2025年4月5日、2025年シーズン最初のトラックレースとして3000mに出場しました。本記事はレースレポートになります。
本レースの位置づけ
トラックレースへの出場は約4か月ぶりです。前回は2025年1月に5000mへ出場し16分58秒でした。前回は基礎構築の途中でトレーニングの一環として出場しました。
今回は3000mへの出場ですが、ちょうど一年前にも同じ競技会で3000mを走っています。記録は9分32秒85でした。
前回出場時のトレーニング履歴を見ると、調整らしいことは全くせずトレーニングの一環で出場していました。その割には比較的良いタイムで走ることができていました。
しかし、昨年は3000mレースに出場して以降に足の状態が悪化していきました。トレーニング負荷を適切にコントロールすることができず、負荷と適応のバランスが崩れていました。
昨年は試行錯誤を重ね、2024年9月頃にようやく自分に適したトレーニングサイクルを確立することができました。体の状態も右肩上がりになり、2024年末から今に至るまで走力が徐々に向上してきました。
今回の3000mレースは、結果的に昨年よりもトレーニング量を落として走ることになり、昨年に比べて疲労が少ないです。また、走力も間違いなく向上しています。客観的に見れば昨年よりも速いタイムで走れない理由が見当たらない状態でです。
今回のレースは現状把握の位置づけとして出場します。3000mに対して特異的なトレーニングは行っていませんが、体の状態としては十分にタイムを出せる条件が整っていると感じています。
これまでのトレーニング
2024年、一年間をかけて自分に適したトレーニングサイクルを確立するために試行錯誤をしてきました。負荷と適応のバランスが適切になるように、トレーニングの強度、量、順番などを検討してきました。
私が参考にしているトレーニングモデルは、マリウスバッケン氏の閾値トレーニングモデルです。世界で活躍しているヤコブ・インゲブリクト選手が行っているトレーニングの礎となっているモデルになります。
試行錯誤の過程では、足の状態が悪化する時期もありました。トレーニングの負荷が高くリカバリーが間に合っていない状態で次のトレーニングに臨んでしまうようなスケジュールになっていたことが原因です。
結果として、2024年の前半シーズンはなかなか記録が伸びずに悩みました。トレーニングはしっかり積んでいるのに記録は伸びていきません。
ヤコブ選手のトレーニングをそのまま取り入れることはできませんでした。ヤコブ選手がオフシーズンに行っているトレーニングは週に2回のダブルスレショルド、坂道の高強度トレーニング、90分程度のロングランで構成されます。
トレーニング負荷を心拍数と血中乳酸濃度でモニタリングし、負荷を精密にコントロールしています。また、ヤコブ選手はプロのランナーであり、市民ランナーと比べリカバリーの質と量が明らかに高いと考えられます。
私たちが、マリウス氏提唱のトレーニングモデルを取り入れるには、私たちの条件に合わせてアレンジをする必要があります。「練習時間がどのくらい確保できるのか?」、「トレッドミルを使える環境があるのか?」。
半年間の試行錯誤の末、ようやく私自身が適応できるトレーニング負荷のバランスを見つけました。血中乳酸濃度のコントロールもできるようになり、足の状態が悪化することも少なくなりました。
その過程は、次の記事でまとめています。
市民ランナーが「閾値トレーニング」を主体にして記録を伸ばすための方法
※冒頭が無料で読める有料記事になっています。購入後は電子書籍としてダウンロードできます。
結果として、昨年から一年間は大きな怪我なくトレーニングを積むことができました。
レースの目標
今回のレース目標は9分15秒に設定します。昨年と比べれば十分に達成できる水準だと考えています。400mのラップに直すと、1週あたり74秒で通過していく必要があります。
前半から積極的に走らないと達成できないタイムです。普段なら前半様子を見ながら走ることが多いですが、今回は記録達成に向けて前半から積極的に走ることを考えています。
レースでは同じ組で、自分が所属しているチームメンバーが出場します。今回目標としている9分15秒あたりを狙っているランナーがほとんどの組なので、レースペース的には比較的安定するのではないかと考えています。
レースレポート
以下はレースレポートです。
起床からスタート前
今日は久々のトラックレース。普段通り4時に起床した。
睡眠の質は良い感じ。昨晩から今朝にかけてのHRVステータスは低かったが、レース前の夜は交感神経の活発化によってHRVステータスは低くなる傾向がある。レース前にトレーニング量を落としたことでHRVは上昇傾向だったため、理想通りの推移になってくれた。
ウォッチをCOROSに変えてから、HRVステータスが体感と整合するようになった。Garminのウォッチを使っているときよりも、HRVを使って今の体の状態をモニタリングすることができるようになったと感じている。
HRVについてはまだまだ分かっていないことも多いが、私自身は次の書籍を参考にした。HRVの数値を理解するには十分すぎる内容だった。
起床直後、インボディでの測定結果は体重64.5kg、体脂肪率6.6%。ちょうど一年前のレース当日は66.4kg、9.1%であったため、この一年でほぼ選択的に体脂肪を落とせたことになる。
ハードなトレーニングを継続しながら、体脂肪を選択的に落としていくことはかなり難しい。短期間で体重を落とそうとすると確実に筋肉量が低下するため、既に体重がある程度減ってからは、慎重に減量していく必要がある。
今日の朝は走らない。前倒しでEasy Weekにしてレースへの調整を進めたこともあって、トレーニングを積む必要がない期間だから。気持ち的にも余裕をもってレースに臨める。
朝食はいつも通り、ご飯250gに目玉焼き2個、納豆1パック。普段通りの食事にすることで内臓の状態も整っていった。食後のコーヒーはカフェインレスで。レース前にカフェインを摂ることを想定しているので、半日だけカフェイン調整をする。
Youtubeを聞き流しながらこのレースレポートを書き始め、昨年一年間のトレーニングを改めて振り返った。レースレポートは必ずレース前に書き始めるようにしている。ちょうど一年前に同じレースに出たことを思い出しながら、今日のレースプランを想像した。
今日の目標タイムは9分15秒。400mを74秒で通過しないといけない計算になる。自分の自己ベストは9分23秒であり、これまで体験したことがないペース帯になる。トラックでスパイクを履いて走っていないから、ペース感覚はほとんどない状態だ。
今日は、いつも通りのエルドレッソのランニングシャツ、SA1NTのP1 エリート・コンプレッションショーツで走る。
- エルドレッソ シングレット
- SA1NT P1 エリート・コンプレッション ショーツ
- タビオ レーシングラン 3D ナノグリップ
- エアフライ AF-305 CYSP
SA1NTは2XUの創設メンバーであるエイデン・クラークさんが独立して立ち上げたブランド。2XUよりも、よりエリートランナー向けのタイツを製造している。
巡りあわせでこの商品に出会った。背面にあるポケットのサイズが小さく、フルマラソンのジェルを収納するにはぎりぎり足りなくて、フルマラソンで使うことは検討中だが、ハーフマラソン以下のレースでは間違いなくファーストチョイスになる。
今日は普段よりも娘の起床が早かった。午前中は娘を習い事に連れていき、午後は妻と娘が別の習い事の教室に行っている間にレースへ出場することになる。
朝走っていないからか、体がなかなか温まらなかった。体にフィットするソファーに座っている時に心拍を見ていると、44回/分まで落ちていた。レース前に副交感神経が高まってしまっていることは気になるが、体の疲労はしっかり抜けてきたことを感じる。
昼過ぎにレースがあるとき、昼ご飯の摂取方法にいつも悩む。夕方のレースでない限りは、昼食はほとんど食べないことが多い。今回は9時頃に最後の食事を済ませ、あとはレースまで固形物を摂取しない方針とした。
娘の習い事を終えた。今日は会場まで自転車で向かうことに決めていた。昨年はウォーミングアップがてらジョギングで向かったのだが、招集時間に間に合わない大失態を犯してしまい、チームの代表者に迷惑をかけていた。
レース開始は15時50分前後であり、招集は14時57分から15時07分の間。招集のあとからウォーミングアップを始めれば十分間に合うスケジュールだ。
14時30分頃にパラチノース入りのインスタントコーヒーを飲んだ。通常1杯分のスティックコーヒーを3本分投入した、超濃厚インスタントコーヒーだ。
- カフェインを飲料の形で摂取すること
- 水分量を極力減らしたいこと
- 糖質はパラチノースの形で摂取し血糖値の急上昇と急低下を避けること
これらの条件を満たせるカフェインの摂取方法を模索した結果、粉の量を調整できるインスタントコーヒーにパラチノースの粉を混ぜる手法に行き着いた。
これは私自身が何度もレース前に試している摂取方法であり、リブレセンサーでの測定によって血糖値の急変動も抑えられることが分かっている。
この方法に行きつくまでは、モンスターエナジーのようなエナジードリンクを使ってカフェインを摂取していたのだが、摂取した後に血糖値が急変動する感覚や、ウォーミングアップを行うときの違和感を感じていた。
インスタントコーヒーとパラチノースの組み合わせにしてからは、ウォーミングアップの時に感じていた違和感がなくなった。
自転車で会場に到着し、チームの代表者から2025年のアスリートビブスを受け取った。レース用のウェアにビブスを取り付け、招集まで完了。ウォーミングアップを開始した。
ウォームアップはしっかり目に走ることにしている。まだまだ気温も低く、3000mという距離の特性上、体があったまったころにレース終了、とならないようにしたい。昨年のウォームアップを見ても、平均心拍が143bpmとなるような強度で走っていたので、それに近い強度では走ろうと思っていた。
しかし、ウォーミングアップの段階から両足ハムストリングス上部に強い張りを感じる。痛みではなく強い筋肉痛のような状態。ペースを気持ちよくあげられない。4:10~4:20/kmくらいでジョギングするだけになった。
約3kmのウォーミングアップを終え、スパイクに履き替えて流しを実施。ここでもしっかりスピードを出しておくことや、実際の3000mレースペースの感覚を感じることを意識した。
スパイクの流しでも、ウォームアップジョグの時に感じた筋肉の違和感を感じた。そのままの状態で3本の流しを行った。ペース自体は悪くないが、足の状態が良くない。
そして自分の組のスタート時間になった。整列しいよいよスタートとなる。
レーススタートからゴール
いよいよ、3000mがスタートした。
今日のレースプランは、はじめから74秒/400mで走って、最後まで維持すること。走り始めからある程度の出力を出そうと思っていた。
集団についていって、はじめの200m通過タイムを見てみると38秒。「え、この努力感で76秒/400mのペース??」と感じてしまった。
ウォームアップ時に感じていた筋肉の痛みがレース中も感じられ、まったくスピードが出ない。相当な努力感で走らないと、76秒/400mも維持できなかった。
明らかに脚がおかしい。しかし、普段から意識している走りのリズムで何とかペースを維持するように努めた。それでも集団からはどんどん遅れていく。
時計はほとんど見なかった。電光掲示のタイムを見ても、予定通りに走れていないことは明確だし、何より足が気になる。2年前に痛めた外旋筋とは異なる、純粋な筋肉の痛み。
ラップはどんどん落ちていった。最初の1kmは3分12秒であったものの、2km目は3分20秒まで落ちた。心肺機能は全く使いきれず、足だけが動かない状態だった。
レース中は余計なことは考えなかった。ランニングピッチを維持し、可能な限りタイムが落ちないように努めた。それでも周を追うごとにタイムは落ちていった。
最後の一周になっても、ラストスパートをかける気持ちにはなれなかった。タイムが悪いことはわかっていたし、ここでラストスパートをしても、足にとって何もいいことはなかった。
最後まで垂れたペーランのようになってしまって、ゴールタイムは10分00秒ちょうどくらい。史上最悪な走りをしてしまった。
レース振り返り
記録を狙って臨んだ3000mでしたが、これまで出場したレースの中で最悪の走りになってしまいました。レース前3日間はEasy強度で繋ぎましたが、臀部下からハムストリングス上部にかけての強い筋肉の張りが抜けず、出力が出せない状態でした。
今回走れなかった原因は明確に2つ思い当たります。どちらも急性的な要因だと考えています。HRVステータスや安静時の心拍数からは、長期のオーバートレーニング兆候は見られていませんでした。
原因の一つ目は、3月中旬から開始した、週2回の「パワートレーニング」です。ウェイトを使った補助的トレーニングとプライオメトリックスを開始していました。
特に約1週間前の日曜と5日前の火曜に行った、トレーニングでのプロファイルテストにて、比較的高重量を扱ったウェイトトレーニングを行っていました。その中でも特にでデッドリフトで、該当部位に負荷がかかっていたと考えられます。
原因の二つ目は、火曜に行ったショートインターバルです。最近の中では相当高い負荷だったと考えられ、レース前としては本数とボリュームが適切ではなかったと考えられます。
走れないときはとことん走れなくなるので、今回のレース結果は必然だったと捉えることで前向きになる必要があります。。。体の状態やトレーニングでのパフォーマンスは、昨年に比べて圧倒的に高まっているので、この結果に一喜一憂せず、これまでのトレーニング方針を継続したいと考えています。
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