランか起床直後(朝食前)に行う
- 全て単独走
私自身は、フルタイム共働き・子育て・家事があるため、家に帰ってから練習する時間を確保することが難しいという状況でした。基本的にジョギングは通勤ランか早朝時間帯に行いました。
■具体的練習方法
次の練習をこなすことができれば、5000mを17分台で走れる可能性が高いです。
- ジョギング 4:20~4:40/km
- LT走(6km) 3:40/km
- 1km×5 3:25/km レスト2分30秒(500mジョグ)
- 1000mタイムトライアル 3:00
これは実際に私が5000mを17分28秒で走った時に行っていた練習の設定ペースです。それぞれの練習をやっていた時、具体的にどんな感覚だったのかを紹介します。
設定ペースは、その時の実力に合わせて段階的に引き上げていく必要があります。その際に使用するのが、VDOT Calculatorです。現在の自己ベストから、各ペースの適正設定ペースを算出します。
段階的に引き上げていく際には、少なくとも同じ設定ペースで1か月は維持すべきと推奨されています。
■LT走
5000mのレースペースは、LT走よりも1km当たり10~15秒程度速いですが、LT値を向上させることは5000mの記録を向上させることに必須です。
LT走を行う時間が20分以上となるよう、距離は6kmにしていました。LT走を走り終えた時の感覚は、「後1kmから2kmくらいは続けて走れる」という感覚です。
LT走を走り終える時、膝に手をつくくらいきつい状態になってしまったら、LTペースよりも速すぎる可能性が高く、ペースとしては適切ではありません。少し余裕を持って走り切れるペースで行います。
ダニエルズ理論を引用すると、「自分自身に30~40分は耐えることができるか?」と問いかける、となっています。
LT走は練習の再現性が重要だと考えています。毎回同じ距離を同じ設定で走ることで、自分の実力や調子を測ることができるからです。
■インターバル走
5000mに向けた練習の中で最も重要な練習がインターバル走です。インターバル走でのペースがほぼ、5000mのレースペースとなります。
私の場合はあくまでハーフマラソンに向けての練習であったため、レストを2分30秒しっかりとりました。レストは500mのジョグです。ジョグのペースは5分/kmです。
もし、インターバルトレーニングを、できるだけ5000mレースと同じ状況に近づけたい場合は、レストを60秒程度まで短くすること(200mジョグ)をおすすめします。
■レペティショントレーニング
インターバルペース以上の速度で走るレペティショントレーニングも必要です。
5000mのレース中は、集団の中での駆け引きや、集団に追いつきたいことがあったりして、インターバルペースよりも速いペースで走らなければならない場面があります。
また、インターバルペースは非常に苦しくなるペースであるため、ランニングフォームを維持できなくなります。
そこで重要なことが、ランニングの最大出力(=ランニングフォーム、ランニングエコノミー)を改善することです。「楽に速く」走れるようになることが大事です。
5000mを走るペースにも余裕が生まれます。
また、先にも記載した通り、速筋繊維に刺激を与え中間型速筋繊維への変化をさせていくことが必要です。
これらに効果的な練習がレペティションです。レペティションとは、ほぼ全力に近いペースで走るトレーニングです。
全力に近いとはいっても、完全な全力ではなく、おおよそインターバルペースよりも1km当たり20秒ほど速くしたペースです。ダッシュではないことに注意してください。
レペティションのメニュー例は下のようになります。5000mを17分30秒で走るレベルの場合のレペティションペースです。
- 200m×15 39秒/本
- 400m×10 78秒/本
- 600m×7 117秒/本
レストは呼吸が整うまで十分にとりましょう。レペティションの目的は呼吸を追い込むことではありません。
レペティショントレーニングはランニングエコノミーを改善し、ランニング効率とランニング最大スピードを上げることが目的です。
レペティショントレーニングは陸上競技場で行うことをおすすめします。アスファルトで行うには負担が大きく、公共の道路であるため危険も伴います。
■1週間の練習スケジュール
5000mを17分28秒で走った時、1週間単位ではこのような練習をしていました。
- 月;OFF
- 火;ジョグ(4:30~5:00/km)
- 水;ポイント練-1 LT走
- 木;OFF
- 金;ジョグ(4:30~5:00/km)
- 土;ジョグ(4:30~5:00/km)
- 日;ポイント練-2 レペティション or インターバルトレーニング
5000mでタイム向上を目指す場合は、期間毎にトレーニング内容を変えることをおすすめします。
まず、レペティショントレーニングによりスピードの最大出力を上げる期間を作り、レースに近くなってきたらインターバルトレーニングで最大酸素摂取量を向上させ、レースへの調整を行います。
ランニングのトレーニング(ジョギング等)を継続的に積んできた方であれば、2か月から3か月程度で、5000mの対策はできます。
私自身は、フルタイム共働き・子育て・家事があるため、家に帰ってから練習する時間を確保することが難しいので、基本的な練習は通勤ランでした。
朝ごはんは、食べてから走るか、ランニングバッグに入れて会社で食べるかのどちらかです。
意識していたのはダニエルズのランニングフォーミュラにおけるEペースです。とにかく練習時間の確保が難しいため、短い時間でしっかり負荷をかけるためにもジョグのペースは落としませんでした。
レース当日の食事、ペース設定
■食事と栄養
食事は少なくとも、レースの3時間前までには済ませておきましょう。食事内容は炭水化物中心で消化の良いものにしておきましょう。
5000mでは、エネルギー切れの心配はないため、そこまで沢山栄養を取っておく必要はありません(体重が軽いほうが有利と言われています)。
レース直前も、水分以外は特に気にする必要はないと考えています。
■ペース設定
基本的には目標タイムを元にイーブンで走ることを心掛けましょう。後半遅くなってもいいように前半に貯金を作って・・・と考えていると、後半相当きつくなって垂れてしまう可能性が高いです。
17分台を狙うレベルであれば、目標タイムを等分し、同じペースで刻んでいくことが最も良いと考えています(長距離の基本です)。
記録向上に欠かせないアイテム
上記で説明してきた練習法をスムーズに行うためであったり、自分自身のランニングフォームを分析したりするためには、そのためのアイテム(ランニングギア)が必要になります。
私自身が、自分の走りを客観的に分析したり、快適にトレーニングを行うために必要だと思ったアイテムを次の記事でまとめています。
重要ポイントまとめ
最後に、これまで述べてきた重要ポイントをまとめます。
- 月間走行距離300km~350km(5000m等短い距離の種目だけであればもっと少なくてOK)
- 5000mでタイムを出すために、インターバルトレーニングとレペティショントレーニングに取り組む
- ポイント練習はLT走、インターバル走、レペティションを織り交ぜる
- レースは目標タイムに対してイーブンペースとする
以上が、5000mで17分30秒切りを達成するための方法になります。私自身が、やってきたことを全て紹介しました。是非取り入れてみてください。
参考文献:
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